子ども虐待、66%が関心…周囲の助けや声がけ「うれしい」

 児童虐待防止全国ネットワークは2020年5月27日、子ども虐待防止に関する調査結果を発表した。子どもの行動により保護者の8割以上が公共の場で困った経験をしている一方、半数以上が周囲の助けや声がけに「うれしい」と答え、安心や支えにつながっていることがわかった。

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子ども虐待問題に関心があるか
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 児童虐待防止全国ネットワークは2020年5月27日、子ども虐待防止に関する調査結果を発表した。子どもの行動により保護者の8割以上が公共の場で困った経験をしている一方、半数以上が周囲の助けや声がけに「うれしい」と答え、安心や支えにつながっていることがわかった。

 調査は、全国の10代後半~60代の男女500人を対象にした「子ども虐待防止とオレンジリボン運動に関する認知調査」(2月26日~28日実施)、全国の高校生以下の子どもを持つ男女210人を対象にした「子育てにおける公共施設の利用に関する調査」(3月10日~19日)の2種類。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛のストレス、感染への不安、終わりが見えないことへの精神的な負担、経済的影響などから、子どもへの虐待の増加が懸念されている状況を受けて、子ども虐待防止のための「オレンジリボン運動」を運営する児童虐待防止全国ネットワークが調査を実施し、分析結果を公表した。

 「子ども虐待防止とオレンジリボン運動に関する認知調査」の結果によると、子ども虐待問題については、65.6%が「関心がある」と回答。オレンジリボン運動については、73.4%が「重要」と答えた。重要だと感じる理由は、「子ども虐待を放っておけないため」が74.4%ともっとも多かった。

 オレンジリボン運動に求める取組みは、「ひとりひとりにできる具体的な取組みについての情報発信」が48.6%と最多。子ども虐待を防ぐため、具体的に自分たちに何ができるかを知りたがっている人が多い実態が明らかになった。

 一方、「子育てにおける公共施設の利用に関する調査」によると、子どもと一緒に公共施設を訪れた際に「困った経験がある」と回答した保護者は81.0%。公共施設で子どもが泣いたりぐずったりすると、「ネガティブな気持ちになる」と回答した人は94.2%にのぼった。困った経験の具体例では、「子どもが泣いたり、ぐずったりした」が54.7%と最多で、「荷物が多くて大変だった」42.8%、「子どもが大きな声で騒いだりはしゃいだりした」33.8%と続いた。

 子どもと一緒に公共施設を訪れた際に困ったとき、助けてくれた・話かけてくれた人が「いた」と回答した人は、「いつもいた」「ごく稀にいた」「たまにいた」をあわせて約7割。また、周囲の人に助けられたり話しかけられたりして「うれしかった」と回答した人は56.2%にのぼった。

 調査結果から、児童虐待防止全国ネットワークは「身近に困っている子育て中の人を見かけたときに、気にかける、そして声をかけたり手助けしたりする、というほんの小さな行動が、子育て中の人々を支え、結果的に子ども虐待を防止する社会につながる」と結論付けている。

 児童虐待防止全国ネットワークでは、「子どもと子育てにやさしい社会が子ども虐待のない社会につながる」というオレンジリボン運動のコンセプトを表現したWeb動画「君がずっと笑顔でいられるように」を5月25日より公開。困っている親子や笑顔ではしゃぐ子どもたちを大人たちが見守り、オレンジリボンのブランコが包み込む温かいアニメーションとなっており、公式サイトなどで公開している。

《奥山直美》

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