冬が到来し、いよいよ医学部受験が近づいてきた。少子化による大学全入時代を迎えてもなお、医学部の人気は高止まりし、依然として狭き門が続いている。また、医学部受験は他学部に比べて志望理由書作成や小論文・面接対策などやることが多く、入試も共通テスト直後から続々と始まるため、早めに準備を進める必要がある。
それでは、いざ医学部の現役合格を達成するには、いつごろからどのような準備が必要なのだろうか。駿台が2022年に開校した関西地区初の医学部専門校舎・駿台梅田校校舎責任者の鳥井英氏に合格への戦略を伺った。
依然として高い医学部人気、西日本は国公立大志向
--医学部受験の最新動向について、全体および西日本の傾向を教えてください。
2025年9月に実施した第1回駿台・ベネッセ大学共通テスト模試のデータによると、国公立大学医学部は前年度と比べて横ばい、私立大学医学部は微増で、人気は高止まりしています。


西日本では国公立志向に強い傾向があり、この背景には立地も関係しています。国公立大学の医学部は、基本的には各都道府県に1大学ずつ設置されますが、とりわけ関西では大阪府に2校、京都府に2校。少し広げてみると愛知県にも2校あります。このように、国公立大学の医学部が西日本に多いのも国公立志向が強い理由だと思われます。
対して東日本には、全国にある私立大医学部31校のうち20校があり、現役生でも国公立・私立を併願する傾向が強いです。また、私立大医学部の合格者は、関東の私立中高一貫校に多い傾向にあります。


関西の志望者数の動向をみていくと、前述の模試のデータでは前年度を100とした場合、関西国公立8大学の志望者指数(前年度の各大学の学科合計の総志望者数を100とする指数)は京都大が97、大阪大が122、神戸大が111、滋賀医科大が110、京都府立医科大が106など、全体的に増えている大学が多いです。ほとんどの大学で100を超えているのをみても、やはり国公立志向が強いことがわかります。9月模試の時点で上位大学に志望が集まっていることを考えると、第1志望を譲らず、強気で出願する傾向が表れています。
医学部に現役合格するための「正しい勉強法」とは
--なぜ、医学部に現役で合格するのが難しいのでしょうか。
まず必要とされる学習量が多いことがあげられます。共通テストは情報科目が増え6教科8科目。また、普通の公立高校では数学IIIや理科科目の全範囲を履修し終えるのが3年生後期にさしかかることがあるので、1年以上多く勉強している既卒生と比べて不利なところがあります。
勉強で身に付けるものには「本や人から教えてもらった知識」と「自分で発見した知識」の2種類があります。「教えてもらった知識」を使ってどうやって問題を解いていくのかは、「自分で発見」しなければなりません。しかし、高2以降からのスタートだと時間が足りず、自分で知識を発見する段階にまでなかなかたどり着けません。
だからといって、先取り学習をしている中高一貫校が有利とも言い切れません。履修のスピードが速い分、基礎に対する理解が浅い、あるいはあやふやなまま定着せず進んでしまうと、途中からついていけなくなる人も少なくありません。さらに医学部では志望理由書や小論文、面接の対策も必要となるので、現役生は圧倒的に時間が足りない状況に陥りがちなのです。
--現役で医学部に合格する人の共通点はありますか。
やはり、早期から勉強をスタートできている生徒は圧倒的にアドバンテージが大きいです。そしていちばんの共通点は、「正しく」勉強できていることです。
「正しい勉強」とは、やみくもに勉強量を増やすのではなく、目標とする大学に向けて今何を学習するべきかを逆算し、習得していくためのロードマップに沿った勉強です。早期から自分がそのロードマップ上でどこまで到着しているのかを意識すること。今の偏差値が低くても、自分の状況を客観視でき、学習内容にフィードバックしていくことが重要です。学習時の姿勢でいえば、謙虚、素直、積極的であることがあげられます。高3になると膨大な演習が必要になりますが、それまでにこういった正しい勉強姿勢が身に付いている生徒は現役で合格できる傾向があります。

