1982年の創業以来、40年以上にわたり関西を中心に、集団指導や個別指導、オンライン学習、英会話、保育、日本語教育など幅広い教育事業を展開している開成教育グループ(成学社)は、2026年9月21日、マイドームおおさかで第37回「開成進学フェア」を開催した。200を超える学校ブースの出展や2027年度入試分析会、公立学校別講演会、約1,000組の事前申込みがあった個別教育相談などを実施。会場には約2,000組・4,000名超が来場し、中学・高校受験を見据えた親子が熱心に情報収集や相談を行う姿が見られた。会場に集まった親子の姿や分析会で示されたデータから、関西受験の現在地と進路選びのポイントを探る。
開成教育グループスタッフ総出、個別教育相談には約1,000組が事前申込み
午前10時の開場前、マイドームおおさかの入口には入場を待つ親子の列ができていた。受験を控えた小中学生の親子をはじめ、早い段階から進路や学校選びを考える低学年の小学生とその保護者の姿も多く見られた。

フロアには200を超える学校ブースを構え、担当者が教育方針やコースの特色、学校生活、入試制度などについて来場者の質問に応じた。親子で資料を見比べながら次に訪れるブースを相談したり、気になる学校について熱心に質問したりする姿があちこちで見られ、終日にぎわいを見せた。


ひときわ存在感を放っていたのが、今回大幅に拡充した個別教育相談コーナーだ。事前申込みは約1,000組に達し、当日は80以上の相談ブースを設置。開成教育グループのスタッフが1組約20分かけて、志望校・併願校の選び方や秋以降の学習計画など、ひとりひとりの状況にあわせた相談に応じていた。


このほか、プログラミングやAIなど学校独自の学習プログラムや取組みを体験できる「ためしてハッケン! 学びステーション」、中高生による演奏ステージ「Kaisei Music Fair」、ブース訪問ラリーによる抽選会、休憩・飲食エリアなども設けられた。学校選びや受験情報の収集だけでなく、親子で楽しみながら学びに触れられる工夫も随所に見られた。


高校、公立中高一貫校、私立中学の2027年度入試の最新動向や戦略を紐解く入試分析会や、公立中高一貫校3校と公立高校15校による学校別講演会も開催。最新の情報を求める多くの親子で席が埋まり、メモを取りながら耳を傾ける姿が印象的だった。
合格最低点から逆算、私立と公立で異なる高校受験の戦略
「大阪府高校入試分析会」では、まず今後の流れを確認した。2027年度の京阪神の私立高校統一入試日は2月10日、大阪府公立高校一般選抜は3月10日。私立高校は11月の定期テストや実力テスト、模試の結果をもとに、12月に受験校を決め、その合格発表後に公立の出願校を固める流れが一般的だ。

印象的だったのは、公立高校を第一志望とする家庭への問いかけに対し、手をあげなかった参加者が多かったことだ。高校授業料無償化の影響もあり、私立高校を志望校の有力な選択肢として考える家庭が増えているようすがうかがえた。公立第一志望であっても、秋の段階から併願する私立高校の情報収集を進めておく必要があると呼びかけた。

