【民間人校長】元新聞記者で最年少校長 北角裕樹氏が体感した学校現場

 転職サイトも利用するなど注目を集めた大阪市の民間人校長だが、配属から2か月、校長は何を感じ、職務にどのように向き合っているのだろうか。元新聞記者の民間人校長、北角裕樹氏を追う。

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北角裕樹校長
北角裕樹校長 全 2 枚 拡大写真
 では、北角校長の1日を見てみよう。

6:00 起床
7:00~7:30 学校に到着
~8:00過ぎ 校門であいさつに立つ
8:40~50 職員朝礼。最後に校長から一言(毎日)
9:00~ 先生方の面接(1人30分、1日4名程度)※先生の都合に合わせる形/廊下を歩いて授業見学
12:40~ 昼食。できるだけどこかのクラスで食べる/昼食後、再び先生方の面接や授業見学など
16:30~ 部活見学
19:00 退勤

 以前、筆者が勤める株式会社Z会の仕事で行ったインタビューにおいて、文部科学省の担当者が「校長室に閉じこもる校長は一番信頼されない」と話していたことを思い出した。

 一方、北角校長自身も、教頭先生を初めとする先生方のことをとても信頼している。

 「とにかく、教頭先生、すごいんですよ。事務処理も早いですし、生徒のことをよく見ています。そして、これは教頭先生に限らず、先生方みんな、生徒の行動を先読みする力があり僕は叶わない。僕も負けないように、生徒のことを見つめて、早くその力をつけていきます。」

 巽中学校の先生陣は、良いタッグが組めそうだ。校長のブログ「民間人校長、北角裕樹の校長工房」の記事「教師の文化と記者の文化」にて、下記のように書かれていることからも、チームワークの良さが伺える。

 「先日ちょっとしたトラブルがあって、会議中に連絡が入りました。そのとたん、先生はみな職員室を飛び出して行きます。何があったのか聞き取れなかった僕は、現場の到着に一歩遅れをとりました(その後「校長は出て行ってはいけません。学校で待機していただかないと」と職員から怒られました)。素早くみんなで対処する機動力には、感心させられました。」

 また、民間出身らしい発想で、早速独自の施策も行っている。

 「校長室をできる限り開放しようと思っているんですよ。“校長に突撃インタビュー!”などを企画して、できる限り生徒たちと素の会話をしたくて。」

 すでに放課後の時間を利用して実行に移しているようだ。部活で忙しい生徒には、朝練で一緒するなどして、部活の中で対話の機会を持とうとしている。

 最後に、学校教育の現場と民間との違いを意識しながら、今後の抱負を聞いてみた。

 「学校の先生は、生徒の行動変化に敏感で、先を読んで対処する能力とその気持ちはとても素晴らしいと感じています。まだまだ僕にはできません。その一方で、その“先を読む力”を、学校、あるいは生徒を“守る”ためだけに使っている気がします。何かをするチャンスが訪れても、迅速に新しい方向に漕ぎ出そうとせず、機会を逸しているところがあるような…。素晴らしい先読み力を皆さんもっていらっしゃるので、その力を、ベンチャー企業のように“とりあえずやってみようか!”という気持ちに振り向けられる学校経営をしていきたいと思っています。」

 今後の北角校長の動きから目が離せない。

 次回は、生徒との触れ合いを中心に、北角校長が新たに取組む活動についても聞いていきたい。

<著者紹介>寺西隆行(株式会社Z会理科課課長)
1973年生まれ、東大工学部卒。高校数学の編集業務を担当した後、2004年からWeb広告・宣伝やWebPRの職務に従事、中高生向けSNSやオフィシャルブログなどの立ち上げに携わる。2009年、10年と2年連続で「日経ネットマーケティング イノベーションアワード」優秀賞受賞PJを率いる。2011年4月より現職。NPO法人CANVASフェローを務めるなど、公私問わず教育業界からの情報発信に精力的に取り組んでいる。
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《寺西隆行》

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