【AO入試の基礎13】大学を選ぶ際に必要な4つの観点

 AO入試や推薦入試を受ける予定の子どもを持つ保護者の質問に、教員経験を有し総合キャリア支援団体「MyCareerCenter」を運営する岡村洋平氏が答える連載「AO入試の基礎」。第13弾では、大学選びで必要な観点について話を聞いた。

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 AO入試や推薦入試を受ける予定の子どもを持つ保護者の質問に、教員経験を有し総合キャリア支援団体「MyCareerCenter」を運営する岡村洋平氏が答える連載「AO入試の基礎」。第13弾では、大学選びで必要な観点について話を聞いた。

◆「4つの観点」で大学を選ぼう

 自己分析をしたら、次に行うべきは、大学選び。受験を検討している高校生や保護者のなかには、「どうしてもこの大学に入学したい」というように、特定の大学への強い希望がある人もいるかもしれませんが、そうではない場合は、以下の4つの観点で大学を選ぶことになると思います。

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【1】自分がやりたいことができそうか?

 これは必須の条件。とはいえ、この条件だけだと、いくつかの大学が当てはまる場合があります。たとえば、「今すぐ」は特定の大学しか浮かばない場合でも、実際には複数の大学が当てはまることは少なくありません。「どうしてもこの大学に入学したい」というのではない限り、まずは複数の大学をピックアップして、そのなかから広く検討をするべきだと思います。というのは、いざ受験する大学を決めて志望理由書などを書き始めると、「そもそもなぜこの大学を受験しようと決めたんだろうか」と悩んでしまうことが必ずあるから。その時には、「いくつかのなかから選択をした」という経験があることが重要になってきます。

【2】できれば、「課題」の解決とも結びついているか?

 自己分析を行うなかで、自身の課題についても自覚することの重要性は前回の連載(第12弾)で述べました。「やりたいこと」ができそうかどうかというだけではなく、現在の自分の課題を解決することにつながりうるかどうかも必要な視点です。たとえばですが、「やりたいこと」のために解決すべき課題となるのが、「さまざまな考え方の人と接すること」だとしたら、単科大学よりも総合大学の方が適しているかもしれません。これは、たとえとしてわかりやすいものを挙げたにすぎないですが、こうした視点は必ず持っておきたいものです。

【3】入学にかかる費用・学生生活のための費用は?

 【1】【2】だけではなく、学費や通学できるのか(あるいは一人暮らしが可能か)なども踏まえる必要があります。国立大学の授業料は50万円強と学部や大学によらず一定ですが、私立大学は大学や学部によって大きな差があります。とはいえ、その一方で、奨学金の制度などもあるので、行きたい大学の学費が高くてもすぐに諦めず、このあたりの情報も調べてみましょう。

 また、一人暮らしの場合は、1か月の生活にどのくらいの費用がかかるのかも把握しておきましょう。大学生になると、多くの場合はアルバイトをして生活費を稼ぐことになるかと思いますが、生活費のためにアルバイトを多くすることになると本末転倒なので、保護者の方でも毎月の仕送りとしていくら払えそうかを明確にし、奨学金と合わせて、ある程度生活のイメージをしておくべきでしょう。ここは、場合によっては厳しい判断になるかもしれませんが、それだけに、大学選びのスタートの段階ではっきりさせておいたほうが良いと思います。

【4】実際に大学に行ってみて、どのように感じるか?

 【1】~【3】は、「論理」として考えることですが、それだけではなく、実際にその大学に行ってみてどのように感じたかという「感覚」も、もちろん重要です。これについては、オープンキャンパスが有意義な機会として存在しています(連載の第7・8弾で扱っています)が、それ以外にも、秋に行われる学校祭などもありますし、地方にいると難しいところもあるかもしれませんが、なるべく机上だけで考えるのではなく、大学に足を運んで決定するようにしましょう。その経験があると、大学に入りたいという思いが明確なものになるからです。
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 上記の4つは、「言われてみると当たり前」のことではあるのですが、これらを意識して選ぶようにしないと、漫然とネットサーフィンをしたり大学案内を眺めたりすることになりがちです。そして、多くの場合、それらの媒体では魅力的に書かれているので、「あっちもいい、こっちもいい」となりがち。そして、迷った挙句に、なんとなくで決めてしまうこともよくあることでしょう。

 次回では、大学選びについてもう少し詳しく説明していきます。

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 連載「AO入試の基礎」は、AO入試や推薦入試を、学生やその保護者が受験をする際の「前向きな選択肢のひとつ」にするべく掲載されるシリーズ。

《編集部》

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