医学部受験に才能はいらない? 偏差値40台が「戦略」で合格する方法

 偏差値40台から医学部合格は可能なのか。伸び悩む受験生を、毎年多数医学部合格に導いている医系専門予備校メディカルラボの可児良友氏に、合格への現実的な道筋と保護者が果たすべき役割について聞いた。

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医学部合格に才能はいらない?
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 医学部受験の人気が高止まりになっている。少子化による大学全入時代になったにも関わらず、医学部受験はいまだに多浪する受験生も多く、「東大・京大・医学部」と難関大学受験の代名詞にもなっている。高い学力が求められる医学部受験。ところが、圧倒的な医学部合格実績を誇る医系専門予備校メディカルラボでは、プロ講師による1対1の完全個別指導で、毎年偏差値40台からも合格者を輩出しているという。

 果たして偏差値40台からどのようにして医学部合格を勝ち取れるのか。同校 本部教務統括・可児良友氏が語る、その戦略やカギとなる学習法とは。

「医学部はあきらめろ」と言われた生徒が何人も合格

--偏差値40台から医学部を目指したいと言っても、先生や保護者からは「あきらめなさい」と言われることが多いです。医学部合格は本当に可能なのでしょうか?

 正しい方向性と正しい勉強法をもってすれば合格可能です。実際にメディカルラボでは毎年偏差値40台からの合格者が複数出ていますので、事例をいくつか紹介しましょう。

 1人目は、高校の普通科ではなく商業科で高校野球に打ち込んだ生徒です。高3の夏に野球部を引退してからメディカルラボに入ったのですが、商業科では数学IIIを履修しておらず、理科も基礎しか学習していない状態でした。学校では受験対策もまったくないまま、勉強はまさにゼロからのスタート。しかし、1年間の浪人を経て、11月に近畿大学医学部に推薦入試で合格。さらに共通テストを受け、国公立の旭川医科大学に見事合格を果たしました。

 2人目は、高3時の学力が偏差値40台前半から現役で国公立医学部に合格した生徒です。高3の春からメディカルラボに入りましたが、入校時に学習レベルを確認する「スタートレベルチェックテスト」では英語が得点率46%、数学30%、化学40%、物理56%という状態でした。この成績を河合塾模試の偏差値に換算すると偏差値40前半。教科書レベルの基礎も疑わしい状況でしたが、こちらも約1年足らずで和歌山県立医科大学に合格しました。

 その他にも、主要科目である英語と数学が偏差値40台といった厳しいスタートラインからでも医学部合格を手にした生徒は大勢います。

取材に応じてくれた医系専門予備校メディカルラボ本部教務統括・可児良友氏

絶対に医学部に行くという「覚悟」

--偏差値が医学部合格レベルに大きく届かない生徒に共通する「致命的な抜け」や「授業の受け方や勉強法に共通する悪い癖」があれば教えてください。

 共通項としては、そもそも医学部に行くという“覚悟”ができていない生徒が多いことです。本人が「絶対に医学部に行く」と決めて動かないと、なかなか能動的な勉強ができず、成績も伸びにくい。偏差値40台からの合格は、決して楽なことではありません。合格への戦略があっても相応の努力が必須であり、医師になるためにはその重い負荷を受け入れ、頑張る覚悟がないと学力は伸ばせません。

 さらに、計画や勉強の精度が甘いことも共通点です。ゴールである入試に照準をあわせ、そこから逆算して緻密な計画を立てて学習を進めないと間に合わないのに、惰性で勉強しているケースが見受けられます。また、教科書に準拠した基礎問題や典型問題においては、単に解き方を理解するだけでは不十分です。問題を見た瞬間に解法が浮かび、手が動くレベルになるまで、徹底的な反復練習が欠かせません。それはある種「修行」にも似た厳しさを伴います。

 したがって、合格への第一歩は、「これまでの学習量では到底足りない」という現実を真摯に受け入れることです。スタートが遅れているのであれば、「人の2倍の努力をする」といった覚悟をもって机に向かえるかどうかが、最終的な合否を分ける分岐点となります。

