東大2回合格の医師が教える!「脳」率アップな勉強法その2

 「偏差値アップには医学的根拠が必要」。東大に「2回」合格した医学博士・福井一成氏の言葉である。この記事では脳の働き、記憶のメカニズムを受験勉強に応用する利用法を紹介する。

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「改訂版・東大に2回合格した医者が教える脳を一番効率よく使う勉強法」表紙
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 「偏差値アップには医学的根拠が必要」。東大に「2回」合格した医学博士・福井一成氏の言葉である。この記事ではKADOKAWA発行、著・福井一成氏の『改訂版・東大に2回合格した医者が教える脳を一番効率よく使う勉強法』より、脳の働き、記憶のメカニズムを受験勉強に応用する利用法を紹介する。今回はその第2弾。

いつ復習すると記憶が長く残るか?



忘れかかった頃の復習が効果的!



 「今」勉強したことを復習するのは、「忘れかかった頃」がベストです。

 つまり、今日覚えたこと(=1回めの勉強)は、それを忘れかかった頃に1回めの復習をする(=2回めの勉強)。1回めの復習をしても、時間がたつと忘れかけてくるので、その頃に2回めの復習をします(=3回めの勉強)

 「忘れかかったこと」を脳科学的にいうと、「再認可能」といいます。

 記憶したはずの用語が、問題集やテストで出題されたときに思い出せそうで思い出せない、喉まで出かかっているのに自力では思い出せない状態です。

 こういう状態のときに、もしヒントを与えれば、その用語を思い出すことができます。あるいは、ヒントを与えずに正解を教えると思い出します。つまり、「再び認識できる」ことを「再認可能」な状態と呼びます。

 一方、ヒントを出しても思い出せないし、正解を聞いても「そうだったかなあ~。そんなこと覚えたっけ?」というのは、再認が不可能な(=完全に忘却した)状態です。

 では、具体的な日程を挙げておきましょう。最初に暗記(=1回めの勉強)したことが、再認可能レベルになるのが1週間後なので、このときに1回めの復習(=2回めの勉強)をやります。そしてその1か月後には再認可能レベルになるので、そのときに2回めの復習(=3回めの勉強)をやる。

 つまり、「最初に勉強→1週間後に復習→1か月後に復習」となります。海馬に記憶が存在するのは最初の1か月間なので、この1か月間に勉強を3回して、長期記憶を作るのです。これが、再認可能理論に基づいた勉強スケジュールとなります。

 図で書くと、
再認可能理論に基づいた勉強スケジュール
です。

すべての記憶は側頭葉に残っている



 「1週間後」「1か月後」といっていますが、これらの数字には個人差も科目差もあります。

 1週間後の復習が意味がないのは、現代文や英語長文問題などです。1週間後だと、正解そのものを覚えていますから、わざわざ本文を読まなくても、内容一致問題の選択肢だけを見て「3番」が正解だとか、5行めのカッコ内は「out」だったということを覚えています。ですから、1週間後の復習は省略して、1か月後の復習だけやればOKです。

 そのとき、内容一致問題の正解が「3番」になる理由や、英語長文の場合は5行めのカッコに「out」が入る理由を言えることが重要です。たとえば、「逆接語の直後だから」というような“理由づけ”です。

 英語長文の筆者や現代文の評論文の筆者は、左脳の前頭葉にある言語野を使って文章を書きますが、そのときにロジカル・コネクターを使います。英語のロジカル・コネクターは、「but・however・because・for example・therefore」など(詳しくは第2章)。現代文のロジカル・コネクターは、「だが・しかし・なぜなら・たとえば・したがって」など(詳しくは第3章)です。

 受験生はロジカル・コネクターを海馬と側頭葉で暗記しておき、英語長文や現代文の本文中からそれを探し出し、その前後の部分から正解を見つけます。正解の根拠の“理由づけ”によって初めて、復習する意味が出てきます。

 そして、1ヶ月以上たった記憶は、側頭葉に保存されます。側頭葉の記憶力は強力で、過去のことを全部暗記しています。脳を手術するとき側頭葉を電気で刺激すると、過去の出来事を思い出すのがその証拠です。

 さらに側頭葉の別の部分を電気刺激すると、今度は別の出来事を思い出します。その出来事があってから一度も思い出したことがないのに、側頭葉には記憶されているのです。

 側頭葉に永久保存されるためにも、1か月以内にきちんと復習しておくことが重要なのです。

改訂版 東大に2回合格した医者が教える 脳を一番効率よく使う勉強法

発行:KADOKAWA

<著者プロフィール:福井 一成>
 医学博士。開成中学・開成高校を経て、東大の文2に入学。文2の在学中に、記憶のメカニズムや効率的な勉強法を身につける。その効果を確かめるため、10月に仮退学しわずか4ヶ月半の受験勉強で、東大の理3に合格した。東大医学部を卒業後は、医師として勤務しつつ、勉強法や脳科学に関する著書や雑誌記事を執筆。医学的根拠のある科学的勉強法を受験生に薦めている。現在は老人ホームの施設長・理事。

《編集部》

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