小5の娘と「レゴ フレンズ」で遊んで気付いた、創造性と多様性を手にした現代の子供たち

 2022年10月28日に発表された「レゴ フレンズ」シリーズ。子供たちの身近な環境や等身大のアイデアを表現するツールとしてアップデートした。幼いころからレゴ ブロックに親しんできた小5の娘とその特徴や魅力を探りながら、多様性のある社会について考える。

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小5の娘と「レゴ フレンズ」で遊んで気付いた、創造性と多様性を手にした現代の子供たち
小5の娘と「レゴ フレンズ」で遊んで気付いた、創造性と多様性を手にした現代の子供たち 全 15 枚 拡大写真

 1932年にデンマークのビルンで誕生したレゴグループ。この「レゴ(LEGO)」という名称はデンマーク語で「よく遊べ」を意味する「LEg Godt」に由来しているという。世界中の子供たちに愛され、今や世界130か国以上でレゴ製品が販売されている。日本では1962年に販売が開始され、現在の親世代も幼少期から同社のブロックに触れてきた方が多いことだろう。

 その中でも2012年に販売を開始した「レゴ(R)フレンズ(以下、レゴ フレンズ)」は、男の子に人気の自動車やロボット等だけではなく、女の子を含めた子供たちの身近な環境や、等身大のアイデアを表現できるシリーズ。2022年10月28日、このレゴ フレンズのリニューアルが発表され、2023年1月より新製品が発売されるという。今回、幼いころからレゴに親しんできた小学5年生の娘とレゴ フレンズの特徴や魅力を探りながら、今の子供たちの遊びを通じて、これからの多様性のある社会について考えてみたい。

レゴジャパンオフィスにて

遊びを通して多様性と創造性を体感

 レゴ フレンズは発売から10年が経ち、すでに世界中の子供たちに愛される人気シリーズとなっている。今回のリニューアルに際してのキーワードは「多様性」。これまでの女の子5人組のキャラクターに代わり、男女8人組の新しいキャラクターが登場する。それぞれ異なる肌の色や文化、目に見える身体の障害、目に見えない心の障害をもった多様なキャラクターだ。さらに、こうした新しい仲間たちが直面する課題を克服しながら友情を育むストーリーや各キャラクターの背景も加えられる。

2022年10月にリニューアルが発表された「レゴ フレンズ」シリーズ

 レゴ フレンズ 製品開発トップのトレイシー・キアレラ氏やレゴ フレンズ クリエイティブリーダーのフェネラ・チャリティー氏からは、「今回のリニューアルは実際に世界中の多くの子供たちや保護者が参加した4年間のリサーチ結果を反映したもので、グローバルなチームで多様性をどう認めていくかをディスカッションしてきた」と、これまでの経緯が語られた。またレゴジャパン シニアマーケティングマネジャーの橋本優一氏は「どんなお友達であっても一緒に遊べる。『こうだから助けないといけない』という道徳的な思考というよりも、『自然にみんなで一緒に遊ぶ』ということをレゴ フレンズでの遊びを通して身に付けてほしい」と、遊びから自然に多様性への理解を促す意図を話した。

「道徳的な思考よりも『自然にみんなで遊ぶ』ということを身に付けてほしい」と話す橋本氏

自分の手で世界が作れることが最大の魅力

 現在、小5になる娘がレゴ ブロックと出会ったのは3歳のころ。親戚からの誕生日プレゼントで、レゴ(R)ディズニーシリーズのディズニープリンセスのお城を買ってもらったのが最初だった。その後は、レゴ(R)クラシックやレゴ フレンズ、レゴ(R)マーベル、レゴ(R)ドッツ等、男の子向け、女の子向けを問わず、本人が選ぶようになった。商品のパッケージを手にしたときのワクワク感や、これまでにないパーツが入っているかが購入の鍵になっていたようだ。購入後、ひと通り説明書通りに遊ぶと、娘自身がひとつひとつのパーツに分解し、大まかな種類別に収納している。最近は、これまで集めたブロックを使って、新たに自分がイメージした世界を作って遊ぶことが楽しいという。

 そんなレゴ好きの娘に今回、「レゴ(R)フレンズ フレンドシップ ツリーハウス」を体験してもらいながら感想を聞いた。なお、このツリーハウスは、2023年のリニューアルに先駆けて2022年1月に発売され、今後のレゴ フレンズのコンセプトをわかりやすく示したものとなっている。

「レゴ ブロックで遊んでるとあっという間に時間が経っちゃう」と話す娘

--レゴ ブロックの好きなところは。

 いちばん好きなのは、自分の手で簡単に物が作れるところ。ベッドや本棚、キッチン、トイレ等の家具を作って遊ぶのはとても楽しい。ゲームやアニメでは画面だけだけど、レゴ ブロックは立体的な物を自分の手で作れるので、よりリアルに楽しめる。レゴ ブロックで何かを作るときは無意識に集中しちゃう。

