オバマ大統領も推進、STEM教育を体験するスタイリッシュなFAB Learning
「FAB Learning 2013」は、親子、グループでモノ作りに挑戦しながら、想像力やコミュニケーションスキルを駆使し、課題克服力をつけ、エンジニアリングの考え方を育てようという新しいタイプのワークショップだ。
教育・受験
学習
advertisement

FAB Learning 2013は、FabLab Kamakura, LLCの協力を得て、ベネッセコーポレーション主催で行われた。FAB Learningプロジェクトのベースとなるものは、MITメディアラボから始まった「FabLab」という活動だ。FabLab Kamakuraの代表である渡辺ゆうか氏によれば、レーザーカッター、3Dプリンタ、モデリングツールなどデジタルクラフトワークによる新しいモノ作りの形を広めることを目的とし、その趣旨に賛同した人たちによって、世界中にFabLabが作られており、それぞれが理念を共有しながらも独自の活動を展開しているという。
FabLabの活動は、先進国では、次世代の産業を担う人材育成やデジタル時代のリテラシーとして教育に取り入れたり、途上国、新興国では、従来型の大量生産にこだわらないモノ作りや地域産業活性化のスキームのひとつとしても注目されている。
また、オバマ大統領は、自身の教育政策や人材育成について、STEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)教育の推進を掲げている。これからの時代、理数系の教育に力を入れないと、科学技術だけでなくビジネスの分野でも国際競争力を発揮できなくなるという考えから、すべての学校に3Dプリンタを導入しようという動きさえある。
FAB Learningは、FabLabの理念をSTEM教育に生かせないかという実験的なプロジェクトともいえる。実際のワークショップは、親にも課題が与えられ、グループや全員で議論し合い、発表による共有も行う。オライリー・メディアなどが実施している「make」というイベントに似ている部分もあるが、Fab Learningは親子を対象とし、理数系の発想や思考を養い、モノ作りのテクニック、エンジニアリング、サイエンスを学びつつ、アイデアを共有するための伝え方などを総合的に学習することを目的としている。
今回のプログラムは「光」をテーマに、初日は色が変わる光る立体(正12面体)を作る。光り方は自分でプログラムすることができ、各自がどんな光を作ったかを発表・共有する。発表のときに出た光り方(ピカピカ、キラキラなど)について自分でひとつ好きなものを選び、その光り方をするモノを次回までに見つけてくることが宿題として出された。
2日目は、宿題を発表してもらい(信号機、ネオンサイン、涙など)、光るキューブをピクセルに見立てそれらを並べて表現する方法を考える。そして、グループごとにキューブで表現したモノのコマ撮りアニメを作成した。最後にグループごとのビデオを鑑賞し、感想と「もっとこうしたかった。」を話し合った。
正12面体は、モデリングソフトで展開図を作成し、ロボットカッター(プリンタの原理で紙を切り抜いてくれる機械)で紙を加工する。ただし、大人は定規、コンパス、カッターなど手作業で行わなければならない。コマ撮りアニメは専用のデジカメを使い、PCの編集ツールで動画に仕上げる。このような作業を通じて、子供たちは、自然に新しいツールによるモノ作りに親しむことができ、デジタル機器の使い方や考え方を身に着けることができる。大人も実際に作業することで、ワークショップ終了後の振り返りや改善点の話し合いも活発になる。
今回のFab Learningの参加対象は幼児~小学生とその親となっており、比較的低い年齢層をターゲットとしたプログラムが組まれている。中学生や高校生向けのプログラムがほしいなどという意見はあるかもしれないが、まだ実験的な側面もあるそうで、FabLab Kamakuraやベネッセコーポレーションでは、参加者の反応や効果を検証しながら、今後のプログラム内容に反映させたり、対象を広げていきたいとしている。
※お詫びと訂正:初出時、FabLab Kamakura, LLCの主催としておりましたが、正しくは、ベネッセコーポレーション主催です。ここにお詫びして訂正させていただきます。
advertisement
【注目の記事】
関連リンク
この記事の写真
/
advertisement