灘中合格者数22年連続日本一(41回目)という圧倒的な実績で知られる浜学園。関西の大手塾というイメージが強いが、東海や首都圏にも進出し、全国規模で展開を進めている。首都圏での展開はまだ7校舎にとどまるものの、開成中学校(2026年度合格者数42名)をはじめとする最難関校へ次々と合格者を輩出し、首都圏の中学受験シーンでも存在感を高めている。
高校授業料無償化などを背景に私立志向が高まり、塾選びへの関心も増している今、なぜ浜学園は難関校に強いのか。その理由を探ると、「徹底した復習主義」「現場講師主導の教材・授業づくり」「時代にあわせた進化」という、合格を支える3つの柱が見えてきた。その教育の核心について、松本茂学園長に話を聞いた。
「徹底した復習」と「非認知スキル」…変えないものと、変えてきたもの
--浜学園が大切にしている指導方針について、長年にわたって変わらないものと時代にあわせて変えてきたもの、それぞれをどのようにお考えですか。
まず、長年にわたって変わらず大切にしてきた指導の根幹は、徹底した復習です。
それを象徴する取り組みとして、毎週実施している復習テストでの相互採点があります。復習テストは授業から1週間後に学習の定着度を確認するためのテストで、終了後は隣の生徒と答案を交換して採点しあいます。その場で点数がわかるので、1週間の努力の成果をすぐに実感できますし、高得点者ベスト3の名前は黒板に掲示されます。こうした適度な競争も、生徒たちの刺激になっています。

もちろん、ただ競争させれば良いわけではありません。生徒のレベルにあわせて、頑張ればきちんと結果につながる難易度になるよう、教材やテストはすべて、実際に現場で教えている講師が作成しているというのも、浜学園が長年にわたって大切にしているところです。
また、勉強だけでなく、通塾時の交通マナーなどを含めた心構えや挨拶、授業の始まりと終わりの起立・礼といった人としてのふるまいも丁寧に指導し続けています。こうした基本的な生活習慣は、子供が人として成長していくうえでの足場となるだけでなく、受験前後の難しい時期にこそおおいに生きてくるからです。
一方で、時代にあわせた進化として、非認知スキルトレーニング「WEBSTAR」の導入があります。「WEBSTAR」は、正解のない問いに対して自分の考えを組み立てるトレーニングで、対話や議論を通じて非認知スキルを養うプログラムです。近年の中学入試では、初めて見る資料などを読み取る思考力や判断力、自分の考えをまとめる表現力が問われるようになっています。知識やパターンの暗記だけでは対応できず、本質的な理解が必要ですが、その土台となるのが非認知スキルです。
特に近年は人間関係の希薄化や自然体験の減少などにより、子供たちが非認知スキルを身に付けにくくなっており、より意図的に育成していく必要があると考えるようになりました。

--「灘中合格者数22年連続日本一」という実績を築き続けてこられました。その背景には、どのような要因があるとお考えですか。
まずは、たくさんの可能性をもった子供たちに、保護者の方々が中学受験へ挑戦する機会を与えてくださったことが大きいと思います。そして、優秀な仲間が集まる環境の中で、子供たち自身が高い目標に向かって、努力を重ねてくれた結果です。
そうした中で、22年間も日本一を維持できた背景には、子供たちの変化を感じ取りながら、教育を日々進化させてきた講師や職員の存在は大きいと感じています。残念ながら、すべての子が第一志望校に合格できるわけではありませんので、講師も職員も毎年必ず悔しい思いが残ります。この悔しさが「次こそ何とかしてあげたい」という思いとなり、授業や教材、環境など、さらなる改善に向けた努力につながっていく。こうした常に現状に満足しない姿勢が、合格実績を支えているのだと思っています。