一方で、私立高校選びでは授業料以外の費用にも目を向ける必要がある。入学金や施設費、制服代、教材費のほか、部活動への参加を希望する場合は、コースの授業や講習との両立が可能か、実際にどの程度活動できるのかまで確認しておくよう助言があった。
倍率の見方についても注意が促された。公立高校は希望調査から本番までの倍率推移を確認することが重要だが、私立高校は出願倍率だけでなく実質倍率にも注目する必要がある。分析会では、2026年度の近畿大学附属高校Super文理コースを例に紹介。出願倍率は18.40倍だったものの、第一志望コースの実質倍率は専願2.33倍、併願1.78倍だった。私立高校は併願合格者が他校へ進学することを見込み、募集人員を上回る合格者を出すため、出願倍率だけで難易度を判断してはいけないという。
そのうえで強調されたのが、「合格最低点から逆算して学習計画を立てる」という考え方だ。「模試は現在地を知るためのもの、過去問は志望校との相性を確かめるためのもの」と位置付ける。過去問の問題冊子だけでなく解答用紙も確認し、国語の古典や作文、数学の図形や記述、英語のリスニングや長文読解など、どの分野に配点の比重が置かれているかを分析する。大問の順番や記述量、解答欄の大きさ、試験時間、検定利用の条件まで確かめ、時間をかける問題を決めておく。合格最低点まであと何点必要なのかを教科ごとに把握し、どこで得点するかを見定めながら対策を進めることが大切」と呼びかけていた。
開成教育グループが高い合格実績を誇る、公立中高一貫校入試
続いて「公立中高一貫校入試分析会」では、大阪の公立中高一貫校である「咲くやこの花中学校」「水都国際中学校」「富田林中学校」の出願動向や選抜方法、合格ラインなどについて解説された。開成教育グループは2026年度入試で、咲くやこの花中学校に51名(定員 70名)、水都国際中学校に54名(定員 70名)、富田林中学校に10名(定員 105名)の合格者を輩出している。こうした高い実績を支えているのが、長年にわたり蓄積してきた受験データだ。分析会で示された学校別・分野別の合格ラインは、受験生から提供を受けた得点開示データをもとに作成。さらに合格者の答案も収集し、「どのような答案が得点につながったのか」を講師間で分析しているという。

3校はいずれも府内全域から受験できる人気校だが、教育内容や選抜方法は大きく異なる。咲くやこの花中学校は「ものづくり(理工)」「スポーツ」「言語」「芸術(美術・デザイン)」の4分野で募集し、中高一貫の6年間で専門性を伸ばす。水都国際中学校は英語教育や国際理解教育を特色とし、高校では国際バカロレア・ディプロマ・プログラムを展開。富田林中学校は科学教育とグローカル教育を軸に、大学や企業、地域と連携した探究活動を行っている。
選抜方法も学校ごとに大きく異なる。咲くやこの花中学校は共通の適性検査I(国語・算数的問題)に加え、自己表現作文と4分野別の適性検査IIを実施。水都国際中学校は適性検査I(国語・英語)、適性検査II(算数)、適性検査III(論文)で選抜し、国語・英語での得点確保と難度の高い算数での失点防止がポイントとなる。富田林中学校は適性検査I(国語・英語)、適性検査II(算数)、作文、適性検査III(理科・社会)を課し、理科・社会では思考力や読解力を問う問題が特徴的で、完答問題への対応力も求められるという。

講演では学校ごとの合格ラインを提示しながら、各検査で目標としたい得点や対策のポイントを解説。志望校の出題傾向を踏まえ、どの分野で得点を積み上げるかを早い段階から見極めることの重要性が強調された。さらに、2026年度入試から募集定員が変更となり、咲くやこの花中学校と水都国際中学校が各80人から70人、富田林中学校が120人から105人へと減少している。2027年度も受検者数が大きく変わらなければ倍率上昇も考えられることから、例年以上に合格ラインを意識した得点戦略が求められそうだ。
小6人口減でも増える私立中学受験
「私立中学入試分析会」では、少子化が進むなかでも私立中学受験の人気が高まっている現状が示された。近畿2府4県の小学6年生は前年比3,350人減少した一方で、2026年度入試解禁日初日午前の受験者数は1万7,854人と前年を207人上回った。受験率は過去20年間で最高となる10.9%に達し、1人あたりの平均受験回数も3.19回へと増加した。

その背景として、高校授業料支援の拡充による中高一貫教育への関心の高まりや、共学校人気の上昇、受験機会の多様化などをあげた。子供の数が減る一方で、中学受験を選択する家庭は増えていることがデータから読み取れる。

2027年度の近畿圏私立中学入試は1月16日の統一日程からスタートする。近年は複数回入試を実施する学校が増え、同じ日に午前と午後で別の学校を受験したり、同じ学校を複数回受験したりするケースも珍しくない。6年生はこの秋以降、模試やプレテストの結果を参考にしながら、併願校や受験日程を具体的に固めていくことになる。
入試方式も2科・3科・4科に加え、英語利用型や資格優遇型、適性検査型、自己推薦型など多様化が進む。講演では、4・5年生に対し、第一志望校が2科目入試であっても早い段階から学習科目を絞り込まないよう助言があった。併願校の選択肢を広げるためにも、小学6年前半までは理科・社会を含めて幅広く学び、夏以降に学校別対策へ移行することが望ましいという。

