◆スマホネイティブの子どもにこそ「マイパソコン」を
文部科学省の方針である「2020年までに1人1台の情報端末配布」「小学校でのプログラミング教育の必修化」をはじめ、日本の教育現場でICT導入が進められている。一方、家庭でもパソコンやタブレット、スマートフォンが普及し、今やデジタル機器が行き渡っている。
そんななか、デジタルネイティブ・スマホネイティブ時代の子どもに、親としてどう向き合うべきか? ひとつの選択肢として、子どもに自分専用のパソコン、つまり「マイパソコン」を買い与えるというという方法がある。
子どもにマイパソコンを持たせるメリットとしては、以下のようなものがある。
・画面が大きく見やすい
・拡張性が高い
・さまざまな学習ソフトが用意されている
・プログラミング学習もできる
・保護者が利用時間や使うソフトをしっかり管理できる
もちろんデメリットもある。パソコンの価格が高い、ウイルスなどが心配、ゲームで遊んでばかりいたり有害サイトを見たりしてしまうのではないか……といった声もある。しかし、それはスマホも同様。保護者が管理しやすく学習利用しやすいパソコンのメリットが、デメリットに勝るのではないだろうか。
パソコンは画面が大きいため、リビングなどに置いておけば、親子で一緒にコンテンツを楽しめ、学習アプリを使って勉強の手助けをしやすい。また、拡張性も高いので、DVD鑑賞をしたり、ペンタブレットをつないで手描きをしたり、デジカメと接続し動画編集をしたりといった活用も可能だ。

◆小中学校でも自分用パソコンを導入
パソコンの普及は私立の学校だけでなく、公立の小学校でも続々と始まっている。東京都荒川区では、2015年4月より区内の公立小学校・中学校の全34校に、約9,500台のWindowsタブレットPCを導入し、ドリル学習やインターネットを使った調べ学習、レポート、発表などで活用している。
また、ICTを効果的に取り入れた事例として注目されている東京都の広尾学園では、入学時に全生徒がノートパソコンを購入する。生徒たちは、学習での利用のほか、パソコンのアプリを使って、クラスの掲示板を運営し、多忙な先生とはメールで連絡を取り合う。学校取材で生徒たちに話を聞くと、アナログの文房具と同様に「ツールのひとつ」としてパソコンを上手に使いこなしている姿が印象的だった。
また、2020年以降に順次行われていく大学入試改革では、大学入試センター試験に代わり、CBT(Computer Based Testing)方式とよばれるパソコンを使った試験が検討されている。今後、学校の授業や試験などで、パソコンを使う機会はますます増えていくだろう。
IoT(Internet of Things)の登場でさまざまなものがインターネットとつながるようになった現代においてパソコンは、テレビや洗濯機、エアコンといった家電と同様の便利な機械のひとつだ。
◆学習アプリで弱点克服やマイペース学習
では、子どもがマイパソコンを持った場合、どのような活用ができるのだろうか。
マイクロソフトが主導し、ハード・ソフトメーカー、ITベンダーなどが参画してパソコンの活用・普及を行っているWDLC(ウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム)の調査(※)によると、87%の中高生の親が、子どもに専用の「マイパソコン」を持たせたことに満足した結果が出ている。また、マイパソコンの購入理由としてもっとも高かったのは「自宅での学習に役立ててほしい」という意見だった。
パソコンを使った学習方法としては、各社から販売されている学習アプリや、オンライン授業、さらにはSkypeを活用したオンライン家庭教師や英会話などがある。
学習アプリでは、小学校から大学受験までをサポートするリクルートの「スタディサプリ」、ドリルやジュニア新聞、デジタル百科事典などをそろえる学研の「学研ゼミ」、小学生の受験生も増加している英検の対策ができる英検提供の「スタディギア for EIKEN」など、いずれも無料もしくは安価な月額制で、自分の進度やペースに合わせられ、好きな時間に利用できるため、通塾などの時間ロスがなく、すきま時間にも勉強できる点が評価されている。
実際にこれらのアプリを試してみたが、ホームページから簡単に入会可能で、月額料金は1,000円以内と気軽に利用できた。また、自動で採点をしてくれるため、間違っているのに丸付けをしてしまうといったミスを防げる点もよい。
さらに保護者からは子どもの勉強時間や正答率が確認できるため、「どこが弱いか」といった攻略も練ることができ、決してアプリに投げっぱなしではなく、きちんとその後の学習指導にもつなげられる。
