緊急? 救急車は? 子どもの急病時に役立つアプリ
夏休みシーズンの真っただ中、小さなお子さんがいらっしゃるご家庭にお勧めしておきたいアプリをご紹介。
生活・健康
未就学児
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■大学病院と消防局が共同開発
これは、大阪大学医学部附属病院高度救命救急センターと大阪市消防局が共同開発した『小児救急支援アプリ』(iOSおよびAndroidに対応、無料)。小児(対象は0~14歳)が病気やけがなどで容態が急変したとき、その症状は緊急度が高いのか低いのかが分かり、救急車を呼ぶべきかどうかの判断を助けてくれるというもの。
使い方は簡単。起動したら年齢を入力し性別を選択。次の画面では「病気」と「けが・異物(中毒、熱中症を含む)」のいずれかを選択し、その先は症状選択に従って画面を進めていくだけ。項目により症状選択の階層が深くなる場合があるが、選択された内容から疑われる病気やけがの「緊急度」が判定できる。
さらに大阪府での利用に限定されるが、緊急度が「高」であれば、そのまま画面から119番発信が可能である。また、緊急度が「中」の場合は「救急安心センターおおさか」に通話がつながり、専門家による電話相談に対応してもらえる。緊急度が「低」であれば、該当する病気やけがの診療科目が何科に該当するのかが表示され「病院検索」ができる。病院検索画面では、位置情報を使って自分のいる場所から最寄りの病院がリストアップされる。大阪府以外では119発信や電話相談、病院検索などが使えないが、それでもお子さんの症状から緊急度を判定する機能は大いに役立ちそうだ。
このアプリの発案者は大阪大学医学部付属病院高度救命救急センター医師の片山祐介先生。医療従事者側の病気に対する知見にとどまらず、大阪市消防局救急部救急課とタッグを組むことで、病院検索などの付加価値も備えられた。またこのアプリはモバイルコンテンツ分野の業界団体である一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラムが主催する「モバイルプロジェクト・アワード2016」において「MCF社会貢献賞」を受賞している。
法的には医師の立ち合い無しで病気の「診断」をすることはできないのだが、このアプリを使えば症状からある程度の「緊急度の判断」が可能になる。小さなお子さんが、これまでに見たこともない急性の症状を呈したりすると、親御さんはあたふたしてしまうもの。そんなときに、このアプリは心強いお守りとなるはず。
逆に重篤な症状だと思って救急車を呼んでみたものの、じつはそれほど症状は重くなかったというようなケースも少なくない。大都市圏では救急車不足が問題となっているなかで、緊急性の低い119番通報を減らし本当に緊急性が高い人に救急車を回すためにも、こうしたアプリは役立っていくはずだ。119番発信や電話相談、病院検索機能は大阪府での利用に限定されているが、ぜひ他の地域にも同様の広がりが出ることを期待したいものだ。
病気やケガはいつ起こるかわからない。いざという時に慌ててしまって、インターネット等で検索するまでもなく119番通報してしまいがち。万が一の備えとしてこのアプリをあらかじめインストールしておけば、ほんの一呼吸おいて冷静に対処を考えられるかもしれない。
【木暮祐一のモバイルウォッチ】第97回 子どもの急病時に役立つアプリ
《木暮祐一@RBB TODAY》
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