【自由研究・地学】気象衛星画像でぱらぱらマンガを作ろう(中学生向け)

 毎年夏休みに小中学生の宿題に出される「自由研究」は、普段はなかなか時間をかけて取り組むことが難しい研究や実験に挑戦できるチャンス。化学、物理、地学、生物…さまざまな分野から、おすすめのテーマをご紹介する。

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【地学】気象衛星画像でぱらぱらマンガを作ろう(中学生向け)
【地学】気象衛星画像でぱらぱらマンガを作ろう(中学生向け) 全 13 枚 拡大写真
 毎年夏休みに小中学生の宿題に出される「自由研究」は、普段はなかなか時間をかけて取り組むことが難しい研究や実験に挑戦できるチャンス。化学、物理、地学、生物…さまざまな分野から、おすすめのテーマをご紹介する。

 ここでは、気象衛星画像で作ったぱらぱらマンガで「日本付近の天気の変化を調べる」方法をご紹介。自由研究テーマ選定の参考にしていただきたい。

ぱらぱらマンガで日本付近の天気の変化を調べる~気象衛星画像でぱらぱらマンガを作ろう~


第2分野【地学】実験・観察


制作時間:1時間 難易度:★★



 空を見るとさまざまな形をした雲が浮かんでいます。日本付近では、これらの雲はどのように動いているのでしょうか。気象衛星画像をぱらぱらマンガにして、雲の動くようすを観察しましょう。

用意するもの


インターネットが使えるパソコン プリンター 写真用の印画紙(L判~2L判サイズ、厚口) ダブルクリップ
用意するもの

実験1 やってみよう 気象衛星画像を入手して雲の動きを見る



★手順 全5工程

 テレビの天気予報に登場する白い雲が動いて見えるのは、気象衛星によって撮影された「雲画像」です。これは、気象庁のホームページから入手できます。

 この雲画像を印刷して、ぱらぱらマンガを作り、雲の動きの特徴を探ってみましょう。

実験1 手順1
気象庁ホームページ内の気象衛星画像のページ(http://www.jma.go.jp/jp/gms/)を表示する。

実験1 手順2
気象庁ホームページでは、1日前までの雲画像が取得できる。1時間ごとに最低でも半日以上分(約10枚)は、雲画像を取得する。雲画像の種類は「赤外」を選ぶ。

実験1 手順3
プリンターを使い取得した雲画像を印刷する。写真用の印画紙(L判~2L判)を使うとよい。

実験1 手順4
雲画像を時刻がもっとも過去のものが一番下になるように重ね、左上をダブルクリップでとめる。

実験1 手順5
右下の角の部分をつまんでぱらぱらとめくる。すると、雲画像が動いて見える。

うまくいかないときには



雲の変化に合わせて時間間隔も変える

●1時間ごとの雲画像で動きがわかりにくいときは、時間の間隔を2時間ごとにしましょう。

●雲画像の枚数は、10枚以上になるようにしましょう。

●薄い印画紙ではうまくめくれないことがあります。そのときは、厚い紙に印刷しましょう。

なぜそうなるの? ~日本では、天気が西から東へ変化する~



天気の変化は上空の偏西風の影響を受ける

 ぱらぱらマンガをめくってみると、雲が西から東へと動いていくのがわかります。これは、日本付近の上空には「偏西風」と呼ばれる強い西風が吹いているからです。天気の変化をもたらす大きな雲は、この強い西風に乗って、西から東へと動いていく傾向があります。

 ただし、これはあくまでも「傾向がある」というだけで、実際には、そのときの気象条件によって、雲の動きの速さや方向が変わることもあります。台風が来ているとき、何日も雨が続いているときなど、いくつかの天気のパターンのぱらぱらマンガを作ってみるとおもしろい発見がきっとあるでしょう。

●偏西風の流れ
実験1 偏西風
日本付近の上空には、偏西風と呼ばれる強い西風が吹いている

実験2 やってみよう 天気図でぱらぱらマンガを作る



★手順 全4工程

 実験1では、雲画像を使ってぱらぱらマンガを作成しました。

 今度は、天気図についても雲画像と同様のぱらぱらマンガを作ってみましょう。

用意するもの


インターネットが使えるパソコン、プリンター、写真用の印画紙(L判~2L判サイズ、厚口)、ダブルクリップ

実験2 手順1
気象庁ホームページの天気図コーナー(http://www.jma.go.jp/jp/g3/)から実況天気図を取得する。実況天気図はさかのぼって取得できる。

実験2 手順2
プリンターを使って天気図を印刷する。デジカメプリント用紙(L判~2L判)を使うとよい。

実験2 手順3
天気図を時刻がもっとも過去のものが一番下になるように重ねて、左上をダブルクリップでとめる。

実験2 手順4
右下の角の部分をつまんでめくると、天気図に描かれた高気圧や低気圧等が動いて見える。

そうなんだ! ~2種類ある「雲画像」~



 気象衛星の雲画像には、「可視画像」「赤外画像」があります。可視画像は、わたしたちの目に見える光を撮影した画像です。画質はよいのですが、カメラでふつうに写真を撮ったのと同じで夜は真っ暗になります。それに対して、夜でも暗くならないのが赤外画像です。こちらは、地球から昼夜問わず出ている、赤外線を利用しています。

 可視画像と赤外画像は、ともに雲が白く写ります。ただし、可視画像と赤外画像では、雲によって映りかたが少し異なります。そこで、両方を組み合わせて解析することで、おおまかな雲の種類を判別することもできます。

身近で発見 ~天気予報のもとになる雲画像の観測データ~



 刻々と変化する気象状況を常に監視できるように、気象庁では、さまざまな種類の気象観測を行っています。気象衛星の雲画像もそのひとつで、これらの観測データをもとにして、日々の天気予報が作られています。

 気象庁のホームページでは、ほかにも、アメダス(気温、降水量、風向風速、日照時間、積雪)や、レーダー画像(雨雲の強さと分布)などの気象観測のデータを入手できます。

レポートのまとめかた



 ぱらぱらマンガでわかった低気圧の雲のうずの動きなどは、矢印を入れてわかりやすくしましょう。

自由研究 中学生の理科 Newベーシック

発行:永岡書店

<著者プロフィール:野田 新三(のだ しんぞう)>
1970年大阪生まれ。不思議に思ったことは「自分で確かめたい」という気持ちから、理科に興味を持つ。95年千葉大学大学院教育学研究科を修了後、理科の教諭として教壇に立つ。

《リセマム》

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