アローコーポレーション企画・編集・発行「大学選びの新常識 2019年度版」より、高校生・受験生の親に役立つ「進学費用捻出のポイント」を紹介する。
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授業料は年々増加 やりくりが困難に
少子化により大学の収入が激減していることもあって、このところ大学の授業料は右肩上がりに増加しています。2017年全国大学生活共同組合連合会の調べによると、国公立大学で、入学金・授業料として4年間でかかる費用はおよそ243万円。私立大学となれば文系が386万円、理系が516万円。医療系ならば1,511万円もの出費となります。そうした費用をしっかり把握しておかないと、せっかく合格したのに入学できないという事態を招きかねません。志望大学、学部の決定と同時進行で、資金繰りも計算しておきましょう。
まず、出費の大きなところからみていきましょう。合格発表後に納めることになるのが、初年度納付金です。入学金と1年次の授業料が含まれ、国公立大学ならば80万円、私立大学文系ならば114万円、理系ならば151万円というのが平均的なところです。
注意したいのが、秋口に合否の決まるAO入試や推薦で入学するケースです。通常、納付は合格発表後の1~2週間ほどですので、冬のボーナスでやりくりというわけにはいかないことがあります。AO・推薦とも大学ごとに入試スケジュールは異なりますので、志望校が定まったら必ず確認しておきましょう。
さらに教育ローンや学資保険が納付に間に合わないという事態も避けたいところ。奨学金も入金は入学後となりますから、初年度納付金に充てることはできず、別途工面する必要があります。
トータルすると大きな出費になるのが受験料でしょう。とりわけセンター試験を利用しての私大受験では1回の試験で複数の大学、学部を受験できるため、複数出願する受験生が少なくありません。その他、大学ごとに実施する個別試験もあります。いずれにしろ、受験生の平均受験数は6~7校というデータもあります。さらに予備校、模擬試験、オープンキャンパスなど、次から次に出費がかさんできます。まずは、細かな出費を一つずつ調べ、出費リストを作ることから始めてみましょう。
受験や新生活の準備にかかる費用にも注意
合格後に納める入学金・授業料に次いで大きな出費となるのが、予備校にかかる費用です。通年では通塾していないお子さんも、夏期講習や追い込み集中講座、模擬試験は安心材料にもなるので通わせたいと考える家庭も多いのではないでしょうか。また、予備校の特別講座が佳境となる夏休みには、各大学でオープンキャンパスが実施されます。当日の参加費用はかかりませんが、交通費は必要ですし、宿泊費が発生することも考えられます。また、複数校のオープンキャンパスに参加したいというケースもあるので、しっかり計画したいところです。秋口に入ると模擬試験が行われますし、AOや推薦の入学試験というのもこの時期の出費です。そして年が明けるといよいよ入試シーズン。センター試験が1万8,000円(3科目以上)、私大の個別試験が1校あたり3万5,000円。これに交通費・宿泊費を見積もっていくと、合格までの費用として80~100万円かかることになります。
晴れて合格した後も、細かな出費が続きます。自宅通学であっても、パソコン・教科書代など、新生活準備金としておよそ30万円。一人暮らしならば、アパート代 や家具・家電代なども加わり、平均して100万円が必要になるといわれています。
この他にも、在学中の運転免許取得や留学、就職活動においても支援のための出費が見込まれます。なにしろ、就活中はアルバイトもままなりません。交通費だけでなく、スーツやカバンの購入費も見込んでおきましょう。
なにやら頭の痛いお金の話ですが、こういうことを考えなくてはならなくなるというのは、子どもの成長の証。大いに応援してあげたいところです。
発行:講談社
編集:アローコーポレーション
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<協力:アローコーポレーション>