・スタディサプリ
小学講座・中学講座・高校講座・大学受験講座のほか中学生から社会人向けの英語講座を提供。月額980円(税抜)で利用できる。
・学研ゼミ
幼児から中学生までを対象に、ドリル、映像、百科・辞書、子ども向け新聞などを提供。月額500円(税抜)からのコンテンツを組み合わせて利用できる。
・スタディギア for EIKEN
英検対策に必要なスキルがバランスよく身に付く、英検提供のオンライン学習プログラム。2級から5級の英検一次試験と、2級と3級の二次試験対策ができる。無料版あり。
◆パソコンで効果的な英語学習
また、パソコンは英語学習や英会話練習にも最適だ。
特にSkypeなどのビデオ会話機能を使ったオンライン英会話は、1日20~30分で好きな時間帯や講師を選べ、費用も英会話教室に通うよりずっと安価というメリットがある。子ども専用の英会話もあり、毎朝英会話を習ってから登校するといった受講も可能。何かと忙しい現代の子どもたちにとっては、時間を有効に活用できる点も評価されている。
WDLCの調査では、マイパソコンを持った効果として「勉強意欲が高まった」「情報収集能力が高まった」といった意見も多く、勉強へのやる気や学力の向上も期待できそうだ。
※調査対象:中学生から大学生の子どもの保護者(30~59歳)1,548人
調査期間:2016年6月29日~30日(インターネット調査)
◆プログラミングで思考力・創造性を養う
パソコンでできるのは教科の学習だけではない。今後、小学校の授業として導入されるプログラミングの学習にも最適だ。
プログラミングは、「論理的に考える思考力を養う」効果があるとして注目が集まっており、今や「読み書きそろばん」に代わる定番のおけいことしても人気を集めている。
たとえば、小学生向けのプログラミングスクールの多くで採用されているプログラミング言語学習「Scratch(スクラッチ)」は、ブロック状の命令をつなげて、キャラクターを動かしたり音を鳴らしたりして作品を作ることができる。楽しみながらプログラミングを学習することで、「なぜ、この動き方をするのか」といった仕組みを学んでいける。
実際にプログラミングスクールで保護者に聞き取り調査を行ったところ、学習効果のほかにも、国内のエンジニア不足が深刻化している今、「将来の仕事に役立つかもしれない」と、長期的な展望をもって子どもを通わせているという意見もあった。
◆子どもにマイパソコンをあたえる前に親がすることは?
パソコンのメリットをふまえて、実際に子どもにマイパソコンを持たせる際、親としてやっておくべきことがいくつかある。
ひとつめは、家庭でのルールを設定すること。スマホと同様、使う時間や用途をあらかじめ家族で話し合い、家庭での「パソコン使用ルール」を決める。さらにルールを守らなかった際の罰則なども決めておけば、後々のトラブルにも対処しやすい。
2つめは、セキュリティ対策をしっかり行うこと。インターネットに接続する以上、ウイルスなどの脅威は常に警戒しなければならない。子どもにまかせきりにするのではなく、親が危機意識をもって、きちんとウイルス対策ソフト等をインストールするなどして対策を行うことが大切だ。
3つめは年齢に応じて、親がパソコンの利用状況を管理すること。Windows 10には、「ファミリー機能」という、時間やソフトを保護者が管理できる機能が備わっている。子どもの年齢や使用目的によって、柔軟に利用制限を設定することが可能だ。また、有害サイトをブロックする「フィルタリング機能」のほか、ゲームなどの課金を制限する機能もあるので、しっかりと設定しておこう。
どんなパソコンを選ぶかは、予算や子どもの年齢、趣味や用途によって変わってくる。WDLCによる保護者向けサイト「My First PC ~はじめてのマイパソコン~」では、「子どもが安心して使える」をテーマにしたお勧めの最新のパソコンを紹介している。
マイパソコンを与える機会としては、クリスマスや、卒業や入学といった節目にお祝いとして贈る家庭が多い。もし、子どもがパソコンに興味をもったら、家族で「パソコンで何をしたいか」を話し合ってから買い与えるのもよいだろう。
【WDLC My First PC 体験イベント】
パソコンを活用した学習方法やプログラミング、幼児から中高生が楽しめる知育アプリの体験イベント。
(1)
日時:2016年12月23日(金・祝)~25日(日)11:00~19:00
場所:ダイバーシティ東京プラザ 4階「ハンズビー」
(2)
日時:2016年12月27日(火)~30日(金)11:00~19:00
場所:イオンモール幕張新都心 1階「グランドコート」
参加費:無料
参加申込:不要、入退場自由