大学入学共通テスト試行調査、数学と理科で低迷…文科省が速報公表

 大学入試センターは2018年12月27日、大学入学共通テスト導入に向けて11月に実施した「試行調査(プレテスト)マーク式問題に関する実施状況」の速報結果を公表した。平均得点率は各科目5割程度を想定して実施されたが、5割程度以上は全19科目のうち14科目であった。

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科目別の受検者数とマーク式問題の平均得点率等
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 大学入試センターは2018年12月27日、大学入学共通テスト導入に向けて11月に実施した「試行調査(プレテスト)マーク式問題に関する実施状況」の速報結果を公表した。平均得点率は各科目5割程度を想定して実施されたが、5割程度以上は全19科目のうち14科目であった。

 試行調査は、大学入学共通テストの2020年度導入に向け、大学入試センターが2017年度より開始。2018年度は、全国の大学を会場に11月10日と11日に実施し、6万8,409人の高校生が受検した。

 今回の試行調査のマーク式問題は、上位層の識別も含めた多様な識別を図ることを意識し、各科目とも平均得点率(平均正答率)5割程度を念頭に作問された。速報結果によると、平均得点率が5割程度以上となったのは、全19科目のうち14科目だった。なお、英語の「筆記(リーディング)」と「リスニング」は、科目として別々に数えて平均得点率を出している。

 平均得点率が5割に満たなかったのは、数学2科目と理科3科目。「生物」32.63%がもっとも低く、「数学I・数学A」34.54%、「物理」38.86%、「地学」42.65%、「数学II・数学B」44.89%も低迷した。逆にもっとも平均得点率が高かったのは「地理B」60.02%で、「世界史B」59.24%、「英語(リスニング)」59.09%なども高かった。

 大学入試センターでは、平均得点率が低かった5科目について検証結果を公表。数学2科目については「数学的な問題発見・解決の全過程を重視して出題したが、それに伴う認知的な負荷がまだ高かったものと考えられる」とした。

 理科3教科のうち、物理は「さまざまな分野・領域から小問単位で知識の理解を問う第1問の正答率が予想よりも伸びなかった。新しい出題形式も影響したものと考えられる」、生物と地学は「科学的な探究の過程をより重視した問題を出題したが、実験・観察・調査を行い、その結果をもとに考察するという学習経験の不足が伺える結果となった」と分析した。

 5科目については、作問の在り方や対応策などを検証。また、今回の受検生には高校2年生も含まれ、高校3年生の秋から1月にかけての時期は点数がかなり伸びる傾向にあることなども踏まえて検証し、問題作成方針に反映できるよう実施結果報告書にまとめていく。

 今後は、2018年度末に試行調査の実施結果報告書を公表。2019年度初頭には、文部科学省が策定する「大学入学共通テスト実施大綱」を踏まえ、各教科・科目における問題のねらいや実施方法などに関する通知を出す予定。

《奥山直美》

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