東京国立博物館「博物館でアジアの旅」は、今年で9回目を迎える秋の恒例企画。東洋の美術・工芸・考古遺物が集う「東洋館」を舞台に、毎年独自のテーマを掲げ、それにちなんださまざまな作品を館内随所に展示する。
今年のテーマは「発見」。19世紀末から20世紀初頭の、ヨーロッパや日本の学術探検隊による発見とその物語、作品にまつわる知られざる発見のエピソード、改めて資料を見つめることで明らかになった新知見等、東洋館に集まったコレクションの伝来をたどりながら、さまざまな「発見」を紹介する。
展示物の「二菩薩立像(にぼさつりゅうぞう)」の絵は、1908年にフランス人の探検家ペリオが中国最大の石窟寺院蔵経洞(ぞうきょうどう)に赴き、この絵を収集。2枚の麻布を継いで菩薩像2尊を描き、その下に男女の供養者坐像各3体、銘文を書くための欄、短冊形がある。また上辺には羂(わな)と呼ばれるパーツが残っており、のれんのように棒を通してこの絵を掛けたことがわかる。
重要文化財「五龍図巻(ごりゅうずかん)」は、中国の陳容(ちんよう)筆と伝えられており、南宋時代・13世紀のもの。激しく波立つ水面、雲や岩の間にからみあって見え隠れする5匹の龍、水量を増して流れ落ちる滝を描いている。近年の調査研究により、本作品の兄弟ともいえる作品数点が、アメリカのいくつかの美術館に所蔵されていることが明らかになっている。
その他、中国明時代・14~17世紀の「緑釉龍文軒丸瓦(りょくゆうりゅうもんのきまるがわら)」、推定朝鮮1世紀の「獣面装飾付鉄剣(じゅうめんそうしょくつきてっけん)」、中国明時代・宣徳年間(1426~35)「松竹梅填漆合子(しょうちくばいてんしつごうす)」等、すべて東京国立博物館蔵の作品となっている。
開催中は、ミュージアムショップにて販売予定の小冊子と会期中に無料配布予定の「博物館でアジアの旅2022 調査ノート」を手に、東洋館の魅力を再発見する旅を楽しむことができる。なお、「博物館でアジアの旅2022 調査ノート」は数に限りがあるため、Webサイトからでもダウンロードできる。観覧料は一般1,000円、大学生500円、高校生以下および満18歳未満、満70歳以上は無料。
◆博物館でアジアの旅 アジア大発見!
日時:2022年9月21日(水)~10月16日(日)9:30~17:00
※月曜日、10月11日(火)は休館。ただし、10月10日(月・祝)は開館
場所:東京国立博物館 東洋館(東京都台東区上野公園13-9)
料金:一般 1,000円、大学生 500円。高校生以下および満18歳未満、満70歳以上は無料