全国小中学生プログラミング大会、第二回は「こんなのあったらいいな」

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「第二回全国小中学生プログラミング大会」記者会見の様子
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 東京大学 伊藤国際学術研究センターにおいて3月10日、「第二回全国小中学生プログラミング大会」に関する記者会見が開催された。

 同大会は、プログラミング教育の義務化を見据え、全国の小中学生にプログラミングを表現する場を提供することを目的とする。日本では小中学生向けの、これほど本格的なプログラミングコンテストは他に類を見ない。

◆第一回大会は約130点の応募

 2016年夏に開催された第一回大会では「ロボットとわたしたち」をテーマに、小学1年生から中学3年生まで約130点の応募があった。学年別内訳では中1が30%、小4~小6が計32%。男女比率はほぼ半々だった。ジャンルでは、ゲームが57%、アート・デザインが13%、電子工作・ロボットが18%。グランプリは、小学5年生男子と妹2人によるチームkohacraft.comの作品「ママロボ ハートちゃん」に決定。その他にも想像力あふれる作品が集まった。

◆総務省に加え文部科学省、経済産業省も後援予定

 同大会の主催は、全国小中学生プログラミング大会実行委員会。実行委員長を稲見昌彦 東京大学 先端科学技術研究センター教授、実行委員を遠藤諭(兼大会事務局長・角川アスキー総合研究所取締役主席研究員、清水亮(UEI社長兼CEO)、石戸奈々子(NPO法人CANVAS理事長)が務める。また、第一回大会で後援だった朝日新聞社は、第二回大会では共催となる。

 第一回大会は総務省の後援のもとに開催されたが、第二回大会では、文部科学省、総務省、経済産業省の後援(いずれも予定)のもと、さらなる充実を目指す。

◆2020年から小学校での「プログラミング教育の必修化」

 文部科学省は2020年から小学校でプログラミング教育を必修化することを検討している。2017年2月9日には、文部科学省、総務省、経済産業省は、学校でのプログラミング教育の普及・推進を目的とした官民コンソーシアム、「未来の学びコンソーシアム」を立ち上げることを発表。日本でも官民協力してのプログラミング教育への取組みが始まる。

 行政がプログラミング教育に関わる意義は、地域格差、障害といった格差(デジタルデバイド)解消への取組みだ。プログラミング教室はここ数年で急激に増加しているが、過半数は関東地方に集中し、関東・近畿地方が7割を占める。約6人に1人の子どもが貧困といわれる状況で、行政の役割はどんな環境の子にも等しくプログラミングに触れる機会を与えることだ。

 現在ITを扱っている職種のみを想定しても、2030年には79万人のIT人材が不足するといわれている。第四次産業革命とも呼ぶべき時代において、業種や組織にかかわらず、およそすべての社会人がプログラミングを身に付ける必要があるといえる。プログラミングを学ぶことは、世の中や社会のあり方を変えていく能力を身に付けることを意味する。行政は、2030年に社会のリーダーとなる小中学生のプログラミング能力を後押しすることで、経済成長を後押しし、日本を支える人材が育つことを期待する。

◆大会参加が子ども達の未来を広げる

 本大会は、子どもたちが、大学や企業でプログラミングにたずさわる大人と出会う場であると同時に、学校では出会うことができない、同じ目標を持った全国の仲間に会える場でもある。また、賞に選ばれた子どもにとって、さらなる上を目指すモチベーションとなるのはもちろん、選ばれずに悔しい思いをする多くの子どもにとっても、成長の場となることが期待される。

 東京大学でAO入試が始まるなど、推薦入試を取り入れる大学が増えてきた。こうした推薦入試では、全国レベルの大会やコンクールでの成績が評価対象になる。そうした意味でも、大会参加は子ども達の未来を広げるきっかけの1つになるといえる。

◆企業もプログラミング教育に積極的

 企業も子ども達へのプログラミング教育に積極的だ。協賛のアフレルは、レゴロボットを活用するプログラミング教育を行い、自分が興味があることを発見し、強みにできる子どもの育成を目指している。