--努力が成績に反映されるまでにはタイムラグがあると思います。成果が見えにくいその期間に、努力を続けることは精神的にきついでしょうね。

 そのとおりだと思います。そこでメディカルラボでは、短期間で確実な手応えを得られる仕組みを導入しています。具体的には、単元ごとに定着度を確認する「単元別チェックテスト」を実施し、「学んだことが、確実に解けるようになった」という小さな成功体験を積み重ねられるようにしています。辛抱強さが求められる基礎固めの時期だからこそ、自身の成長を可視化できる工夫を取り入れ、学習意欲を絶やさないようにすることで、その後の飛躍へと繋げるのです。

個々の学力を把握しゴールの入試まで到達させる学習戦略

--「合格のカギは才能ではなく戦略」とのことですが、どのような学習プランを組むのでしょうか。

 戦略として、医学部合格というゴールから逆算した長期的な学習プランを策定します。医学部は大学ごとに出題傾向が大きく異なるため、志望大学によって学習プランが異なります。加えて、生徒ひとりひとりの学力というスタートラインも千差万別です。この「志望大学合格に必要な学力」と「現在の実力」のギャップを正確に把握し、合格までの道筋をどう描くかが戦略であり、我々の得意とするところです。

 さらに、計画の実行においては、基礎知識をスモールステップで積み上げ、こまめな評価・確認を行うことで、着実な歩みをサポートします。どれほど優れた学習計画であっても、それを完遂するのは生徒自身です。そのため生徒には、先ほども言ったように「自分は医師になるのだ」という強い当事者意識をもつよう指導します。覚悟が決まれば、日々の学習姿勢は自ずと変化するからです。

 同時に、合格する自分をイメージできなければ、過酷な受験勉強は続きません。だからこそ私たちは、「正しい努力を積み重ねれば、必ず合格できる」という事実を伝え続けます。

 医学部への道は険しいが、偏差値40台からでも到達できる。この厳しさ」と「可能性」の両面を誠実に伝えることで、生徒が迷いなく学習に打ち込めるよう導きます。

--机に向かうことすら苦手な生徒が、まず最初の1か月を乗り切るための具体的なアクションはありますか?

 環境を変えることを勧めています。自己管理が苦手な生徒が多いので、周りに引っ張られて勉強できるような環境を作ることが有効だと思います。

 メディカルラボにも自習室があります。スマートフォンは、本人または保護者の要望に合わせて受付でお預かりすることもできますので、勉強により一層集中しやすくなります。メディカルラボに通うようになって、それまで机に向かえなかった生徒が1日4~5時間机に向かえるようになったという声をよく耳にしますので、環境を変える効果は高いと思います。

ゴールと実力のギャップを正確に把握することがスタート

偏差値が伸びない原因を特定し、「わからない」を埋める

--教科別に取り組むべき学習を教えてください。まず、医学部入試で重要科目である数学と英語について、いかがでしょう。

 まず、その生徒の偏差値が伸びない原因を分析します。すべての単元の基本問題をテストし、どこでつまずいているかを洗い出してから、勉強のスタート地点を定めます。場合によっては中学レベルの学習単元までさかのぼってやり直すケースもあります。

 数学も英語も積み重ねの科目です。英語は中学校・高校の文法をどこまで理解できているのか、数学も正しい計算のルールを身に付けているかなど、基本的な学力を診断テストで測ったうえで勉強計画を立てていきます。

 中でも中高一貫校に通う生徒にありがちなのが、中学時代にあまり勉強をしないまま高校に進学し、慌てて大学受験の対策を始めたけれど、中学での学習単元の土台ができていないケースです。こうした場合、本人は頑張っているつもりでも勉強が空回りし、行き詰まってしまうことも少なくありません。だからこそ、現状の学力をしっかりと把握し、単元によっては中1レベルから足場を固めていくことで、偏差値40台からでも医学部に十分手が届くようになるのです。

