18歳までの子育て費用2,172万円、物価高などで生活費増…国立成育研調査

 0歳から18歳の子育てにかかる費用の合計は、2,172万円(預貯金・保険を除く)であることが2025年10月16日、国立成育医療研究センターの調査結果から明らかになった。内閣府が2009年に実施した子育て費用に関する調査の結果と比較すると、生活費が増加した一方、保育費や医療費などは減少していた。

生活・健康 保護者

advertisement

年齢・学年別(0歳~高校3年生)の2024年の第一子の年間子育て費用
年齢・学年別(0歳~高校3年生)の2024年の第一子の年間子育て費用 全 6 枚 拡大写真

 0歳から18歳(高校3年生)の子育てにかかる費用の合計は、2,172万円(預貯金・保険を除く)であることが2025年10月16日、国立成育医療研究センターの調査結果から明らかになった。内閣府が2009年に実施した子育て費用に関する調査(0歳~中学3年生対象)の結果と比較すると、生活費が増加した一方、保育費や医療費などは減少していた。

 調査は、国立成育医療研究センター政策科学研究部の竹原健二部長、三澤奈菜共同研究員が、Webアンケート調査により、2024年11月に実施した。調査対象は、Web調査会社のモニター会員で日本に居住する第一子が0~18 歳(高校3年生)の母親。0~18歳の各年齢の母親246人~350人、合計6,408人から回答を得た。

 調査結果によると、出生から高校3年生までの子育てにかかる費用の合計は、2,172万7,154円。子育てのための預貯金や保険を含むと、2,570万1,956円となった。各年齢の年間費用のうち、食費や衣類、生活用品などの生活費は年齢とともに一貫して増加し、常に年間費用の半分程度を占めた。

 年齢別に年間の子育て費用(貯金や保険を含む)をみると、未就学児は約89~110万円、小学生は約114~131万円、中学生は約156~191万円、高校生は約181~231万円。もっとも高い高校1年生の年間子育て費用を品目別にみると、学校教育費約59万円、食費約44万円、預貯金・保険約36万円、生活用品費約18万円、衣類・服飾雑貨費約16万円、学校外教育費約15万円などとなっている。

 世帯収入ごとの子育て費用を比較した結果、収入に関わらず高校生の生活費は年間70~100万円程度となり、収入が低い世帯ほど収入に占める生活費の割合が大きいことがわかった。

 内閣府が2009年に0歳から15歳(中学3年生)の保護者を対象に実施した「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査」の結果と比較すると、全体的な子育て費用はわずかに増加していた。今回の調査結果では、0歳~中学3年生の15年間の第一子の子育て費用は1,953万626円、預貯金・保険を含まない場合は1,632万3,898円。一方、内閣府による2009年調査結果は1,899万5,250円、預貯金・保険を含まない場合は1,613万3,974円だった。

 費用別にみると、15歳までの全年齢の生活費と年間費用に占める生活費の割合は増加していたが、保育費や医療費などは減少していた。そのため、2024年の結果のほうが生活費は高い一方で、医療費・保育費などは低い結果となった。

 国立成育医療研究センターは、2009年と2024年の子育て費用が変化した要因として、物価上昇や携帯・通信費などの利用増加、国や地方自治体による幼児教育・保育費の軽減制度や無償化、地方自治体の医療費助成の施策をあげている。

 さらに調査結果を受けて「子育て期間中の各家庭の支出額の増加は抑えられている。しかし、国や地方自治体による施策の実施により、子供の保育・教育費や医療費の支払い者が各家庭から社会全体に変わっているため、今回の調査には含まれていない社会保険料や長期的に徴収される税金などを考慮すると、子育て費用の実質負担は増加している可能性があり解釈には注意が必要」と考察している。

《奥山直美》

advertisement

【注目の記事】

この記事の写真

/

advertisement

特集