PISA2018、読解力15位に低下…情報を探し出す力など課題

 OECD生徒の学習到達度調査「PISA2018」の結果によると、読書を肯定的にとらえる生徒や本を読む頻度が高い生徒のほうが、読解力が高いことがわかった。本の中でもフィクション、ノンフィクション、新聞をよく読む生徒の読解力の得点が、国際的に高い傾向にあった。

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読書活動と読解力の関係(読書への関わり)
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 OECD生徒の学習到達度調査「PISA2018」の結果によると、読書を肯定的にとらえる生徒や本を読む頻度が高い生徒のほうが、読解力が高いことがわかった。本の中でもフィクション、ノンフィクション、新聞をよく読む生徒の読解力の得点が、国際的に高い傾向にあった。

 PISAは、15歳児(日本では高校1年相当学年)を対象とした学習到達度調査。2018年調査は、79か国・地域(OECD加盟37か国、非加盟42か国・地域)の約60万人が対象。読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーのうち、2018年調査では読解力を中心分野とした。

 2018年の日本の結果は、79か国・地域のうち、「読解力」15位、「数学的リテラシー」6位、「科学的リテラシー」5位。このうち、読解力については得点504点と、OECD平均の487点より高得点のグループに位置しているが、前回2015年調査の516点・8位から有意に低下している。

 調査結果の分析によると、読解力の平均得点の低下に影響を与える要因については、生徒側(関心・意欲、自由記述の解答状況、課題文の内容に関する既存知識・経験、コンピューター画面上での長文読解の慣れなど)と問題側(構成、テーマ、テキストの種類、翻訳の影響など)に関する事項などが複合的に影響している可能性が考えられるという。

 読解力で、日本の生徒の正答率が比較的低かった問題には、テキストから情報を探し出す問題やテキストの質と信ぴょう性を評価する問題などがあった。また、読解力の自由記述形式の問題において、自分の考えを他者に伝わるように根拠を示して説明することに引き続き課題がみられた。

 PISAで読解力を測定する3つの能力(情報を探し出す、理解する、評価し熟考する)について、平均得点が比較可能(読解力が中心分野)である2000年、2009年、2018年の結果を踏まえると、「理解する」能力は平均得点が安定的に高かった。一方、「情報を探し出す」と「評価し、熟考する」能力は、2009年調査結果から平均得点が低下した。

 生徒質問調査の結果によると、日本の生徒は「読書は大好きな趣味のひとつだ」と答える生徒の割合が45.2%と、OECD平均の33.7%より高いなど、読書を肯定的にとらえる傾向があり、そのような生徒ほど読解力が高い傾向にあった。OECD平均と比較すると、日本はコミック(マンガ)やフィクションを読む生徒の割合が多かった。

 日本を含むOECD全体の傾向として、読書を肯定的にとらえる生徒や本を読む頻度が高い生徒のほうが、読解力の得点は高かった。中でもフィクション、ノンフィクション、新聞をよく読む生徒の読解力が高い傾向にあった。日本に限ると、新聞、フィクション、ノンフィクション、コミックのいずれも、よく読む生徒の読解力の得点が高かった。

 このほか、読解力の平均得点は、調査参加国すべてにおいて女子が男子より得点が高く、その差は統計的に有意であった。日本は、男子493点に対し、女子が21点高い514点で、男女差は小さいほうから9番目であった。

《奥山直美》

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