重いランドセルで通学ブルー「ランドセル症候群」を防ぐには

 フットマークが実施した「ランドセルの重さに関する意識調査」によると、多くの小学生が通学時に、ランドセルを重く感じていることが判明し、さらに3人に1人が通学時の憂鬱感や肩の痛みなど心身への影響を感じていたことがわかった。

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ランドセル症候群
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 フットマークは、通学にランドセルを利用している小学1~3年生とその保護者1,200名を対象に「ランドセルの重さに関する意識調査」を実施した。多くの小学生が通学時に、ランドセルを重く感じていることが判明し、さらに3人に1人が通学時の憂鬱感や肩の痛みなど心身への影響を感じていたことがわかった。

 「ランドセルの重さに関する意識調査」は、通学時にランドセルを利用している小学1~3年生とその保護者1,200人を対象に実施された。その結果、90.5%の保護者が、「わが子がランドセルを重いと感じている」と回答。ランドセルの重さの平均は3.97kg。3kg以上ある割合は65.8%で、中には10kg以上という回答もあった。

 また、ランドセルが重たいと感じている子供の保護者のうち、2.7人に1人が「重い荷物を背負うことが億劫で、子供が登校を嫌がった経験がある」と回答した。さらに3.1人に1人が「通学時に肩や腰・背中など身体の痛みを訴えたことがある」と回答した。

 長年、ランドセルの重さと児童への影響を研究している、白土健先生(大正大学教授)と髙野勇人医師(たかの整形外科院長)によると、子供たちの身体に合わない重さや大きさのランドセルを背負ったまま長時間通学することは、筋肉痛や肩こり、腰痛などの身体異常を引き起こすだけでなく、通学が憂鬱に感じるなど気持ちの面にも影響を及ぼす恐れがあり、小学生の健全な発達を阻害するリスクがある。両氏は、こういった心身に影響が出てしまった状態を「ランドセル症候群」と名付けている。

 荷物が重いのなら、減らして軽くすればよいと考えがちだが、学習指導要領の改定などにより、教科書のページは増加を続けている。小学1~6年生の全教科分教科書の総ページ数の平均をみてみると、平成17年では4,857ページだったのに対し、令和2年度では8,520ページと、1.7倍に増加しているのだ。

 そのうえ、調査によると46.8%の小学生が、学校でいわゆる「置き勉」が禁止されていて、学校に教科書をおいて帰ることができないと回答している。また、副教材や体操服等を入れたサブバッグを持って登校することがあると答えた割合は92.0%にのぼり、重い荷物と共に登下校せざるを得ない小学生の現状が浮き彫りとなった。

 さらに、2020年度からスタートした新学習指導要領では、ICT教育が推進され、一部の学校では1人1台の電子端末が支給され始めているため、従来の教科書やノートといった教材に加え、これらの端末が荷物に加わる場合がある。

 荷物を軽くするという根本的な解決が望めない場合、どうしたらよいのだろうか。髙野医師によると、ランドセルの中で荷物が揺れ、背中から中の荷物が離れてしまって、ランドセルの重さがすべて肩にかかってしまうと、肩こりや痛みの原因になりやすいという。さらに荷物が重いと後ろ重心になるので、荷物を支えて歩くために前傾姿勢になりやすく、結果として肩甲骨や背中にも負荷がかかる。

 楽に背負うためのポイントは、「ランドセル内で荷物を背中側に固定し、後ろ重心を防止すること」「肩ベルトを成長に合わせて調整し、同時にチェストベルトを活用することで、肩にかかる荷重を分散すること」この2点だという。

 また、ランドセル自体を軽い素材のものに替えることも有効だ。調査を行ったフットマークは、専門家監修のもと、軽量・高機能ランドセル「RAKUSACK」を開発し、販売している。小学生向けモデル「ラクサックジュニア」は、低学年用が830グラム、高学年用が880グラムと、とても軽いうえに、ランドセルの中で荷物を固定できたり、ランドセルが体に密着する設計になっていたり、機能満載だ。

 まだまだ体が小さい小学生の子供たち。ランドセルやその背負い方を工夫することで、毎日笑顔で登校できるよう応援してあげたいものだ。

《編集部》

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