また、受験校選びでは学力や志望順位だけでなく、試験会場間の移動時間や当日の負担も考慮した日程設計が重要だと注意を促した。受験機会が増えているからこそ、最後まで力を発揮できる無理のないスケジュールを組むことが合格への鍵になりそうだ。
家族で考える受験、子供が能動的に自らの未来を選ぶきっかけを
講演や相談を終えた来場者に話を聞いた。両親と参加していた小学6年生は、第一志望の咲くやこの花中学校の講演に参加。「学校見学にも行ったことがありますが、自由な校風が自分にあっているとあらためて感じました。有意義な時間でした」と笑顔を見せた。お母様も「府立中高一貫校の校長先生のお話を一度に聞ける機会はなかなかありません。学校選びの参考になりました」と話し、親子にとって志望校への思いを確かめる機会になったようだ。
高校受験個別教育相談コーナーで相談を受けた直後の中学3年生は、「公立高校が第一志望なのですが、私立併願校について悩んでいたので、自分に合いそうな学校について具体的に聞くことができました」とほっとした表情を見せた。お母様は「まず個別教育相談で学習計画や私立の併願校選びについてアドバイスを受けたので、これから、その学校ブースを回る予定です。候補や質問を整理してから学校のお話を聞けるので助かります」と話し、学校選びへの不安を1つずつ解消していくようすがうかがえた。
個別教育相談コーナーには途切れることなく利用者が訪れ、スタッフがフル稼働していた。この大規模な相談体制を実現した背景について、開成教育グループ(成学社)の永井博社長に話を聞いた。

永井博社長は「ひとりひとり、丁寧に合格をつくる塾でありたい」と語る。昨年約100組だった相談枠を約10倍に広げ、今回は約1,000組の事前予約を受け付けたという。背景には、入試制度や学校選びの複雑化がある。
「以前は来場者が少なかった個別教育相談コーナーは、この数年で需要が急増しました。学校のブースを回るなかで生まれた疑問を、豊富な学校情報と入試分析をもつ塾の立場から整理してほしいという要望に加えて、普段の担当講師とは異なる視点を求める“セカンドオピニオン”のニーズが高まっています」(永井社長)
大規模な個別相談を支えているのが、各教室で蓄積してきたデータとICTの活用だ。80を超える相談ブースでは、生徒の成績推移や志望校、過去の面談内容などを確認しながら相談を実施。初めて対応する相談員でも、生徒の状況を把握したうえで助言できる仕組みが整えられていた。当日の相談内容もその場で記録され、通塾先の教室へ共有されるため、その場限りの助言に終わらず、日々の指導へとつなげられる。

永井社長は「本部が仕組みをつくるだけでは意味がありません。実際に運用するのは子供たちに向きあう講師たちです。現場スタッフひとりひとりが情報を活用できてこそ価値が生まれます」と話す。今回の取組みからは、講師個人の力量に依存するのではなく、蓄積されたデータや知見を組織で共有しながら、ひとりひとりの指導に生かす支援のあり方が見えてきた。さらに永井社長は、この日の体験が受験だけでなく将来について考えるきっかけになることを期待する。
「学校説明や個別教育相談を通して親子が同じ情報に触れ、現在地を共有することで、将来どんな人になりたいのかを一緒に考える時間が生まれるはずです。成績だけで学校を選ぶのではなく、能動的に自分の未来を考え、進路を選ぶ経験をしてほしいと願っています」(永井社長)
複雑化する入試制度の中で、家庭だけで情報を集め、進路を判断することは容易ではない。学校、塾、そして親子が同じ場で向きあう「開成進学フェア」は、受験を単なる合否の勝負ではなく、子供たちが自らの将来を主体的に考える機会へと変える場となっていた。難関校を目指す受験生だけでなく、ひとりひとり異なる志望校や学力に寄り添いながら伴走する。その姿勢こそが、40年以上にわたり地域の教育を支えてきた開成教育グループの強みといえるだろう。
目的に最適なコースだから“伸びる”。開成教育グループ