 第二回大会の協賛社でもあるシャープは、小学校で同社開発のロボット型携帯電話「ロボホン」を使ったプログラミング授業を開催。子ども達は、ロボットの簡単な動きをプログラミングできるまでになるという。子ども達からは、「かわいい」「プログラミングを身近に感じた」などと好評だったという。

◆すがやみつる氏を迎えトークセミナー

 記者発表会では、'80年代に多くの子どもたちをプログラミングの世界に導いた「こんにちはマイコン」の著者であるマンガ家で京都精華大学マンガ学部キャラクターデザインコース教授のすがやみつる氏を迎え、実行委員の遠藤氏と清水氏が聞き手となり、トークセミナーも開催された。

 聞き手の2人は、'80年代に少年時代を過ごし、すがや氏の「こんにちはマイコン」や「ゲームセンターあらし」との出会いで、ネットやデジタルの世界に引き込まれた世代だ。3人共通の認識は、「自分たちが子どもだった頃のほうが、家電店やホームセンターでパソコンを自由に触ることができるなど、おおらかな社会で、プログラミングの世界への入り口が多かった」という点だ。マイクロソフトのビル・ゲイツも、学校で端末を使えていたことが、デジタルの世界に入るきっかけだった。環境が人を作るのだ。

 すがや氏は、アマチュア無線の免許をもち、「仮面ライダー」を描きながら、無線で話していたそうだ。秋葉原に出入りし、マイコン雑誌などを買って読み、プログラミングに夢中になった。あまりに夢中になるので家族が心配し、パソコンを取り上げられたそうで、すがや氏は、「パソコンを仕事にすれば、堂々とパソコンをいじれると思って、『こんにちはマイコン』の企画書を小学館に持参した」という。

 プログラミングを学ぶことの効用として、すがや氏は、論理的思考力、コミュニケーション能力、エラーが出てもあきらめない忍耐力を育むことをあげる。そして何よりも、出来上がったときの達成感や、作り出す喜び、楽しみを味わうことができ、そこには感動があるという。

 プログラミングはチームで行うクリエイティブな作業であり、コミュニケーション能力は必須だ。さらに、プログラミングを学ぶ過程で、国境を越えた情報交換にたどりつくため、世界に目が向き、コミュニケーションの手段としての英語も使いこなすことになる。

 マンガもプログラミングも、学校では評価されにくいが、プログラミング大会では、ポジティブな評価を受けることができる。「ゲームセンターあらし」の主人公は、運動が苦手。すがや氏は、「たとえば、運動がだめでもプログラミングできる子が評価されてもいい。プログラミング大会の開催により、子どもが自信をもつきっかけになったり、プログラミングに対する社会のイメージを変えるきっかけになればいい」と語る。

 大会実行委員で司会の石戸氏による「すがや氏のマンガが、当時の子ども達にとってもプロパガンダになったように、全国小中学生プログラミング大会が、子ども達にプログラミングの楽しさを伝えるプロパガンダになるといい」という言葉で締めくくられた。

◆「第二回全国小中学生プログラミング大会」概要

 第二回大会のテーマは、「こんなのあったらいいな(自分やみんなのためにあったらいいものを自由に考えよう!)」。本大会の特徴は、プログラミングによる自己表現を目指す場として開催されていること。審査基準は、アイデア(発想力)、表現力、技術力、完成度などとする。また、プログラム・ソフト・ハードウェアなら、作品の形式は問わない。
作品受付期間は、2017年8月1日~9月15日。表彰式は2017年10月上旬に行われる予定。応募資格は、日本在住の6歳以上15歳以下の小学生・中学生。グループで応募する場合は3人以下、応募は1人何作品でも可能。

 現在、サポーターにアフレル、協賛にシャープ、ドワンゴほか、協力にオールナイトニッポン.comが名を連ねるが、引き続き、協賛社(スポンサー)を募集している。

《鯰美紀》

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