【大学入学共通テスト2022】理科1の分析…東進・河合塾・データネット・代ゼミ速報まとめ

 2022年1月16日、2022年度大学入学共通テスト(旧センター試験)2日目「理科1」が終了した。東進、河合塾、ベネッセコーポレーション・駿台予備校による「データネット」、代ゼミより提供を受け、理科1の分析速報「科目別分析コメント」を紹介する。

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【大学入学共通テスト2022】理科1の分析…東進・河合塾・データネット・代ゼミ速報まとめ
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 2022年1月16日、2022年度(令和4年度)大学入学共通テスト(旧センター試験。以下、共通テスト)2日目「理科1」が終了した。東進、河合塾、ベネッセコーポレーション・駿台予備校による「データネット」、代ゼミより提供を受け、理科1(物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎)の共通テスト分析速報「科目別分析コメント」を紹介する。

物理基礎



東進


 大問3題の構成は変化ないが、設問数、マーク数ともに減少した。第1問の小問集合は、相対運動、物体に働く力、力学的エネルギー、縦波に関する問題であった。第2問は、Aが抵抗の直列・並列つなぎによる、エネルギーの比較についての文章正誤判断問題、Bがドライヤーをモデルにした消費電力についての考察と電力計算についての出題であった。第3問は、熱、力学(浮力)、電気(抵抗率)に関する会話文の問題であった。演劇中の登場人物である王女と細工師が、スプーンが純金製かについて科学的な考察のやり取りを繰り広げるという、目新しい出題であった。全体としては、電気の抵抗やエネルギーについてのウエイトが少々重く、昨年に続き会話文が出題されたため文章量は昨年と同程度だった。

河合塾


 昨年の第1日程よりマーク数は2減少し、やや難化した。第1問の小問集合は4問中3問が力学分野からの出題。第2問は電力に関する問題。第3問は演劇中の会話から、1つのテーマに対して、熱、力学、電気分野の実験を通じて考察する新傾向の問題であった。

データネット


 スプーンを題材に、金属の比熱、密度、抵抗率の3つの物理的な性質について、会話の中で仮説を立てながら、実験を通して検証・考察する問題が目新しかった。物体の運動とエネルギー、熱、電気の分野が中心の出題で、波、エネルギーとその利用の分野からの出題は少なかった。難易は昨年並。

代ゼミ


 第1問は小問集合、第2問はA、Bに分割されての出題、第3問はA、Bの分割のない出題という形式は昨年と変わらなかった。昨年同様、会話文を交えた問題、数値を直接マークする問題が出題された。基本問題を中心とした出題であるが、典型的な問題、計算量が減少し、定性的な考察をさせる問題が増加した。

化学基礎



東進


 大問数は2題で、昨年と変化はなかった。設問数は13で、昨年よりも3つ増加した一方、マーク数は15で、昨年よりも2つ減少した。解答に計算が必要な問題は6題であり、昨年と同様であった。第1問は昨年の第1問、および従来のセンター試験と同様の難易度の小問集合形式であった。第2問は「蒸留」をテーマにした思考型の問題が出題された。リード文をよく読み、グラフや表を基に解答を導く必要があり、蒸留の仕組みをきちんと理解していないと難しい問題であった。難易度はやや難化。

河合塾


 大問数、小問数および出題形式は昨年の第1日程と同様であった。第1問は、小問集合の形式で、基礎学力を問う内容。第2問は、エタノールに関する総合問題で、与えられた資料を正確に読み取り、既習の知識を活用し、解答を導く思考力が求められた。

データネット


 問題文の長い設問が目立ち、読解力と思考力を要した。第1問では、昨年より組合せ問題は減少し、文章選択問題が増加した。第2問では、エタノール水溶液の蒸留にともなう質量パーセント濃度の変化について問われ、実験操作の内容を理解し、見慣れないグラフを読み取る力が要求された。難易は昨年並。

代ゼミ


 第1問は基本的な正誤問題が多く、一部長文と組み合わせた問題となっているが、問われている内容は基本的なものであった。一方、第2問はグラフの読み取りだけでなく、得られた情報の活用を求められており、難しい問題であった。昨年よりもやや難化。

