校則見直しに取り組む生徒、社会参加に高い意欲…カタリバ調査

 文部科学省が定める生徒指導提要の改訂にともない、校則の見直しを生徒主体で対話的に実践した学校では、生徒の意見表明や社会参加への高い意欲がみられることが、カタリバが2022年8月26日に公表した調査結果から明らかとなった。

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校則の見直し実践活動(イメージ)
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 文部科学省が定める生徒指導提要の改訂にともない、校則の見直しを生徒主体で対話的に実践した学校では、生徒の意見表明や社会参加への高い意欲がみられることが、カタリバが2022年8月26日に公表した調査結果から明らかとなった。

 生徒指導の手引書「生徒指導提要」が12年ぶりに改訂される。2010年以降のICT普及による環境変化等で、時代にそぐわない可能性のある内容を見直すべく、文部科学省は8月26日「生徒指導提要」改訂案を取りまとめ大筋で了承。「校則」については、新たに生徒参加に関する観点や、ホームページでの外部公開を促す項目等が盛り込まれる予定となっている。

 カタリバでは2019年から生徒・先生・保護者らとの対話により、校則見直しの納得解を目指す「みんなのルールメイキング」プロジェクトを実施。2020年度・2021年度にルールメイキングを実践した全国13校での意識調査や、各校でのアンケート調査の結果をもとに、校則見直しのプロセスを通じて生徒・先生・保護者の意識の変化を調査した。

 その結果、ルールメイキング活動を中心的に進めた生徒は、関わりが薄い生徒よりも「自分の意見には価値がある」「社会をよりよくするために関与したい」と回答する割合が約20~25ポイント高く、意欲的であることが明らかとなった。また、先生の約7割が「本音を気兼ねなく発言できる雰囲気がある」と回答。約9割以上の先生が「失敗してもよいという雰囲気がある」「人の挑戦に関わる機会がある」「立場や役割を超えて協働する機会がある」と回答した。

 保護者では、8割以上が「学校は生徒自身が行事や学校生活のことを決めることを大切にしている」と回答。同プロジェクトには、「ルールメイキングは自主性や自立性を促すことにつながると思い、とても良い取り組みだと思います」「先生の指示待ちではなく、自ら考え行動にうつし失敗成功を繰り返し成長できるようになってきている」等の意見が寄せられた。

 このように対話的な校則見直しの実践校では、生徒・先生・保護者にポジティブな変化が生まれ、市場形成力にもつながることが示唆された。ルールメイキングの力は社会に出てからも必要で育むべき力であるという見方もあり、ただ単純に「校則を見直した」という結果よりも、そのプロセスへの関わりや経験が大切なのかもしれない。今後は、生徒指導提要の改訂により、さらに校則見直しの活動は全国に広がっていくことが予想される。


《川端珠紀》

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