JA「わくわく農園」スマホで仮想農業体験、ホンモノの農産物を提供

 福岡県のJAみなみ筑後は、スマートフォンやパソコン上で農産物を育てるゲームの景品として、実際の農産物を提供する試みに力を入れる。収穫の喜びを感じてもらいながら、特産の知名度を高める作戦だ。4月末から

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ゲーム上で“収穫”すれば本物ゲット! スマホで仮想農業体験/特産PRへ新手法
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 福岡県のJAみなみ筑後は、スマートフォンやパソコン上で農産物を育てるゲームの景品として、実際の農産物を提供する試みに力を入れる。収穫の喜びを感じてもらいながら、特産の知名度を高める作戦だ。4月末からは特産の「博多セロリ」を育てるゲームが始まり、達成した人にセロリを贈った。JA全農も同様のゲームで農産物プレゼントを実施しており、新たなマーケティング手法として注目を集めている。
参加型、ファン獲得
 JAは2015年に配信が始まった農業疑似体験ゲーム「わくわく農園」に、16年から農産物の提供を始めた。東京都内のゲーム制作会社エルディが制作し、福岡県の放送局が運営する。実際に農家から教わった栽培工程を反映させている、本格的なゲームだ。

 ダウンロード数は13万件で、ゲームとタイアップしたテレビ番組でのPR効果や、主な利用者である40、50代の主婦の口コミで、利用者数は伸びているという。

 参加者は、60種類以上ある農畜産物を、実際の栽培期間の10分の1の時間で育てる。天候の変化や病害虫の発生をゲーム内で乗り越え、収穫までたどり着くと、農産物を無料で受け取れる。

 提供する農産物は、運営側が産地から買い取るが、制作会社によると農産物を提供してくれるJAは多くはないという。

 JAみなみ筑後は昨年11月、第1弾として「山川みかん」を育てるゲームで現物を提供。春は「博多セロリ」が登場した。収穫まで到達できなかった人にも、産地と品目、ブランド名をアピールできる。このゲームを県から紹介された同JAは「時代に応じた新たな消費宣伝。これまでの媒体と違い、広告宣伝費が格安なのも魅力的だ」(栗原達哉園芸課長)と、実施を決断した。

 JAは景品として「山川みかん」を9箱(1箱3キロ)、今季はセロリ8箱(同2株)を提供した。

 エルディの宮崎尚登社長は、ゲームを通じて実際に農産物を提供することで「食に対する価値観が変わってくる」とみる。「子どもや夫の好き嫌いが減ったり、ブランド品を食べることができたりしてうれしいなどの反響がある」と話す。
景品に農産物全農もスタート
 全農も、スマホ向け公式アプリを通じて利用者に農産物のプレゼントを始めた。アプリ内に今年4月、歩いて農作物を育てるウオーキング型育成ゲームを追加。スマホ内蔵の歩数計と連動し、歩数に応じて農作物を成長させることができる。育て上げると、実際の農産物をもらえる。

 第1弾はメロンで、ゲームの参加者を対象に国産メロンをプレゼント。全農は「ホームページから一方的にプレゼント情報を配信するだけでなく、参加型というところが時代に即している」と話す。利用者からは「歩く回数が増えた」「アプリを開く回数が増えた」と好評だという。(川崎学)

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《日本農業新聞》

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