--今回のレゴ フレンズのツリーハウスも3時間みっちり集中して、1人で完成させたよね。ゲームをやっているときよりも集中している。最近のお気に入りは、まさにレゴ フレンズのようだけど、どんなところが好きなのかな。

 キャラクターやペットの動物の「ミニドール(レゴ ブロックのミニフィギュアのこと)」がかわいくて好き。ディズニープリンセスのシリーズではドレスが多かったけれど、レゴ フレンズは服装や髪型が自分にとって身近に感じられるところや、いろんな種類の人物がいるところも楽しい。最近は特にキューブ型のカプセル「レゴ(R)フレンズ キュービーズ」を集めていて、キャラクターひとりひとり部屋のデザインがかわいいところが好きだな。

 レゴ フレンズは建物がお城とかではなく普通の家なので、自分の生活に近く感じられて、遊ぶときにストーリーが考えやすい。実は、レゴ フレンズで遊ぶようになってから、ミア等5人のキャラクターを登場人物にしたオリジナルの物語を書いているの。挿絵として、レゴ ブロックを組み立てた写真を入れて。まだ制作途中なので見せられないけど(笑)。

子供にとっての身近な世界観「レゴ フレンズ」シリーズ

ジェンダーによって遊びや服装を決めるのは先入観

--自分のレゴ作品とリンクさせながら物語を書いているなんて初耳。ちなみに学校や放課後に友達と遊ぶとき、普段どんな遊びをしているんだろう。

 小学校では休み時間に遊ぶ時、男女で分かれるよりも、みんなで一緒に鬼ごっこをしている人が多いかな。私も同じ。でも鬼ごっこが好きじゃない女の子は、教室で絵を描いたりしてる。放課後はコロナ前の小3までは、お家に友達を呼んで、レゴ ブロックで遊んだり、人形遊びをしたりすることもあったけれど。外だとバドミントンや鬼ごっこ。小5になった今は習い事が忙しくてなかなか遊ぶ時間がないけれど、友達と遊ぶときは場所関係なくゲームをすることが増えたかな。普段あまりゲームをしない私にとっては少し寂しい。

--学年が上がるにつれて、遊び方に変化があるんだね。「こうなったらもっと楽しく遊べるのに」と思うことは。

 おもちゃやアニメ、他のいろんな遊び道具に「男の子向け」「女の子向け」と書かれていたり、男女によってお勧めされるものが違ったりするのが気になる。小5になった今、女の子が男の子向けのおもちゃを持っていることを同級生に馬鹿にされないか不安に感じることも。レゴ ブロックの中でも「レゴ(R)ニンジャゴー」や「レゴ マーベル」等は、どちらかというと「男の子向け」な印象。でもパーツにばらせば、ディズニープリンセスシリーズ等の他の「女の子向け」シリーズと合わせて遊べるし、ミニドールも他のキャラクターと混ぜて遊ぶこともできるから、私は気にせず遊んでいる感じ。

社会にジェンダーバイアスや差別が存在するのは、もしかして大人の私たちのせいでは…?

--小さいころは男女関係なく遊んでいたことも、だんだん「男の子」「女の子」の遊びの区別を感じてしまってるのかな。ちょうど保健体育の授業でも性教育のことを習ったと思うけど、好きなことや楽しめる遊びは人それぞれ違うし、本来であれば性別で区別する必要はないよね。

 「女の子はスカートをはかなきゃ」「この色は女の子っぽい色」といった話を聞くこともあるけれど、私はそういう話はあまり好きじゃない。「パンツ(ズボン)は動きやすいのになぜ」といつも思う。学年が上がるにつれて「女の子ならこう、男の子ならこう」という暗黙のルールのようなものが増えてきたなと、残念に思うことがある

--なるほど。そういう先入観を「ジェンダーバイアス」って呼ぶよね。大人の社会でも「女性ならこう、男性ならこう」というバイアスを感じることがあるよ。ところで、今回のレゴ フレンズのツリーハウスで「今までのレゴ ブロックと違うな」と感じたことは。

 パッケージを開けて、まず車いすが目に飛び込んできて、こんなのも作れるんだと思ったところ。さらによく見てみると、細かいところにバリアフリーの仕組みがあって、車いすの人形もエレベーターみたいにツリーハウスを上下に移動して、どこでも行けて使えるようになっていたり、ちょっとした段差にもスロープが付いていたり。