 科目別にみると、数学は単元ごとの理解とともに、正確かつスピーディな計算力が求められます。これは物理や化学にも通じるので、計算に特化した問題集で特訓することもあります。教材については『白チャート』や『高校これでわかる』シリーズなど、網羅系の教材をとことんやり込むことを推奨しています。

 英語は単語と文法がつまずきやすいところです。単語も文法も地味な勉強ではありますが、英語力の土台となる部分であり、ここができないと長文も読めませんし、和訳や英作文もできません。ですからメディカルラボでは、この土台に抜け漏れがないよう、念入りにフォローするようにしています。

--スタートが遅れがちな理科ですが、科目選択で逆転合格しやすい選び方はありますか。

 これは生徒の興味・関心や適性によります。生物に比べ、物理は受験できる大学が多く、チャンスは広がります。また、暗記の必要な内容が少なく、数学と関連するところもあって効率的に勉強できるという点ではお勧めです。

 一方で生物は覚えることは多いけれど、興味がある生徒にとっては安定して点数が取りやすい教科です。たとえば、生体内の代謝の仕組みなどはストーリーとして理解しながら覚えるので、物理のようなミスが少なく、文系科目が得意な場合に向いていると思います。

学力と出題傾向の“マッチング”が医学部合格の要

--「偏差値40台からでも十分医学部に手が届く」とのことですが、どのような基準で受験校を選定すべきでしょうか。

 生徒の学力特性と大学の出題傾向との相性をみて受験校を選ぶ“マッチング”がもっとも重要だと思っています。たとえば英語なら精読する力があるか、問題を解くスピードがあるか、記述力があるかなど、模試のデータをみながら得意・不得意を把握することから始めます。

 受験で求められる学力は、ある大学は高度な処理能力、別の大学では思考力と記述力といったように、大学によって異なります。特に医学部入試では、求められる学力のほか、科目ごとの配点なども含めて全国82大学それぞれに違いがあり、生徒の学力特性との相性をみて選ぶことが極めて重要になります。

メディカルラボによる受験校選定のイメージ

 一般的には「医学部=難しい」というイメージをもたれますが、共通テストがある程度取れれば個別試験はそこまで難しくない大学もあります。志望校の選び方次第では、共通テストレベルの標準的な問題を確実に得点することで、十分合格ラインには届きます。

正しい方向性で正しく勉強すれば医学部に合格できる

--医学部を目指す受験生とその保護者に向けてメッセージをお願いします。

 医学部受験では、受験生本人より保護者の方が前のめりになってしまうことも少なくありません。しかしながら、親の期待が重すぎることは、受験生のモチベーションや自己肯定感の減退にもつながります。ですから保護者の方には、医学部受験を通じて子供を「自立」させることを目指していただけたらと思います。

 周囲の過干渉は本人の能動的な学びを妨げることになるので、「現在のサポートの仕方は子供の自立にどう影響しているのか」と、客観的な視点に立って振り返っていただきながら、適度な距離感でお子様を見守っていただけたらと思います。

 受験生の皆さんは、正しい勉強、正しい方向性で取り組めば、医学部に合格するチャンスは十分あると思ってあきらめないでほしいですね。医学部受験は難関で、偏差値が低いと不安になるのもわかります。だからこそ、繰り返しになりますが「医師になりたい」という強い思いをもち、「どのような医師になりたいのか」という将来のビジョンを早い段階から具体的にイメージしてほしい。それが厳しい医学部受験を乗り越えるモチベーションにもつながるはずです。

--ありがとうございました。


 「医学部合格は学力の高い一部のエリートにしか開かれていない」というイメージを払拭してくれたインタビューだった。医学部合格に必要なものは、受験生本人が強い覚悟をもち、正しい方向性で正しい勉強を頑張りぬくこと。短期間でもそれが達成できるというシンプルで心強い道筋が示された。当然その道は決して楽なものではない。だからこそ、メディカルラボのようなプロ講師による戦略と伴走が大いに励みになるだろう。ぜひ偏差値40台からでもあきらめず、医師を目指して頑張ってほしい。

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《羽田美里》

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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