国立科学博物館筑波実験植物園は2025年9月20日から9月28日まで、コレクション特別公開「育てる宝石・コノフィツム」を開催する。コノフィツム研究の第一人者である須藤浩氏が半世紀をかけて収集し、日本植物園協会のナショナルコレクションに認定された野生種約80種を中心に、計約120点を公開する。
植物はいったん大地に根付くと動くことに制約が大きいため、その土地の環境に適応したさまざまな進化が起こる。南アフリカの半砂漠に生えるコノフィツムは、乾燥という極限環境のもと進化をなしとげためざましい例。透明感のある小石のような姿が「生ける宝石」と呼ばれ注目されてきた一方、ワシントン条約の規制対象となっているように保全が急務となっている。
今回のコレクション特別公開では、コノフィツム研究の第一人者である須藤浩氏が半世紀をかけて収集し、日本植物園協会のナショナルコレクションに認定された野生種約80種を中心に、園芸品種など計約120点を公開する。多彩な姿を楽しみながら、植物の進化や生態の面白さを感じることができる展示となっている。
展示は教育棟とサバンナ温室で行われ、教育棟では日本植物園協会によりナショナルコレクションに認定された野生種約80種を中心に、園芸品種など合計約120点が公開される。コノフィツムの展示としてはこれまでにない大規模なものであり、コノフィツムの生態、進化、分類、保全、栽培などを紹介するパネルも展示される。
サバンナ温室では、コノフィツムなど南アフリカ乾燥地に自生する多肉植物が自然に生えるようすを再現したジオラマ「コノフィツム・サファリ」が展示される。関連事業として、セミナー「生ける宝石から育てる宝石へ」が開催され、多様性に富んだコノフィツムの観賞ポイントや研究開発の現状、栽培のコツが紹介される。セミナーは9月20日と9月28日の午後1時半から研修展示館3Fセミナー室で行われ、須藤浩氏が講師を務める。事前予約が必要で、定員は30名。また、展示案内も9月20日と9月28日の午後3時半から教育棟で行われ、事前予約不要で参加できる。
展示予定の植物には、コノフィツム・ブルゲリ、コノフィツム・ラツム、コノフィツム・ヘルマリウム、コノフィツム・オブコルデルム、コノフィツム・ステファニー、コノフィツム・チャウビニアエが含まれている。ただし、生植物のため期間中の開花株の展示を保証するものではない。
日本植物園協会では、包括的な保全の取組みとして「野生種、栽培種に関わらず、日本で栽培されている文化財、遺伝資源として貴重な植物を守り後世に伝えていく」ことを目的に、植物学的な分類群、園芸品種、歴史、文化など一定のテーマをもった植物コレクションを「日本植物園協会ナショナルコレクション」として認定する制度を2017年に開始している。
◆コレクション特別公開「育てる宝石・コノフィツム」
会期:2025年9月20日(土)~9月28日(日)
※9月22日(月)、9月24日(水)は休園日
開園時間:9:00~16:30(入園は16:00まで)
会場:筑波実験植物園 教育棟、サバンナ温室
入園料:一般320円、団体(20名以上)250円、高校生以下および65歳以上は無料