東京都、H29年度のいじめ認知件数は11,884件

 東京都教育委員会は平成29年11月24日、平成29年度東京都公立学校における「いじめの認知件数および対応状況把握のための調査」結果を公表した。いじめの認知件数は、平成28年度より8,822件増の11,884件。

教育・受験 小学生
「いじめの認知件数および対応状況把握のための調査」結果
「いじめの認知件数および対応状況把握のための調査」結果 全 6 枚 拡大写真
 東京都教育委員会は平成29年11月24日、平成29年度東京都公立学校における「いじめの認知件数および対応状況把握のための調査」結果を公表した。いじめの認知件数は、前年度(平成28年度)より8,822件増の11,884件。65.6%は「アンケート調査により発見」したことがきっかけだった。

 東京都教育委員会では平成24年度より、文部科学省が実施している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」とは別に、調査を毎年度実施している。学校におけるいじめの認知件数およびその対応状況について把握し、取組内容を総点検することが目的。平成29年度調査では、小・中学校や高校、特別支援学校など都内全公立学校2,161校が対象。調査期間は平成29年4月1日~6月30日。

 認知件数11,884件のうち、小学校9,597件、中学校2,220件、高校が55件、特別支援学校が12件。そのほか、いじめの疑いがある件数が1,626件。1校あたりの1か月の認知件数は小学校で2.50件、中学校で1.18件、高校で0.08件、特別支援学校で0.06件となった。前年度(平成28年度)の認知件数と比べ、小学校は約5.5倍(平成28年度1,710件)、中学校も約2倍(同1,298件)の件数に増加。連絡会や研修会などで周知徹底を図ったことで、多くの学校で軽微ないじめも見逃さないという認識が広がったためとみられる。ただし、地域によって認知件数の差があるため、教育委員会は徹底が図られている市区町村の取組みを紹介するなどして対応するという。

 いじめを認知したおもなきっかけは、「アンケート調査により発見」65.6%がもっとも多く、そのほかは「子どもからの訴え」12.4%、「保護者からの訴え」10.2%、「学級担任が発見」8.9%など。おもな態様では「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が、小学校で54.3%(5,210件)、中学校で63.8%(1,416件)、高校で38.2%(21件)と最多。そのほか、「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする」は小学校24.7%(2,375件)、中学校19.1%(424件)と多く、「パソコンや携帯電話などで、誹謗中傷や嫌なことをされる」が高校34.5%(19件)で多い。

 認知されたいじめについて、小学校・中学校ともに「担任が個別に対応」が9割以上を占め、特別支援学校では100%となった。一方、高校では「学校いじめ対策委員会などが組織的に対応」69.1%となり、「担任が個別に対応」56.4%を上回った。

 学校が連携して対応した関係機関では、「警察(スクールサポーターを含む)」がもっとも多く、全校種で23件と前年度より13件増加。特に小学校は前年度2件から13件へと大幅な増加がみられた。また、いじめ認知件数の19.4%がスクールカウンセラーと連携して対応しており、具体的な取組みでは「学校いじめ対策委員会における情報共有」が最多。

 各教員などが把握したいじめに関する情報を、全教職員が共有するための工夫(複数回答)を聞くと、いずれの校種も「全教職員で共通実践を徹底」「学校いじめ対策委員会に伝える」のほか、「コミュニケーションを図りやすい環境づくり」が9割以上となった。そのほか、「いじめ発見チェックシートの活用」も小学校で92.0%、中学校で91.8%と高い割合となっている。

《黄金崎綾乃》

【注目の記事】

この記事の写真

/

特集