教室と野外体験で育む「あと伸びする力」…花まる学習会が支持される理由

 「イード・アワード2022塾」小学生の部にて最優秀賞を受賞した「花まる学習会」。将来「メシが食える大人」そして「魅力的な人」を育てることを目指した特別なカリキュラムが注目を集めている。花まる学習会代表の高濱正伸氏に教室運営における信念を聞いた。

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「イード・アワード2022塾」小学生の部にて最優秀賞を受賞した「花まる学習会」高濱代表
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 「イード・アワード2022塾」小学生の部にて最優秀賞を受賞した「花まる学習会」。将来「メシが食える大人」そして「魅力的な人」に育てることを目指している花まる学習会のプログラムは、毎週の90分授業や、思考力を育む特別プログラム、夏冬の野外体験とてんこ盛り。短時間でテンポよく進む授業に子供たちは集中力を切らさない。

 「学習塾」と聞いて連想する一般的なイメージとはひと味違う、花まる学習会のカリキュラムや理念について、代表の高濱 正伸氏に話を聞いた。

子供たちを「メシが食える大人」に育てるために

--2021年に引き続き、顧客満足度調査「イード・アワード2022塾」小学生の部で最優秀賞を受賞されました。さらに「面倒見の良い塾」「講師が良い塾」「授業がわかりやすい塾」「子供が好きな塾」「授業料の満足度が高い塾」と5つの部門賞も同時に受賞されています。おめでとうございます。

 ありがとうございます。会員の皆さんに、花まる学習会の意義を感じていただいた結果だと思います。大変嬉しく思っています。

--中学受験熱が高まる昨今ではありますが、花まる学習会の授業は受験対策とは一線を画すものだと思います。今回の受賞の背景をどのようにとらえていらっしゃいますか。

 確かに、花まる学習会のカリキュラムは受験合格のためや、成績をすぐに伸ばすためには設計されていません。受験の枠組みの中で、どう効率よく対策するかということを指導している従来の学習塾とは、重きを置いている部分が違います。どちらが良い、悪いということではありません。

 私が花まる学習会を設立した30年前、「不登校」という言葉が次第に世間で騒がれ始めました。それ以降、不登校児童の割合は増える一方です。不登校が一概に悪いとは言いませんが、既存の教育では「メシが食える大人」を育てられないのではないか。そんな問題意識から、花まる学習会を継続して運営しています。学校ではどうしてもフォローしきれない問題があって、塾で何とかしなければならないと考えているのです。「日本の国全体のため」と言うと大げさに聞こえるかもしれませんが、本気で、今を生きている子供たちに、将来自立した「メシが食える大人」になってもらうための教育をしようとしています。この思いが、保護者の方にも伝わり、今回の受賞につながったと思うと嬉しい限りです。

「どの子も最高に人生を満喫できる大人になってほしい」と語る

自分のやりたいことを知り、やれる大人になってほしい

--高濱先生が言う「自分でメシが食える大人」とは、どのような大人なのでしょうか。

 具体的に言えば、自分の能力や、心を見つめ、社会の条件を加味したうえで、やることを決められることですね。自分のやりたい仕事を見つけ、それぞれの能力なりに最高に人生を満喫するということです。

 自分が何をやりたいのか、何が好きで、ワクワクする人間なのかということを把握するということは、現代の社会だと意外と難しいんです。進路選択のときに「あと偏差値を5上げれば、医学部に行けるかもしれない」とか「君の能力なら、これができる」といった指導を受けると、そういうものかなと思ってしまう。生き方を考えるということは、本来はそれにはとどまらないはずなんです。自分がいちばん心躍るものを見つけること、これがいちばん重要です。だから、花まる学習会では自分の心を見つめるために、作文を書いているんです。