生徒が講師を評価し、講師が教材を作る…浜学園の「現場主義」
--昨年のリセマムのインタビューで、副学園長で算数教科責任者を務める小澤博則先生は、「浜学園の強みは、テキストや解説動画を通して、どの教室にいても、通信講座でも同じ体験ができるところ」だとおっしゃっていました。講師の授業品質はどのように担保されているのか、具体的な仕組みがあれば教えてください。
2つあります。まず1つ目は、生徒による2か月に1回の授業アンケートです。授業のわかりやすさを100点満点で評価してもらい、一定の得点を下回ると、その講師は授業担当から外れる仕組みになっています。ただこれは、あくまで子供目線のアンケートなので、わかりやすさだけでなく、楽しさが結果に反映される可能性もあります。
そこで2つ目が、各教科の責任者による授業の巡回です。この巡回は報告書にまとめて提出される仕組みです。巡回は事前通知なしで行うため、講師側は特別な準備ができません。さらに、事前申し込み制ではありますが、保護者による授業見学も可能です。このように、常に「見られている」緊張感の中で授業を行うことが、授業のクオリティーの維持につながっているのだと思います。
一方で、細かな指導マニュアルに基づき、全講師が画一的に教えるような授業にはしていません。講師ごとにキャラクターがありますし、校舎やクラスによって子供たちの状況も異なります。日本の武道や芸事の修行で「守・破・離」という概念がありますが、まさに我々も、指導書によって教え方の「型」は共有しつつ、それぞれの講師が最善を目指し、工夫しながら柔軟に授業を組み立てています。さらに浜学園にはお客様対応専門の職員が各教室におり、講師が授業だけに専念できる体制も整えています。
--講師自身が授業技術を磨き続ける環境が自然と保たれているのですね。では、そのような講師のもとで、テストやクラス編成など、子供たちの学力が伸びる仕組みはどのようになっているのでしょうか。
浜学園では、毎週の復習テストと月1回の公開学力テストの結果をもとにクラスを編成します。公開学力テストは出題傾向の変化にあわせて毎回新しく作成し、教材についても、変えるべき部分はしっかり見直しています。
クラス帯が違っても教材や授業進度は同じですが、学習の深度が異なります。同じ単元でも、基本・標準・応用とレベル別の問題を用意し、どこまで取り組むかをクラス帯ごとに調整しています。そうすることで、子供たちは自分に見合った適切な負荷のもと、学習を進めていくことができます。中学入試で必要な学習内容はある程度決まっており、浜学園ではそこから逆算してカリキュラムを組み、どのクラス帯でも最終単元まで到達できるよう設計しています。

浜学園と言えば難関校に強いイメージをもたれがちですが、実は基本問題への取り組みが手厚いという点も特徴的と言えます。保護者の中には「基本問題だけで大丈夫なのか」と不安に思われる方もいらっしゃいますが、スパイラル型のカリキュラムでは、ある単元を初めて学ぶ際に「標準」だった問題が、次にその単元に戻ってきたときには「基本」として扱われます。つまり、徹底した復習主義のもと、繰り返し学ぶたびに基準が一段上がることで、無理なくレベルアップしていく仕組みなのです。
--教育の世界では、個別最適化という言葉が浸透しつつあります。集団塾ならではの強みはどういったところにあると思われますか。
確かに最近では、「わからない問題をすぐ横で教えてほしい」という要望も増えています。しかし、すぐに正解へのプロセスを教えてしまうと、1人で本番に臨むときに最後の一歩が足りなくなることがあります。周囲の子より遅れることもあるかもしれないけれども、子供自身が悩み、考える時間がなければ、本当の意味で学習内容は定着しません。仮にその時点では消化不良のままであっても、ひととおり単元を学んだあと、時間が経ってから「そういうことだったのか」と理解が深まることも多くあります。そうした試行錯誤があるからこそ、自分の力で考え抜けるようになる。その結果、解ける問題が増えていくのです。浜学園が「入試に強い」と言っていただけるのも、最後の局面でこうした粘り強さや折れない心が生きてくるからだと思います。
関西で培った密着指導と、三大都市圏の知見を首都圏へ
--高校授業料無償化などを背景に中学受験への関心が高まっていますが、現在の関西の中学受験の状況をどのようにみていますか。
特に大阪府では高校授業料無償化の影響で私立人気が高まりましたが、2026年度入試ではやや落ち着きを見せています。それよりも、各私立学校が積極的に改革を進め、多様化が進み、選択肢が広がったことが、関西で中学受験への関心が高まっている大きな理由だと感じています。
以前は、学校の校風よりも大学合格実績を重視し、偏差値による序列で志望校を選ぶご家庭が多くみられました。しかし最近は、「この学校の教育方針に共感した」「この環境で学ばせたい」と考え、中学受験に挑戦されるご家庭が増えてきている印象があります。
--首都圏への展開に込めた思いを聞かせてください。
同じ中学受験塾でも、関西の塾は密着型、首都圏の塾はドライ、というイメージをもたれることが多いと思います。浜学園は、そのちょうど中間のような存在かもしれません。特に首都圏は現在7校舎のみで、まだ規模としては小さい。その分、ご家庭との距離が近い小規模塾のような良さがあります。一方で、関西や名古屋では十分な実績があり、大手塾ならではのスケールメリットも感じていただけます。そういう意味では今、首都圏で浜学園は“お買い得な塾”だと言えます。また、浜学園では幼児教室も運営しており、幼児期から一貫した環境で学べるのも、メリットとして感じていただきやすい点だと思います。

