海外での子女教育に関する要望、トップは「受入校や受入枠の拡大」

 日本在外企業協会は、2011年「海外・帰国子女教育に関するアンケート」調査の結果を公開している。

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日本人学校に関する問題点
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 日本在外企業協会は、2011年「海外・帰国子女教育に関するアンケート」調査の結果を公開している。

 同調査は、会員企業の海外派遣社員数・家族帯同者数・海外子女数、海外子女の教育相談の状況およびさまざまな問題点(日本人学校・補習校・現地校・インターナショナルスクール・就学前教育・帰国子女教育)等の把握を目的として、1999年から隔年実施しており今回で7回目となる。今回の調査期間は6月29日〜7月22日、アンケート用紙送付で同会員企業127社から回答を得た。

 ここでは、海外における子女教育に関する問題点についてみることにする。問題点としてもっとも多かった意見は、日本人学校では「赴任地の近くにない」77件(30%)、補習校では「授業内容・レベル」62件(30%)、現地校では「言葉やコミュニケーション」83件(31%)、インターナショナル校では「高額な授業料」96件(35%)。

 就学前教育については、「日本語の教育」43件(19%)、「幼稚園が少ない」42件(19%)、「高額な教育費の負担」40件(18%)が多く、続いて「現地情報の収集」32件(14%)、「教育制度の違い」26件(12%)、「幼児教育のあり方・内容」26件(12%)が続いている。

 帰国子女教育に関する要望・問題点としては、「受入校や受入枠の拡大」が30件(23%)ともっとも多く、特に地方都市での受け入れ枠が不十分なことに加え、大学入試では私立理系や国公立の合格には相当の困難を伴うとの指摘があるという。

 2番目に多い「受入体制・受入制度の柔軟化」は29件(22%)で、帰国子女をある程度優遇する配慮や、長期間海外生活をしている帰国子女の受け入れ体制が整備されている学校が少ないとの指摘がある。また、私立に比べて公立高校の受け入れ体制が整っていないとの指摘があり、現地での滞在期間による帰国後の受験制限の緩和を求める声もある。次に多い「帰国子女への適応教育」27件(20%)では、国語や理科などの補習学習を求めるもの、異文化適応能力や外国語能力など帰国子女の得意分野の充実に努めて欲しいとの要望や、日本の文化や風土にもなじみ周囲から浮き上がらないように教育現場と家族との連携を求める声がある。

 日外協で今後取り上げて欲しい海外子女教育関連の話題としては、32社から39件寄せられた。「情報収集に関するもの」が32件ともっとも多く、内「海外に関するもの」が10件で内容は、赴任先の学校情報、インターナショナルスクールと日本人学校との学力レベル、幼児教育の実情、非大都市におけるインターネットを活用した教育内容、新興国での子女教育の状況、中高生の帯同に関するものなど幅広い。

 次に「各社の教育費の状況」、特に「会社の補助の実態を教えて欲しい」が9件ある。また「日本国内に関する」ものが9件、その内容は「帰国後のメンタルケアに関する情報」「帰国子女枠のある国内校の情報」などで、こうした情報は帰国子女ばかりでなく、逆出向で日本に子女を帯同するケースなど日本に来る外国人の子女の教育問題についてのレクチャーを求める声もあがっている。

《前田 有香》

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