サンリオが手がける幼児向け英語教材「Sanrio English Master」は、英語と知育を軸にした独自の教材として2023年に誕生した。発売から3年間、多くの家庭で活用される中で、利用者の声をもとに改良が重ねられてきた。さらに2026年5月には、新たな会員制度へのリニューアルも予定されている。
サンリオ 営業本部エデュテイメント事業部ゼネラルマネジャーの太田誠二郎氏と、教材監修を務める玉川大学・大学院教育学研究科名誉教授の佐藤久美子先生に、教材誕生の背景と進化の理由を聞いた。

“みんななかよく”を英語教育へ、理念から始まった進化の道のり
--Sanrio English Masterは、発売から3年間でどのように姿を変え、発展してきたのでしょうか。
太田氏:サンリオが幼児英語教育に参入した背景には、企業理念である「みんななかよく」を広めたいという思いがありました。みんなが仲良くなるためには、自己肯定感や自己有用感を育てることがとても大切だと考えています。しかし日本では、若い世代の自己肯定感が低いことがよく指摘されています。サンリオとしても、その状況を少しでも変えたいという思いがありました。
そこで、「みんななかよく」を世界へ広げていくための第一歩として、幼児期から英語を通じて世界とつながる経験が必要だと考え、英語教材の開発を進めました。
発売から3年で多くのご家庭から「楽しく続けられている」という声をいただいている一方で、「この先、ずっと続けられるか不安」という声もありました。そこで、子供たちが飽きずに取り組めるよう、イベントの開催や限定コンテンツの配信など、継続を後押しする仕組みを整えてきました。
英語でアウトプットする場を作ることで、英語を使う楽しさをより実感してもらいたいという思いから、2025年に初めてサンリオピューロランドでの会員向けのイベントを開催しました。「イベントをきっかけに子供がより積極的に教材に取り組むようになった」という保護者の声も多く、充実したイベントになりました。

--佐藤先生は、サンリオが掲げる教育観や“学びの環境づくり”の姿勢をどのように捉え、監修に参画されたのでしょうか。
佐藤先生:サンリオにお声がけいただく前から、未就学児の英語教育はとても大切だと考えていました。社会のグローバル化が進み、子供たちが社会に出るころには、外国籍の方と一緒に働くことが当たり前になっているでしょう。そこで英語でコミュニケーションが取れれば、未来は大きく広がります。
さらに、未就学児は耳が非常に良く、私の研究からも、5~6歳くらいまでの子供は聞いた音をそのまま再現する力が高いことがわかっています。母語を身に付けるときと同じように、意味がわからなくても音を真似し、繰り返すことで自然と言語が身に付いていきます。
加えて、幼児期から「寛容な心」を育てることも重要です。文化や習慣が違う人に出会ったとき、その違いを自然に受け入れられる心を育むことが、これからの社会では大切です。
こうした考え方から、サンリオが掲げる「みんななかよく」という理念に強く共感しました。特に心を動かされたのは、「英語を学ぶ」のではなく「英語で遊ぶ」、さらには「子育てを英語で支えたい」というビジョンです。乳幼児の子育ては毎日本当に大変ですが、その日常に英語が“学習”ではなく“遊び”として寄り添い、親子の時間を豊かにし、子育てに役立つ存在になれたら、とても素敵だろうと思いました。
継続の鍵は“楽しさと仕掛け”、開発と監修が大切にした視点
--教材設計で特に意識した点を教えてください。
太田氏:サンリオはエンターテイメント企業ですので、遊んでいるうちに自然と英語が身に付く体験づくりを目指しました。英語でコミュニケーションができるようになるには、インプットだけでは不十分です。そこで、動画教材で見た知識を、玩具やアプリを通してアウトプットできる教材設計にしています。これにより、さまざまな方法で英語に触れ、遊びながら自然に使う経験ができるようになっています。
--サンリオの調査で、購入後「ほぼ毎日使っている」という回答が90%、「ほぼ毎週使っている」は100%という結果が出ています。「続けられる英語教材」を実現するために、それぞれの立場で意識した点を教えてください。

