慶應SFCとDNP、遠隔授業のシステム開発で共同研究

 慶應義塾大学SFC研究所プラットフォームデザイン・ラボと大日本印刷(DNP)は3月15日、遠隔授業の共同研究を行うことで合意したと発表した。生徒の進捗状況などに対応できる新たな遠隔システムを開発し、教育ビジネスへの参入を目指していく。

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研究協力高校での実証風景
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 慶應義塾大学SFC研究所プラットフォームデザイン・ラボと大日本印刷(DNP)は3月15日、遠隔授業の共同研究を行うことで合意したと発表した。生徒の進捗状況などに対応できる新たな遠隔システムを開発し、教育ビジネスへの参入を目指していく。

 文部科学省では2015年4月、学校教育法施行規則の一部を改正。全国の高校で、多様なメディアを利用して教室以外の場所で授業を履修させることが可能となり、遠隔授業が卒業単位となる正規授業に認定された。

 一方、慶應義塾大学SFC研究所プラットフォームデザイン・ラボの調査によると、遠隔授業は対面授業に比べ生徒の満足度が60~70%にとどまる。生徒の学習進度や理解度を把握して適切な指導を行う「机間巡視」の機能が課題になっているという。

 共同研究では、長年にわたる遠隔授業運用ノウハウを有し、全国各地の高校や自治体の遠隔授業システム構築の監修実績を持っている慶應義塾大学SFC研究所プラットフォームデザイン・ラボと、タブレットや紙などのデバイスを用いて生徒の学習プロセスデータを取得・管理する技術を持つDNPが提携。机間巡視の機能提供が、今後の普及拡大に重要と判断し、新しいシステムの開発を目指す。

 開発するシステムでは、タブレットやデジタルペンなど、生徒用のICTデバイスとインターネットを活用。手書きや音声、テキストなどの手段で生徒、遠隔地の教員、教室の教員の三者間のコミュニケーションをリアルタイムで行い、机間巡視に相当する臨場感を提供する。

 おもな機能は、各生徒の学習進捗状況モニタリング、質疑や挙手応答機能、教室内の教員とのコミュニケーション機能など。つまずいている生徒への声かけ、個々の生徒の進捗状況に応じた授業進行の見直しなど、従来の遠隔授業では難しかった臨機応変な対応が可能になるという。

 慶應義塾大学SFC研究所プラットフォームデザイン・ラボでは、全国の複数の研究協力高校において遠隔授業システムの実証研究もスタート。DNPでは、事業者へのシステム基盤の提供、教育事業者との協業による遠隔授業提供など、2016年度秋の遠隔授業ビジネスの開始を目指している。

《奥山直美》

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