文科省、私大の役割と方向性に関する参考資料を公開
文部科学省は6月19日、私立大学等の振興に関する検討会議「議論のまとめ」の参考資料を公開した。全大学の8割を占める私立大学について、その役割と方向性について取りまとめている。
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議論のまとめは、これまでの検討会議の議論を整理し、私立大学振興の方向性と今後の推進方策を明らかにすることを目的にして取りまとめたもの。少子化やグローバル化、産業構造や経済社会の高度化・変化に対応する大学モデルへの転換を求めている。6月13日に会議にかかわる「議論のまとめ」を公開し、6月19日に参考資料類を掲載した。
18歳人口の減少に伴う私立大学の現状を見ると、地方所在の中小規模の私立大学のうち、4割は事業活動収支差額(帰属収支差額)がマイナスとなっている。高等教育への進学率が50%を超え、大学が「ユニバーサル化」する昨今において、私立大学は振興に向け「私立大学の強みである経営のダイナミズムを活かしながら、我が国の知的基盤としての存在感をこれまで以上に発揮し、激しく変動する社会のニーズに的確に対応して教育・研究の質の向上を図る」ことが課題付けられている。
高等教育機関としての役割には、社会人の学び直しやグローバル化への対応も重要であると明記。特に、グローバル化については海外大学と連携したICT利活用による授業提供や教育プログラムの開発、サテライトオフィスなどの海外拠点や海外留学生のための学生寮の整備などが求められている。
議論のまとめには、経営困難な状況への対応も掲載。もっとも重要な点は学生の修学継続をどのように保証するかであるとし、私立大学があらかじめ相互に連携し、緊急時に学生を受け入れる仕組みや払い込んだ授業料の返還、転学支援などの検討と具体化を求めた。
なお、議論のまとめによると、私立大学に対する経常費助成は抑制し続けており、経常的経費に占める私学助成の割合は昭和55年以降、低下傾向にある。私学助成の割合は、平成27年度には10パーセントを切っている。国公立大学と比較すると、奨学金や授業料減免などを含めても私立大学生の経済的負担は重い状況にあるという。
このほか、私立大学がこれまでに果たしてきた役割や今後の検討および方策の推進については、文部科学省Webサイトですべて閲覧できる。
《佐藤亜希》
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