太田氏:続けられるいちばんの理由は「遊びだから」だと思います。私たちが提供しているのは、英語を通して遊ぶ体験です。玩具を使って遊んでいるうちに自然と英語に触れ、その積み重ねが英語習得につながっているのだと思います。
佐藤先生:まず意識したのは、保護者自身が楽しめる工夫です。さらに、アウトプットにつながる仕掛けを工夫しました。フォニックス(※1)やチャンツ(※2)を取り入れ、音・文字・意味が自然と結びつくようにすることで、子供が「話してみたい」「読んでみたい」と思える流れを作っています。加えて、CLIL(※3)の考え方も取り入れています。たとえば、「なぜ魚は寝ないの?」「ピアノはどうやって音が出るの?」といった、素朴な疑問を題材にし、英語“で”学ぶ楽しさを感じられるようにしました。
※2:チャンツ…リズムにあわせて英語のフレーズを発音することで、英語のイントネーションや表現を楽しく自然と身に付けることができる学習法。
※3:CLIL(=Content and Language Integrated Learning 内容言語統合型学習)…教科科目やテーマの内容の学習と英語の学習を組み合わせた学習・指導形態。
ほかにも、歌や英語の指示に従い体を動かす遊び、絵本など、さまざまな活動を盛り込み、いろいろな形で英語に触れられるようにしています。こうした工夫が長く続けられる理由につながっているのだと思います。
キャラクターが学びを後押しする理由
--教育にキャラクターを取り入れることでどのような効果が期待できますか。
太田氏:サンリオはキャラクターづくりに強みがあり、そのかわいさは大きな魅力のひとつです。Sanrio English Masterでは、この強みを生かしてオリジナルキャラクターの「BUDDYEDDY(バディエディ)」を開発するとともに、ハローキティやシナモロールなど既存のサンリオキャラクターも教材に登場します。
バディエディは、乳幼児のアイトラッキングなどの調査をもとに、小さな子供が興味を示しやすい特徴を徹底的に研究して開発しています。一般的なサンリオキャラクターは白を基調にした柔らかいデザインが多いのに対し、このバディエディは、実証研究で示された「乳幼児が認識しやすく、興味を持続しやすい色や形」を反映し、その結果として原色を中心としたデザインになっています。
教材には、バディエディのぬいぐるみがあるのですが、「映像教材を観たあとに子供がぬいぐるみに英語で話しかけていた」というエピソードはたくさん寄せられています。キャラクターが存在することで自然なアウトプットが生まれ、学びが継続しやすくなるのだと思います。サンリオピューロランドでのイベントでも、バディエディが登場すると子供たちは大喜びでした。
佐藤先生:キャラクターの魅力は、やはり「愛着がもてる」という点に尽きると思います。大人でも好きな登場人物がいる作品は、つい見続けたくなりますよね。それと同じで、子供にとってキャラクターは、「また会いたい」「一緒に遊びたい」と感じる友達のような存在です。
この教材のキャラクターはとてもよく作り込まれていて、それぞれ個性や性格も違います。「このキャラクターが好き」「このキャラクターを応援したい」という気持ちが生まれると、学びへの意欲も自然と湧いてきます。

--特に気に入っている教材と、その理由を教えてください。
太田氏:私の娘もSanrio English Masterを利用していて、私も一緒に楽しんでいます。特に印象に残っているのが、グレード6の絵本のストーリーです。主人公であるエディのしっぽが絡まってしまい、ほどけなくて困っているのですが、お風呂に入って気持ちが落ち着くと、スルッとほどけるのです。
子供でも、うまくいかなくてイライラしたり、モヤモヤしたりすることはありますよね。この絵本には、「落ち着くことで、問題が解決することもあるよ」というメッセージが隠れています。Sanrio English Masterが大切にしている「自分と仲良くする」という考え方がよく表れていて、とても気に入っています。