手すりやスロープなど、細かいところにバリアフリーの仕組みがたくさん

--「バリアフリーになってる」と感心していたよね。現実の社会では当たり前のことだけど、おもちゃの中ではあまり表現されない部分だよね。

 バリアフリーやユニバーサルデザインは、4年生のとき総合の時間で勉強したけれど、「段差をなくして障害者の方が使いやすいようにする」ということではなく、障害や年齢、性別に関係なく「みんなが同じように同じ場所が使えて、過ごすことができる」ということ、そしてそのための気持ちが大事だと教わったの。

「みんなが同じように同じ場所が使えて、過ごすことができる」ことこそがユニバーサルデザイン

 ツリーハウスのセットには、女の子だけでなく男の子のミニドールも入っていて、みんな同じようにトンカチやペンキを持つことができるようになっていたから、男性の仕事に思える建物の建設や修理を、女の子のミニドールにさせることもできるし、女の子が好きと思われがちな花壇の手入れを男の子のミニドールにやらせることもできる。性別や肌の色は関係なく遊べるのが良いな。

--「男の子らしさ」「女の子らしさ」という制限なしに、自分なりのストーリーをつくって自由に遊べるんだね。

 それに今まで見たことのない、新しいパーツもたくさんあって楽しい。花のデザインが進化していたり、鳥やギターも前よりも作りが細かくなっていたり、前は薄い板状のブロックにイラストで描かれているだけだったものも、立体的にバージョンアップして本物に近くなっていたり。それに、エレベーターや手すり、ブランコといった動くものが増えたのも楽しくて、組み立てて終わりではなく、自分で物語をつくって、続けて遊べるのも良いと思った。

作り終わってからも遊び続けられる、充実のギミック

--今までの女の子5人組から、新しいレゴ フレンズでは、主人公が男女8人組に変わるんだって。今までのレゴ フレンズ以上に、男の子も女の子も性別気にせず手に取りやすいものになるんじゃないかな。その他にもお年寄りや、足が不自由な動物のミニドールも登場するみたい。ちなみに、今好きなキャラクターは。

 今は、運動神経抜群で自然や動物が大好きなミアがいちばん好き。いつもパンツをはいて、行動的な女の子のキャラクターだから。新しいキャラクターは、音楽が得意な女の子・ペイズリー、動物好きな女の子・オータム、スケートや絵を描くのが好きな女の子・リアン、ファッションが好きな男の子・オリー、読書が好きなアリア、サッカーと料理が得意な男の子・レオ、学校の人気者・ザック。もう1人のノヴァは300万人のフォロワーがいるキャラクター設定なんだって。新しいものが好きなノヴァは、自分に似ていて、いちばん気が合いそうかな。いろんな種類のミニドールが加わると、それによってたくさんストーリーも考えられるからワクワクする。来年公開されるアニメも見るのが楽しみ。

新たに登場する「レゴ フレンズ」主人公の男女8人組
多様性にあふれた世界を表現「レゴ フレンズ」リニューアル

子供にとって「当たり前」の多様性を、大人の世界にも

 レゴ フレンズのツリーハウスを作りながら娘と話す中で感じたのは、自然と性差や健常者・障害者、肌の色等を超えた多様性のリアルを遊びの世界においても投影できるということだ。そして、子供たちにとって「多様性」は、すでに現実の世界そのものであることに驚いた。

 幼少期の子供たちにとって、性別に関係なく遊び、出会う人々に偏見なく接し、触れ合うことは日常だ。しかしその成長に合わせて、大人である私たちは、良かれと思って「余計なバイアス」をかけ始める。私たちが、いかに色味や服装をはじめとする無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に支配されているのか。娘がツリーハウスの中で展開するミニドールたちのストーリーを横目で見ながら、大人が今さら多様性の推進を叫ぶことの滑稽さすら感じられた。

 今までのレゴ フレンズシリーズでも、多様性ある社会をシームレスに表現してストーリーを作り、遊んでいた娘は、今回のリニューアルを経て、よりディテールにこだわったブロックやさまざまなミニドールの登場、作るだけではなくその後も遊び続けられる充実のギミックに大きな期待を抱いているようだ。

 レゴ ブロックでの遊びの中で培われた創造性と集中力、そして多様性をはじめとする現実と遊びをつなげる想像力が、彼女の成長の源泉になっているのだと思う。レゴ フレンズの新製品に親子で触れたことを通して、子供にすでに内在する多様性を大切にする気持ちを絶やさぬよう、親として大人として接していこうと感じた時間だった。

子供に内在する多様性と創造性に感服しきりの時間だった

《佐久間武》

佐久間武

早稲田大学教育学部卒。金融・公共マーケティングやEdTech、電子書籍のプロデュースなどを経て、2016年より「ReseMom」で教育ライターとして取材、執筆。中学から大学までの学習相談をはじめ社会人向け教育研修等の教育関連企画のコンサルやコーディネーターとしても活動中。

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