教員6割が準備負担、英語苦手…小学校外国語活動実施状況調査

 文部科学省は平成26年度「小学校外国語活動実施状況調査」の結果について公表した。平成23年度より小学校で外国語活動を導入しており、今後の授業充実や改善に役立てる。調査では、理解度は学年が上がるほど課題があるほか、教員の準備負担もわかった。

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 文部科学省は平成26年度「小学校外国語活動実施状況調査」の結果について公表した。平成23年度より小学校で外国語活動を導入しており、今後の授業充実や改善に役立てる。調査では、理解度は学年が上がるほど課題があるほか、教員の準備負担もわかった。

 対象は全国の公立小学校を無作為に抽出し、外国語活動を学ぶ小学5年、6年児童および導入後に外国語を学んだ中学1年、2年生徒に関心や意欲、学習状況を質問紙で調査した。また、調査実施校の担当教員に対しても、児童生徒の変容、課題などを質問紙で調査している。

 英語に対する意識として、「英語を好き」と回答したのは、小学5、6年生で70.9%、中学1年生で61.6%、中学2年生で50.3%。「英語の授業が好き」と回答したのは、小学5、6年生で72.3%、中学1年生で60.2%と、中学生に上がると、英語に対する関心度が下がっている。

 「英語の勉強は大切だと思うか」という質問には、小学5、6年生の85.3%、中学1年生の77.7%、中学2年生の75.8%が「大切だと思う」と回答。「大切だと思う理由」として、中学2年生の半数以上が「高校等の受験で必要だから」と回答し、ほかに「海外の人たちとコミュニケーションをとれるようになりたいから」「将来、仕事をする上で必要だから」と答えている。

 中学1、2年生に「小学校の英語授業の中で中学校の英語の授業で役立ったこと」(複数回答)を聞くと、8割以上の生徒は「アルファベットを読むこと」「アルファベットを書くこと」「英語で簡単な会話をすること」と回答。「小学校でもっと学習しておきたかったこと」については、8割以上の生徒が「英単語を読むこと」「英単語を書くこと」「英語の文を書くこと」と、小学校での「読む」「書く」を含む言語活動への知的要求が高まっていると分析している。

 担当教員の調査では、小学校教員の7割が外国語活動を導入して児童に「成果や変容が見られた」と回答。8割近くが「音声に慣れ親しんだ」としている。中学校教員の9割は、導入後、「英語を使って積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成」が図られたと回答している。

 一方で、「英語の授業の内容を理解していると思うか」という質問に、「理解している・どちらかといえば理解している」と回答したのは、小学5、6年生は65.2%。中学1年生は57.0%、中学2年生は48.9%だった。「理解していない・どちらかといえば理解していない」と回答した小学5、6年は7.7%、中学1年生は13.5%、中学2年生は19.7%と、と、学年が上がるほど授業理解に課題があった。

 また、小学校教員の6割が「準備などに負担感がある」「英語が苦手」と回答しており、今後の課題として、「教員の指導力」「教材・教具等の開発や準備の時間」「外国語活動に関する研修」「ALT等の外部人材との打ち合わせ時間」としている。学校外の研修については、小学校教員の6割が「今年度中に、学校外の外国語活動に関する研修に参加していない」と回答している。

《田中志実》

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