佐藤先生:動画教材です。音声、映像のクオリティが非常に高いと思います。フォニックスやチャンツなどは、思わず一緒に口ずさみたくなります。加えて、歌やダンス、絵本の読み聞かせ、英語の指示に従って体を動かすTPR(Total Physical Response:全身反応教授法)やspoglish(スポグリッシュ)など、教材を通して体を動かしたり、楽しめる活動が豊富なのも動画の魅力です。自分の「好き」から英語に入っていけるため、自然と次の学びへつながっていく点が大きな魅力だと思います。
2026年5月に新プラン始動、もっと楽しく、もっと続けやすく
--教材の継続的な活用のために入会できる「会員制度」が大きく変わると伺いました。新しい会員制度について教えてください。
太田氏:新会員制度(※注)は、2026年5月初旬にリリースする予定です。発売から3年、皆さまに楽しくお使いいただいていますが、「もっと楽しく、もっと続けやすく」するためにパワーアップします。
※注:ここでご紹介している新会員制度の内容については、ご利用に各種条件があります。詳細はSanrio English Master公式サイトをご確認ください。まず、DVDで視聴していた動画が、アプリを通じてスマートフォンやタブレットでも見られるようになります。そうすることで、外出先でもいつもの動画を簡単に見ることができますし、DVDのようにディスクの入れ替えをする必要もなくなります。アプリで見る動画は、チャプターが細かく分かれているので、見たいところをすぐに表示でき、さらに使いやすくなります。
これまでと同様にDVD版も購入できますので、ご家庭に合ったプランを選んでいただければと思います。DVD版を購入された方でも配信動画も見たいという場合は、サブスクに加入すれば見ることができます。
さらに、学んだフレーズの定着度を確認できる、クイズ機能が夏には追加される予定です。学んだ内容をその場で確かめられるので、お子さまの理解度を把握しやすくなります。
また、教材の交換サービスも新たに始めます。乳幼児が使う教材は、どうしても噛んでしまったり、力いっぱい扱って破損してしまったりすることがあります。そこで、絵本やDVDが傷んだ場合、月1回まで無料で交換できるようにしました。
このように、サービス開始から3年、私たちは常にお客様の声に耳を傾けながら改良を続けてきました。その一方で、「早くから利用してくださっている方をがっかりさせないこと」も大切にしています。ですので、サービスのアップデートは、既存のお客様にも適用されます。
英語を「共通の遊び」に、親子で続けられる関わり方
--英語時間をより良くするために、保護者の関わり方のポイントを教えてください。
佐藤先生:もっとも大切なのは「一緒に遊ぶこと」です。ぜひ英語を、お子さまとの「共通の趣味」として楽しんでください。たとえば、「今日は10分だけ動画を観ようか」とか、「今日は歌を歌ってみようよ」などと声をかけ、無理の無い範囲で続けることがポイントです。
また、生活の中で少し英語を使ってみることもお勧めです。教材には、「Brush your teeth!」のように、普段そのまま使えるフレーズがたくさん出てきますので、ぜひ活用してください。完璧な英語である必要はありません。大切なのは、親子で「伝わった!」「英語で話せた!」という体験を積み重ねることです。
そしてもうひとつ大事なのは、たくさん褒めることです。「Good!」「Good job!」「You did it!」と、ぜひ英語でいっぱい褒めてあげてください。子供は「もっとやってみよう!」と思うようになります。こうした小さな積み重ねが、英語学習を心地よく続ける力につながります。
親子で楽しむ“英語の時間”を大切に
--Sanrio English Masterを通して、どのような時間を過ごしてほしいですか。
太田氏:親子で楽しい時間を過ごしていただきたいと思っています。同志社大学と共同で行った調査では、子供が1人で教材を使うよりも、保護者が適度に関わったほうがポジティブな反応が増えることがわかりました。一方で、ずっと横で教えようとする関わり方をすると、逆にネガティブな反応が増えることも明らかになっています。ですから、この教材を“学ばせる”ものではなく、“遊ぶ”ものだと思って、お子さまのペースに任せながら楽しんでいただきたいですね。
「(親である自分が)英語ができないから不安」という保護者の声もよく耳にしますが、まったく問題ありません。気負わず一緒に楽しむことが大切ですので、ぜひ気軽に始めていただけたら嬉しいです。
佐藤先生:子育ての時期は大変と思われる方も多くいらっしゃるでしょうが、子供は大きくなると、だんだんと親と遊ばなくなっていきます。「遊ぼう」と誘ってくれる今この時期は、楽しい貴重な時間です。だからこそ、今のうちに親子で一緒に楽しめる時間を大切にしてほしいですね。
英語で歌ったり、本を読んだり、家族一緒に英語で遊んだ楽しい思い出は、英語好きな子供を育むと思います。私の研究成果からも、未就学児のうちの親の英語発音・語彙力は、子供の英語発音・語彙力と相関がないことがわかっています。むしろ、role play力(互いにお話をしようとする力)や楽しもうとするポジティブな経験が、将来英語を学び続ける力につながると思います。
サンリオのキャラクターとともに育ってきた筆者にとって、「Sanrio English Master」は懐かしさと新鮮さが同時に心に響く教材だった。キャラクターたちと英語で遊びながら育つ子供たちは、「英語とともに世界を広げていく」感覚を自然に身に付けていくのだろう。そしていつか、その手で自由に世界とつながり、サンリオが大切にしてきた「みんななかよく」を自分の言葉で、行動で広げていく。そんな未来の姿が思い浮かんだ。
Sanrio English Master