新中3から一流の講師に教わる意味
--医学部専門校舎である駿台梅田校では、新中3向けに医学部受験の準備講座を開設されます。新中3とは随分と早い印象ですが、なぜこのタイミングからなのでしょうか。
大きく2つ理由があります。まず1つ目は、受動的だった勉強スタイルを能動的な姿勢に変えるには、このタイミングが最適だからです。医学部入試は全国規模の戦いです。国公立であれば共通テストの得点で出願する大学がある程度決まってくるうえ、個別試験でも得点を重ねなければならないというレベルの高い受験です。さらに、国公立私立とも大学によって出題傾向が異なり、それぞれに見合った対策も求められます。面接や小論文対策も必須です。そうしたハイレベルな戦いに挑むには、能動的な姿勢でなければ太刀打ちできません。
もう1つの理由は、現役合格するための学習法やマインドを身に付けてほしいという思いからです。医学部受験は思考力を要する問題が多く、典型問題の暗記といったパターン学習は通用しません。
こうした課題感のもとで、2月から始まる新中3生対象の医学部受験準備講座では英語・数学・化学の3科目を10名までの少人数クラスで学びます。講師との距離が近く、学校の質問にも対応しますし、医大生と面談もできます。英語は元四天王寺中学・高等学校で医志コースを立ち上げた医学部受験英語指導の大ベテラン・大向雅士先生が指導します。新しい知識を教わることはもちろんですが、自分で発見する力を身に付けるためのサポートをしていきます。
--新中3という低学年から一流の指導を受けられるのですね。
低学年から良い指導者に出会うことは非常に重要です。それが学習へのモチベーションを高めるだけでなく、これからの人生を考え、「なぜ医師を目指すのか」という動機を確固たるものにするからです。一流の講師陣はもちろん、現役の医学部生とも交流をもつことで、生徒たちが大きく成長するきっかけを作りたいと考えています。
加えて、梅田校ならではの大きな強みは、中学3年生から高卒生まで、医学部を志す全学年の生徒が集まっている点です。同じ目標をもつ先輩や後輩が同じ空間で学ぶことは、生徒たちに計り知れない相乗効果をもたらします。
また、我々職員は医学部受験生を数多くサポートしてきた経験から、医学部合格までのロードマップを俯瞰できています。高卒生がどこで苦戦しているか、現役合格した先輩はそれぞれの時期でどのように過ごしていたかといったリアルな事例を踏まえ、「今、何をすべきか」を具体的、かつ的確に生徒や保護者に伝えられることも、当校で学んでいただく大きなメリットだと考えています。
医学部現役合格には十分な演習量と丁寧な振り返りが必要
--医学部に合格するには、日々どんなことに意識して学習に取り組むべきでしょうか。
英語、数学、化学の専任講師から、それぞれ次のようなアドバイスがあります。
【英語】
英文和訳や英作文の添削指導をしていると、医学部を目指すレベルの受験生でも、冠詞と名詞のミスや、時制の選択のミスなど、基本的な間違いが大半を占めます。これらは高度な知識を必要とする問題ではなく、意識さえすれば解決できる問題なのに、多くの人がミスをしてしまう「失点源」となっているのです。まずはこのような間違いをしない丁寧な学習を習慣化し、その丁寧さを犠牲にすることなく次第に処理速度を向上させ、高いレベルで精度と速度を両立できるようになることを目指しましょう。
【数学】
その日の勉強で何ができるようになったか、何ができないままなのかを振り返ることが重要です。また、量をこなすことでどういう勉強をすると効率よく学力が上がるかが見えてきます。医学部現役合格のためにはなるべく早く勉強を始め、問題演習をより多く積むことが効果的です。その際、心がけたいのは、常に本番を想定すること。試験会場でその解法を思いつくためにはどう考えれば良いか、適切な時間で解けるのか、計算ミスを防ぐ工夫はないのかなど、意識すべきことはたくさんあります。本番を想定して解ける問題を増やしていけば、着実に合格に近づいていきます。
【化学】
典型問題を単なる暗記にとどめず、根本原理から学ぶ意識をもちましょう。近年の医学部入試を分析していると、思考力を要する出題は国公立・私立問わず非常に多く、これらは教科書傍用問題集の解答を暗記するだけでは対応できません。自然現象を本質から理解し、その楽しさを日々感じながら学習してください。
集団指導×個別指導のW支援が高い進学率につながる
--2026年度は現役生、既卒生それぞれにどのようなコースが設定されますか。
梅田校では現在、専任講師による集団授業と医学部生をはじめとする学生が教える個別指導を展開していますが、開校2年目の昨年はほとんどの高卒生が個別指導コースをW受講し、医学部医学科の進学実績は66%を達成しました。合格率ではなく進学率で66%というのは驚異的な数字です。
これを踏まえて来年度からは、高卒生向けには各科目の専任講師が1対1で教える個別指導を、現役生向けには医大生が1対1で教える個別指導を新規に開始する予定です。前者は専任講師が個別に教えることで、生徒の状態をより詳しく把握したうえで集団授業を進めていくことができますし、後者は駿台の指導を熟知したOB・OGの医学部生が講師を務めることが大きな強みです。
--個別指導を受けるべきかどうかは、どのように判断すれば良いのでしょうか。
個別指導の案内については、まずは入塾のタイミングで面談をしてから行います。各コースに属してもらったのち、成績や学習進捗をみながらその都度声をかけていきます。特定の科目のある単元が不安な場合に、スポット的に個別指導を加えることもできますし、最初からW受講をして苦手科目の克服だけではなく得意科目を伸ばしていくような使い方もできます。
--学費はどのくらいかかりますか。
年間の季節講習がすべてセットのコースで約200万円です。個別指導がセットになると約300万円、プロの専任講師が個別指導を行うと約400万円です。
お話ししてきたように、駿台梅田校は医学部専門で手厚い指導とサポートが特徴です。高校生はレベル別に最大30名、高卒生は65名の3クラス編成となっており、志望理由書や小論文、面接の対策や推薦入試の指導まで、生徒ひとりひとりをきめ細やかにみています。
--最後に医学部現役合格を目指す中高生、それをサポートする保護者に向けて、メッセージをお願いします。
保護者の方は、お子さまが医師という仕事をイメージできるよう、医師による講演や体験授業などの機会を見つけ、低学年のうちから参加することをおすすめします。また、医師はさまざまな職種の人と連携し、チーム医療で患者さんを支えることから、たとえば早期にボランティアをするといった経験もさせてあげてほしいと思います。
中高生は、楽しい学校生活と勉強を両立させるためにも、できるだけ早い時期から医学部受験に向けた勉強を開始し、コツコツと努力を重ねてほしいです。現役合格を目指すなら、ぜひ駿台梅田校にご相談ください。

--ありがとうございました。
勉強はつい自己流で進めがちだが、がむしゃらに量をこなしても効率が悪いだけでなく、何も身に付かないリスクすらある。一流のプロ講師、医学部入試に精通したスタッフと現役医学部生が手厚くサポートする駿台梅田校で、低学年から着実に準備を進め、医学部現役合格を目指してほしい。
【2026年2月開講】新中3生向け「医学部受験準備講座」の詳細はこちら「駿台梅田校」について詳しくみる
