ルーテル学院大、「被災後の子どものこころのケアの手引き」を発行

 ルーテル学院大学は4月11日、チャイルド・ファンド・ジャパンと協働して「被災後の子どものこころのケアの手引き」を公開した。

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被災後のこころのケア
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 ルーテル学院大学は4月11日、チャイルド・ファンド・ジャパンと協働して「被災後の子どものこころのケアの手引き」を公開した。

 同手引きは、チャイルド・ファンド・ジャパンの加盟団体であるChild Fund International(発行当時 Christian Children’s Fund)が、2001年9月11日に米国で発生した同時多発テロ後1周年に向けて作成した「Remembering Septemer 11th:A Manual for Caregivers」をもとにしたもの。東日本大震災後の子どものこころのケアについての手引書となっている。内容は、チャイルド・ファンド・ジャパンのボランテイアが翻訳し、ルーテル学院大学が監修して訳を整え、東日本大震災の状況に合わせて一部加筆したという。今回の大震災のこころのケアの問題は、長期戦になることが予想されることから、敢えて、震災1ヶ月後のこの時期に発刊したという。

 同手引きでは、これまでの経験から、災害の後始末が終わり、被災地に日常が少しずつ戻り始めたころから、頭痛や不眠、歩行障害などの身体化症状が顕著になったり、ふさぎこんだり罪悪感にさいなまれる、現実感の喪失など、潜伏していたこころの問題が顕在化して、ケアが必要になるとしている。

 まずは、援助者自身がストレス状況におかれたときに身体はサインを出すパターンがあることを知っておくことが大切で、その上で子どもの行動にも注意を向けるようにとしている。

 第1章では「被災後のこころのケア」と題し、子どものこころのケアに関する長期的展望やどのような対応が必要かなどについて、阪神大震災との違いについても交えて述べている。

 第2章では、子どもたちの回復力の構築を助ける提案について、「家族」「学校」「地域」に分けて触れている。5歳以下の場合はアルバム作りをして、心に残る思い出を語ることにより、記憶を新たにする方法を紹介している。また、中高生には対処法を話し合い、他の人に助けを求めてもよいことを伝える活動例を載せている。

 なお、同手引きは特に教育関係・福祉関係者および保護者による中長期的な子どものこころのケアに活用してもらいたいとし、自由にダウンロードしてほしいとしている。

《前田 有香》

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