浜学園に対して「昔ながらの詰め込み型」というイメージをもたれる方もいますが、今日もお話をしたとおり、中学受験塾としては初めて非認知スキル育成にも力を入れ、最新の入試傾向にあわせた改革も進めています。数多くある中学受験塾の中で、首都圏・名古屋・関西という三大都市圏を1つの企業体で運営している塾は浜学園だけです。講師陣も各地域で授業を行い、「今の子供たちに必要な力は何か」「どんな教え方が最適か」を常に磨き続けています。もちろんその知見は、全国の塾生に還元されます。
教材は全エリア共通ですが、当然ながら首都圏・名古屋・関西それぞれの入試傾向を踏まえて作成しています。6年生の日曜志望校別特訓では、首都圏の学校に特化した授業も用意しています。幅広い地域の入試問題から良問を選び抜いているため、質の高い問題演習ができるのも浜学園の強みです。
--ありがとうございました。
【浜学園 首都圏教室責任者 佐藤一暢氏】灘で磨いた「考える力」を、首都圏入試へ
浜学園は関西で実績を積み重ねてきましたが、その指導の核にあるのは一貫して「自ら考え、解き切る力」です。この力は近年の首都圏入試とも高い親和性があります。
その象徴的な例が、灘中学校の国語です。近年は、時事的なテーマに対して自分の考えを述べる問題が出題されるなど、従来の知識型から大きく変化しています。2026年度の灘中入試の国語で、浜学園の生徒が最高得点を記録しました。単なる知識の積み重ねではなく、「問いを理解し、自分の言葉で考えを構成し、表現する力」が求められる中で結果を出せたことは、これまでの指導方針の有効性を示していると考えています。
首都圏では、こうした記述・論述問題がより多くの学校で出題されており、浜学園でも答案構成力や表現力の強化に重点を置いた指導へと進化を図っています。灘で求められるレベルのアウトプットに対応できる力を前提に、首都圏の入試にも無理なく対応できるカリキュラムを整備しています。
浜学園の指導の特徴は、自分で考えて手を動かすことと、復習を徹底している点にあります。図形の書き方や表のまとめ方など、ノートの取り方まで丁寧に指導し、宿題では授業で扱った問題をもう一度自分で考え、考え方をノートに整理してもらいます。首都圏の保護者からは、「低学年から考えさせる問題が多い」という声をいただいています。自分なりの道筋を考えてアウトプットする力が、偏差値60を超えたあたりから大きな差を生みます。そのため浜学園では、低学年からこの姿勢を徹底しています。
今年、最難関校に合格したご家庭からも、「学年が上がるほど、浜学園で培った考える習慣が生きた」という声をいただきました。この考える習慣は、中学入学以降、大学入試やさらに社会に出た後も支えてくれる、一生の財産になると考えています。
今、社会全体が「自ら考え、意見を述べる力」を重視する方向へと大きく舵を切っています。浜学園でも、こうした変化に対応する教育を、スピード感をもって取り入れています。これは関西で圧倒的な合格実績を支えてきた教材と授業力に並ぶ、私たちの強みです。また、現在は家庭学習で取り組んでもらっている「非認知スキル育成プログラム」を、今年の夏からは首都圏先行で教室でも授業として実施する予定です。私たちは単なる合格だけでなく、その先の未来で活躍できる力を、中学受験を通して育てていきたいと考えています。
22年連続で灘中合格者数日本一という実績の背景には、「自分で考える力」を徹底して育てる姿勢があった。復習主義を軸に、本質は守りながら時代にあわせて進化を続ける。その積み重ねこそが、浜学園の強さなのだと感じた。
難中合格者数22年連続No.1【浜学園】の詳細はこちら
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