そうした悩みが多い中でも、英語学習の選択肢のひとつとして「ゲーム」を用いれば子供にとって心理的なハードルがグッと下がり、楽しく続けることができるのではないだろうか。今回筆者は2022年4月29日に発売されたNintendo Switch「ベティア ペラペラ英語アドベンチャー(以下、ベティア)」に親子で挑戦し、ゲームと英語学習の相性を検証した。
ベティア英会話監修・向後秀明教授に聞く、家庭で楽しく英語に没頭できるゲームの力
ベティアは遊びながら楽しく英会話を学べるゲームだ。100以上のキャラクターたちに触れながら、英語で「聴く」「話す」「書く」「読む」といったコミュニケーションや、バトル、アイテム集めを進めていく。独自の音声認識エンジンが搭載されており、Nintendo Switchに接続したマイクやヘッドセットを通じてプレイヤーの発音が正しいかを判定。毎日30分プレイしても半年以上楽しめるボリュームとなっている。価格はパッケージ版、ダウンロード版ともに税込6,578円。なおベティアをプレイするにはUSBマイクもしくはヘッドセットが必要で、Switch公式USBマイクの他、市販のUSBマイクやヘッドセット*でもプレイは可能。プレイ中に聴こえるのは英語のみで、話すことで物語を進めることができるという設計が最大の特徴だ。
*動作確認済みの機器は「ベティア公式サイト」で確認できる。
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向後教授は「いろいろな議論があり、何歳とは限定できませんが、幼児期は言語吸収能力が非常に高いので、小学校入学前のスタートは早すぎないと思います。ただし、学習内容は聴く・話すといった音声中心が良いでしょう」と英語学習のスタート時期について語る。
「ポイントは『量』です。学校で英語を習っても一歩外に出ると使わなくて済むので、英語に触れて使う時間が圧倒的に足りません。十分なインプットを確保し、少し真似て話す程度のイメージでアウトプットを継続することが大切です。インプットしたこと全部をアウトプットさせようとすると子供たちは消化しきれません。また、継続するにはコンテンツが面白いかどうかが鍵です」と向後教授は学習を継続するポイントをあげてくれた。
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中学・高校・大学入試から社会人まで、リスニングとスピーキング力が問われる
英語だけで展開されるベティアではフラストレーションを感じることも想起されるが、「そこを乗り越えて楽しむ力が大事ですね。このキャラクターはたぶんこんなことを言ってるんだろうなと想像したり、おおよその意味がわかれば良いと気楽に取り組んだりすることが重要です。毎日最低15分から30分程度継続すれば学習効果は期待できます。何分やらなければいけないと考えるよりも、興味が続く時間は続けてプレイしてみてほしいですね。疲れたらそこで停止する、それで良いと思います」と向後教授は「楽しさ」を感じながら無理せず取り組むコツを説いた。
ベティアは入試や検定試験への対応を目的にしたゲームではないが、結果的にそれらに対する効果は高いという。今、高校入試では47都道府県すべてでリスニングテストが課されている。また、中学入試でもリスニングを導入する学校が今後増えていくことも考えられる。リスニング力を伸ばすことについては、「リスニングテストがあるからといって、数か月で強化しようと思い立っても、なかなかリスニング力は身に付きません。長い年限の中で英語の音に慣れていくことが大切で、幼少期からスタートするのが望ましいです。また英検などの外部検定試験では、一定の長さの英語を聴くパートがあります。その長さや量に耐える力は、ふだんから多量に英語を聴いているかどうかに比例します」と、聴く力を日常的に鍛えることの大切さを語ってくれた。
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ノルマを課すのはNG!子供の可能性を広げるのが保護者の役割
最後に向後教授に英語学習での保護者の心構えを聞いたところ、「やはり短期的にアウトプットの成果を求め過ぎないことが大切です。今日は何の単語を覚えた? と聞くよりも、何をやったのか、どのような話に出会ったのかなど、保護者はコンテンツを聞いてください。ベティアでは、キャラクターとのコミュニケーションを楽しもうとする姿勢ができているかも見てほしい。実世界と同様に、たくさんのキャラクターがいて、それぞれ話し方や使う語彙も違います。キャラクターが歳上ならば、その年齡の人が話すような英語なので、実際に人と話している感覚になります。
