ディズニー、デジタル時代にフィルム撮影へこだわる最新作
近年、映画製作のデジタル化が急ピッチで進行している。特にハリウッド大手においては、デジタルへ完全移行されつつあり、先日、配給会社のパラマウントは米国内でのフィルム配給停止を発表。
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
デジタル化の最大のメリットは言うまでもなく大幅なコスト削減。またフィルムは交換の度に撮影を中断しなければならないため、俳優の負担軽減やスケジュール短縮もメリットとされている。監督たちの反応は様々で、大ヒット作『ゼロ・グラビティ』のアルフォンソ・キュアロン監督は、最新技術を追求した同作から初めてデジタルで撮影。また映画への愛情が描かれた名作『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督も、昨年公開された『鑑定士と顔のない依頼人』からデジタルに移行し、長年フィルムにこだわってきたトルナトーレ監督にも「デジタル化はメリットしかない」と言わせるほど、デジタルがスタンダードとなりつつある。
一方で、従来のフィルム撮影の美学、質感にこだわり続ける監督もいる。クリストファー・ノーラン(『ダークナイト』)や、クエンティン・タランティーノはデジタルを視野に入れていないと公言。また、来るアカデミー賞で最有力候補とも言われている『アメリカン・ハッスル』を撮ったデヴィッド・O・ラッセル監督もフィルムにこだわるひとりで、英紙The Independentによると「古風と言われても、迷信家や、ロマンティストと言われても、フィルムを愛しているんだ。フィルムには魔法、温かみがある。デジタルカメラは小型だし、早いので使うこともあるかもしれないが、僕は人間味のあるフィルムが好きだ」と語っている。
トム・ハンクス主演の『ウォルト・ディズニーの約束』(3月21日公開)もフィルムで撮影されている。同作は、ディズニーのミュージカル映画『メリー・ポピンズ』の誕生秘話を描いた作品で、その『メリー・ポピンズ』と同じ方法で撮影したいという製作意向により、フィルムでの撮影が行われた。完全移行しつつあるハリウッド・メジャーとしては容易でない選択だが、撮影監督のジョン・シュワルツマンは「フィルムには、ある種のエレガンスがあるんだ。それは今の段階ではまだ、デジタルでは出せないものなんだよ。スケジュール的には厳しくなったけど、映画にとっては良かったと思う。とにかくシックリきたからね」と説明する。
時代の流れとしてデジタル化は今後も加速していくだろうが、フィルムにこだわる製作者、そして映画ファンがいる限り、共存が続くだろう。
《編集部@RBB TODAY》
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