【大学入学共通テスト2023】5教科平均点大幅アップ、数学は約20点増…駿台分析

 駿台は2023年2月10日、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の結果分析を公開した。2023年度共通テストは数学I・A、数学II・Bで平均点が大きくアップ。全体として易化し、5教科平均点は文系で前年度比24点増、理系で同38点増と大幅にアップしている。

教育・受験 高校生
【2023速報】大学入学共通テストの結果分析
【2023速報】大学入学共通テストの結果分析 全 3 枚 拡大写真

 駿台は2023年2月10日、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の結果分析を公開した。2023年度共通テストは数学I・A、数学II・Bで平均点が大きくアップ。全体として易化し、5教科平均点は文系で前年度比24点増、理系で同38点増と大幅にアップしている。

 2月6日に大学入試センターが発表した「共通テスト実施結果概要」における主要科目の平均点一覧によると、数学I・Aは前年度比17.69点増、数学II・Bは同18.42点増と、数学2科目で平均点が大きくアップ。結果として、全体的に易化傾向となった。

 一方、理科2では得点調整が行われる等、実施3年目も各教科・科目の難易度が安定していない部分が見受けられる。平均点の結果から駿台とベネッセコーポレーションが推定した5教科900点満点の予想平均点は、5教科8科目文系532点(得点率59%、対前年度比24点増)、5教科7科目理系551点(得点率61%、対前年度比38点増)。

 予想平均点が大幅にアップしたのは、前年度平均点が大幅ダウンした数学I・A、数学II・B、日本史B等が大幅アップに転じたことに加え、理系ではほぼすべての受験生が選択する理科2の化学が得点調整によるアップも含めて6点以上もアップしたことが要因だという。

 おもに理系が受験した理科2(物理、化学、生物、地学)においては、理系の理科の代表的な2つの選択パターン「物理・化学選択」と「化学・生物選択」の平均点差が、得点調整後でも11.91点から14.93点に拡大。特に、生物は前年度平均点48.81点に続き、今年度も得点調整による得点引上げがあったにも関わらず48.46点と2年連続5割を下回った。

 生物は物理、化学と比較すると教科書に最先端の内容が盛り込まれており、高度なレベルの分野への理解不足という影響もあるという。理科2ののべ受験者に対する生物受験者の割合から見ても「生物離れ」の傾向が見られる。

 一方、2023年度に難化した、英語(リーディング)、国語、世界史B、倫理、政治・経済等の出題の特徴をみると、共通テストの特徴といえる複数の文章や多様な資料を示して問う、高い「思考力」や「判断力」を必要とする出題が目立つ。こうした出題方針による作問では、どうしても問題文の分量が多くなり、しっかりとした読解力が身に付いていないと解法の糸口さえ見つからないといった状況に陥ってしまうという。

 また、過去のセンター試験の問題にはあまり例のない実生活に則した実用的な内容を題材とした問題や、対話形式の文章を示して考えさせる問題も大きな特徴としてみられる。易化した数学I・Aや数学II・Bも、出題傾向に大きな変化はなく、計算量が少なくなったり、解法の糸口がわかりやすかったことが平均点アップの要因のため、次年度は少し計算量が増加するだけで平均点がまたダウンする可能性も考えられる。

 駿台の結果分析では、こうした分析を踏まえ、現行課程では最後となる2024年度共通テストへの対策を示すとともに、今後どのような対策を取るべきか、次年度に向けた有効な対策についてもアドバイスしている。

《畑山望》

【注目の記事】

この記事の写真

/

特集