ゲームでの英語学習を継続するには、子供たち自身がこの後のストーリーはどうなるのかなと思ってくれるかどうかがとても重要です。そのためにもっとも避けるべきは1日何時間といったノルマを保護者が課すこと。また、苦労していることや間違ったことにフォーカスしすぎず、そこから何が得られるかを重視してほしいです。保護者も英語を学び直したり、子供とのコミュニケーションを大切にしながら、一緒にベティアを楽しんで、子供たちの可能性を広げるための英語学習を目指したいですね」と保護者の視点についてアドバイスをくれた。
親子で「ベティア」を体験。子供の熱中ぶりと学習効果に驚く
向後教授のインタビューを踏まえ、筆者は今回、小学5年生の娘とベティアを体験した。娘は幼少期から今に至るまで、楽しむことを重視して英語学習を続けているが、最近は日常的な聴く・話す量に課題があると感じていた。プレイ時間は毎日約30分程、1週間親子で体験したところ、その世界観に没頭し、楽しく自然に英語学習を継続することできた。
美しい世界と可愛いキャラクターが出迎え、いざゲームスタート
自分のアバターを選択してゲームをはじめると、美しいベティアの世界に一気に引きこまれる。「ベティア」とは、たくさんの人々が暮らす平和な世界の名前で、住む人の楽しい英会話から生まれるエネルギーでできている。ある日、敵のデビルモンたちが、その楽しい英語を人々から取り上げてしまった。それを取り戻すのが主人公であるプレイヤーの役割だ。ストーリーに沿って、さまざまな国や街を探検し、数多くのキャラクターと英語で話しながら、ときにデビルモンたちとのバトルに挑み、アイテムを集めてゲームを進めていく。
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このときの娘は、いろいろなキャラクターを自分の周りの友だちや大人に重ねて、とても楽しかったという。「いろいろな街に行って、いろいろな人の名前を知ると親しみが湧いてくるんだよ」と教えてくれた。
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娘によると、聴いている内容はなんとなくわかる感じで、お手本の音に集中して聴いてから話すようにしたという。「LとR、Vの発音や少し長い文章は何度も繰り返し聴いて難しかった。でも、だんだんと点数が上がってきて嬉しくなった。キャラクターからの反応があるのは嬉しいし、本当に相手が自分の目の前にいるかのようだった」と振り返っていた。
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ヘッドセットで1人で集中するのも良し、テレビにつないで家族で楽しむのも良し
ベティアはSwitch本体につないだヘッドセットでプレイできる。1人でプレイするにはヘッドセットを利用するのが良いだろう。「ヘッドセットは周囲を気にしないでできるのが良いね。ゲームの音も聴き取りやすくて集中しやすかった」と娘はヘッドセットで試したときの感想を話してくれた。
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楽しさを失わずに英語学習を継続。保護者の強い味方「ベティア」
ベティアは実際に人と話している感覚があるので、自然なシチュエーションでの会話から英語を聴く・話す時間を長く確保できる。今後、英検等の試験を視野に入れている娘にとって、英語の楽しさを失わずにいられるのは、保護者としてもとても助かる。また回数や時間を重ねても別途費用がかからないのも安心だ。そしてベティアが家族共通の話題になるのも嬉しい。
1週間の体験後、娘に感想を聞くと「ベティアは楽しくて30分があっという間に過ぎる。すぐ間違いに気付くことができて何度も繰り返せるので覚えられる」と集中とリピートの効果を実感していた。さらに「ベティアも英語の勉強も、もっと続けたいという気持ちが強くなったし、学校のお友だちにもやってほしい。もしかすると、英語だけじゃなく、いろいろな国の言葉のベティアができて、皆とオンラインでつながれば楽しそう!」と娘の想像力は拡がり、ゲームと現実がつながりはじめているようだった。
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