子どもができるロボットのプログラミング、「教育版レゴ マインドストーム」

 アフレルが9月より販売している「教育版レゴ マインドストームEV3」は、子ども向けレゴにはないギアやモーターなどのパーツが豊富で想像力を掻き立てる。製品の特徴や、学習要素、学校または個人での楽しみ方などを含めEV3をレビューした。

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自立走行中のジャイロボーイ
自立走行中のジャイロボーイ 全 11 枚 拡大写真
 このような添付プレゼン資料をEV3では「コンテンツ」と呼んでいる。コンテンツは「コンテンツエディター」で作成するが、操作はPowerPointなどのプレゼンツールと同等だ。テキスト、画像、動画、音声ファイル、URL指定などの要素でコンテンツを作ることができる。コンテンツは生徒用でも作成可能なので、生徒が作ったプロジェクトの内容説明やプレゼン資料を作らせることも、課題のレポートを作成させることもできる。

◆ロビー画面のルールさえつかめば後は楽

 ソフトウェアを起動すると「ロビー画面」という起点画面が表示される。ユーザーガイドは、PDFなので印刷しておくと便利。そのほかの利用方法は、動画またはアニメーションによるチュートリアルになっているので、操作や機能についてイメージを把握することができる。プログラミング概要は4分半ほどだが、生徒に対しては、先生が説明しながらチュートリアルを進めてもよいだろう。

 ただし、レゴやマインドストームがまったく初めてという人には、ロビー画面や各種チュートリアルの使い方など把握しにくい部分もあるかもしれない。筆者も最初は、組み立て図がどこにあるか分からず苦労したが、各ロボットの紹介「コンテンツ」の中にあると教えてもらった後は、何かを調べるのに迷うことはなくなった。ちょっとしたロビー画面のルールを覚えてしまえば、簡単に作業を進めることができる。

 困ったときは、「レゴ マインドストームEV3」のサポートページを参照してほしい。FAQなどで解決しなければ、問い合わせフォームで質問すればアドバイスが得られるはずだ。なお、前述の組み立て図の質問は問い合わせフォームで解決した。

◆組み立ては焦らずトレーニングロボットからがお勧め

 チュートリアルが済んだらロボットの組み立てだが、慣れていなければ「ロボットエデュケーター」でモーターやセンサーの動き、制御方法、必要なプログラミングについてチェックしておくとよいだろう。パッケージにもある「ジャイロボーイ」をすぐにでも組み立ててみたいかもしれないが、こちらは、組み立てそのものは1時間前後で可能だが、2輪でバランスをとる部分からプログラムする必要があり、好きな動作をさせるなど、応用していくにはそれなりの知識や経験が必要だ。ここでうまくいかなくなり、興味や意欲を失ってしまうのは非常にもったいない。

 「ロボットエデュケーター」の「組み立てガイド」に「トレーニングロボット」という項目がある。まずは、これを組み立てる。「組み立てガイド」では、まずトレーニングロボットのベースを作り、各種モーターやセンサーを拡張していきながらそれぞれの機能、制御方法やプログラミングを学べるようになっている。

 モーターは2種類あり、トルクがあり駆動システムに使えるLモーターとアーム類の制御に使えるMモーターがある。カラーセンサーは、色、反射光の強さ、周辺光の強さの3種類で、対象の色や明るさなどを検出する。ほかにもタッチセンサー(スイッチON/OFFのエッジ、状態が分かる)、超音波センサー(距離を測る)、ジャイロセンサーなどがある。赤外線センサーや温度センサーなども用意されている。

 モーターやセンサーは、インテリジェント化されており、プログラムでは、角度、回転数、cm/inchといった数値、色の名前などを指定したり読み取ったりできる。例えば、モーターは1度単位で回転を制御できるが、10cm進むといった指定ができ、カラーセンサーの出力もRGB値などではなく「赤か」「青か」という判別が可能である。このレベルの抽象化は、子どもでもプログラムがしやすい。

◆プログラムはアイコンをつなぎ合わせるだけ

 プログラミングは、プロジェクト画面から行う。画面最上部のメニューバーから「ファイル」を選び、プロジェクトを開くか新規作成する。すると、プロジェクトの初期画面が表示され、その画面下に「動作」「フロー制御」「センサー」などジャンルごとに色分けされたタブが表示される。
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《中尾真二》

中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。エレクトロニクス、コンピュータの専門知識を活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアで取材・執筆活動を展開。ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

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