生物基礎



東進


 大問数は3問、設問数は16問と、初めての実施であった2021年度の共通テストから変化はなかったが、マーク数のみ1個増加している。出題形式は空所補充、用語の組合せ、正誤判断が主体ではあるが、図や資料・実験結果を解析する力や仮説を検証する力といった、いわゆる「思考力」を問う問題が、昨年に引き続いて多く出題された。また、昨年度の第1日程では出題されなかった会話文形式の問題が出題された。昨年度と同様、知識を直接的に問う問題の数は非常に少ない。「写真を用いた実験考察問題」等、真新しい問題も出題されている。他に、計算問題も昨年に引き続いて出題された。なお、昨年度の特筆点として、「合理的な推論」を選ぶ問題や分野を跨ぐ問題が出題されたことがあげられるが、今年は出題されなかった。

 例年同様、特定の分野に偏ることなく、幅広い内容が出題されている。出題内容は、第1問が「生物と遺伝子」から生物の特徴・代謝・遺伝情報とDNA・遺伝情報とタンパク質の合成、第2問が「生物の体内環境の維持」から体液と物質の輸送・免疫、第3問が「生物の多様性と生態系」からバイオーム・植生と遷移・人間活動による生態系への影響である。今年度が2回目の共通テストであるが、昨年度に引き続いて思考力を問う問題が多く出題されており、出題形式がある程度固まってきたと言える。模試等を活用し、共通テスト型の出題形式に慣れていたかどうかで、得点に差がついたであろう。昨年よりも実験考察問題の分量が多く、処理に時間がかかり、昨年度よりやや難化すると予想される。

河合塾


 教科書の三分野から1題ずつ出題された。光学式血中酸素飽和度計といった時事的な問題やDNAの抽出実験についての仮説検証問題が出題される等、思考力や判断力を問う問題がみられた。昨年(第1日程)に比べて解答に時間を要する問題が増加し難化した。

データネット


 昨年と同様、論理的に考える力、グラフを読む力、計算力等、多様な科学的思考が問われた。知識のみではなく、知識を活用して判断する必要のある設問が多く出題された。昨年と比べ、解答数・設問数ともに同程度であったが、選択肢の数が多い設問が増え、難易は昨年より難化した。

代ゼミ


 単純な知識問題はほとんどなく、基本的な理解を基に課題を解決していく、知識の活用力や思考力が試される問題が中心であった。第1問では実験をもとにした会話形式の特徴的な問題が扱われた。

地学基礎



東進


 第1問のAでは、固体地球と断層に関する問題。平易な知識問題である。Bは地層と地史の問題。地層はじっくり考察する必要がある。地史は植物名を知らないと解けない。Cは鉱物・岩石の性質を問う知識問題。第2問のAは、天気図・高気圧・風向を総合的に問う問題。Bは津波の伝播をグラフから読み取る問題。第3問のAは、太陽の性質と黒点を問う問題。問2は2015年本試験の類題である。Bは太陽系天体の比較問題。平易である。第4問は地震や噴火、環境に関する総合問題。考察問題である。難易度は易化。

河合塾


 昨年の第1日程と同様に各分野からバランスよく出題され、難易度にも変化がなかった。大問が3題から4題に増加し、環境分野が独立した。マーク数は15で変わらなかった。実習を行う過程を問う問題や、図やグラフを活用する問題が多く出題された。

データネット


 第2問では、グラフから津波の到達に要する時間を読み取る問題が出された。第4問では、災害の予測およびハザードマップの作成方法や、環境変動・自然災害の原因に関する理解が問われた。思考力・判断力・表現力を問う設問もみられたが、基礎的な知識を前提とする問題が中心であったため、難易は昨年よりやや易化。

代ゼミ


 大問数は前年の3から2020年度センター試験と同様の4に増えた。図表を読み取らせる問題が増加した一方で、知識自体を問う問題も増加していた。

※1月16日午後2時30分、一部追記。

 リセマムで公開している問題分析および難易度、解答速報に関する記事は下記のとおり。

<1日目>
>> 4予備校の【地理歴史・公民の問題分析】はこちら
>> 4予備校の【国語の問題分析】はこちら
>> 4予備校の【英語の問題分析】はこちら
>> 1日目の【難易度分析】はこちら
>> 1日目の【問題・解答】はこちら

<2日目>
>> 4予備校の【理科1の問題分析】はこちら
>> 4予備校の【数学1の問題分析】はこちら
>> 4予備校の【数学2の問題分析】はこちら
>> 4予備校の【理科2の問題分析】はこちら
>> 2日目の【難易度分析】はこちら
>> 2日目の【問題・解答】はこちら

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