「留学生との交流」と聞いて、多くの方が思い浮かべるのは「外国語」での交流であろう。しかし、芸術を学ぶ学生にとって、コミュニケーションの形は言葉だけにとどまらない。名古屋芸術大学では、芸術がもつ「独自の言葉」を最大限に生かし、作品を通じたコミュニケーションに力を入れている。このアプローチこそが、名古屋芸術大学の国際交流の大きな特徴である。
この秋、名古屋芸術大学はドイツ、フランス、韓国などから10名の交換留学生を受け入れた。さらに来春も、イギリスやフランスを中心とするヨーロッパなどから10名以上の学生の受け入れが予定されており、国際色豊かなキャンパスはさらなる活気を帯びている。人気を集める分野はイラスト、ビジュアルデザイン、工業デザイン、テキスタイルデザイン、工芸(ガラス、陶芸)、音楽制作など、その幅広さも名古屋芸術大学の魅力である。
作品展と交流カフェが生む、深い相互理解
名古屋芸術大学は、学生が国際交流を深めるためのユニークな機会を提供している。特に交換留学生の作品発表である「作品展」は、芸術大学独特のイベントであり注目に値する。開催期間中は交換留学生自らが受付に立ち、来観者に対応する。そしてレセプションパーティーでは、留学生による日本語スピーチや来場者との作品交流などを通して、学生同士が親交を深める貴重な場となっている。

また、「異文化交流カフェ」もその1つである。この交流会は月に2回、ランチタイムに定期開催され、在学生と留学生との意見交換や日本文化共有のための機会となっている。
作品制作の環境や文化の違いを体感
名古屋芸術大学はフランス・パリにある長期滞在型研究施設「Cité Internationale des Arts(シテ・インターナショナル・デザール)」と提携している。芸術家専用のため部屋にアトリエが設けられ、敷地内にはコンサートや作品展も開催され技芸の向上や人材育成の場として活用されている。現在デザイン領域に在籍し、この夏に滞在した日本人学生2名がさらなる交流を深めるために、異文化交流カフェに参加し、ドイツと中国からの交換留学生と作品を介した意見交換を行った。
2名の学生は、現地での作品制作および作品展示の経験から、日本の課題を認識。滞在期間中に開催した作品展では、来場者から作品に関する質問が数多く寄せられ、芸術への関心の高さ積極性に驚嘆したのに対し、日本では作者へ質問どころか声掛けすら見かけないことも多い。日本人の控えめな性質が、自己や作品をアピールする力の欠如にもつながると、国際交流を通して気づかされた点であった。
他方、ドイツと中国からの留学生は学生が提示した作品を見て、その技術力に「素晴らしい」と驚きの声をあげた。中国からの学生は、母国のもつ「ルールや要求に縛られた作品制作から離れ、自由さを感じる」とコメントした。この「自由さ」についてはドイツの学生も同意し、歴史的背景が作品制作に制限を設けている可能性があると、より深い視点からの考えを共有した。「作品の解釈には文化や歴史の理解が不可欠」とするドイツからの留学生の指摘に一同は賛同し、作品理解における教養の重要性を改めて認識する、濃密な交流となった。
異文化交流カフェには、けん玉や折り紙など日本文化を体験する機会もある。終了後には、交換留学生から「カラオケに行こう!」と日本人学生を誘う声もあがり、全員が楽しそうにキャンパスを後にする姿があった。
芸術作品を通じてより深く、互いの文化や考えを理解し合うのが名古屋芸術大学の国際交流。これは、グローバルな舞台で活躍する「作品」を生み出すための貴重な経験と刺激となっている。名古屋芸術大学はこれからも、「作品」を通して世界とつながる学生を育んでいく。
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