--作文を書くことを通して、自分に問うていくのですね。

 花まる学習会で書く作文は、学校で指導されるようないわゆる「美しい作文」ではありません。自分の感情と向き合って出てきた、素の感情を表現するように指導しています。たとえば「弟が生まれて、お母さんは弟ばかり可愛がっている。本当に腹が立つ」というように、包み隠さず、嫉妬している気持ちをも表現してほしい。「弟が生まれた。かわいい、嬉しい」と、きれいごとで整えた作文は書いてほしくないのです。自分の心を見つめて、出てくる感情を隠さないことを大切にしています。

 これを積み重ね、自分の心を見つめたうえで、社会や環境を加味して、判断していく力を養っていくことが大切です。「雨だから遊べない」ではなくて「雨だったら、こうやって遊ぶぞ」というように、今ある状況の中でできること、そしてやりたいことを掛け合わせて行動に移すということです。

--それはつまり、適応能力といったことでしょうか。

 適応するというよりも「決める」という要素が大きいですね。たとえば、子供を連れて川に遊びに行く場面を想像してください。「僕はここでダムを作ろう」とか「あそこから飛び込もう」とか「私は冷たい水は嫌だから、ここでみんなを見ていよう」とか、子供たちは自ら「(楽しいから)これをする」って決めるんですよね。川の水に入って遊ぶことだけがすべてではない。人がどうであろうと、自分がこれにすると決める人生も同じなんですよ。

自信もコンプレックスも、周りの大人の声掛け次第

--川遊びという一場面では自分で判断できても、人生という大きなスパンで考えると難しいようにも思います。

 そうかもしれません。決められない理由を考えてみましょう。決断ができないとき、人は多くの場合「どうせ俺(私)なんかできない」と一歩踏み出せずにいます。いわゆるコンプレックスを抱えていたり、人との比較をしていたりすることが、決められない理由です。人は2,3歳のころまでは、目の前のことに夢中になって楽しんでいるのに、成長過程の途中から、人と比べるようになってしまいます。「〇〇くんより、できないから」と、人と比べ始め、そして無駄に自信をなくしていくんです。他人ではなく、ちゃんと自分を見つめたうえで、置かれた環境の中で、やれることを満喫する。そういう人に育てることが花まる学習会の目標です。

--どうやったら、人と比べず、自分を見つめられるようになるのでしょうか。

 「過去の自分と比べる」がキーワードです。人間は、比較してしまう生き物ですから、比較することをやめることは難しいでしょう。ですから、過去の自分と比較すれば良いのです。たとえば花まる学習会では、計算教材「サボテン」を1日1ページ取り組むように指導していますが、クラスメイトとの競争ではなく、時間を計って取り組み「(自分が)昨日よりも早くできたか、解けるようになったか」を評価しています。

--なるほど。花まる学習会では、先生の声掛け自体「過去の自分よりできているかどうか」を軸に据えているんですね。

 そうです。そうすることで、変なコンプレックスをもたなくてすみます。大人からの声掛けって、想像以上に大切なんですよ。特に10歳くらいまでの子供に対する声掛けは、その子の自信を生むのか、コンプレックスになるのかを左右するんです。

 10歳くらいまでは、まだ子供の時期です。信頼する大人から「すごいな!」「できるね!」と声を掛けてもらうだけで自信に結び付きます。語弊を恐れずに言えば、思考も単純なので、褒められると本当にそう思えてくるんですよ。一方、逆もしかりで「君は算数が苦手だね」「字が下手だね」と言われていると、そう思って自分を卑下してしまうんです。

花まる学習会では「人と比べず、昨日の自分と比べる」

 実際、僕は小学3年生のときの大好きな担任の先生に「高濱くんだけ、このパズルの問題が解けたね」と言ってもらったことで「パズルが得意」だと思い込み、ここまで生きてきました。おかげで今ではパズル本も出すくらいです。信頼する大人からの言葉は魔法です。自信につながる魔法のような言葉を掛けることで、その子の意識が変わり、未来が変わるんです。

--「講師が良い」「子供が好き」の部門賞を受賞されているだけあって、子供にとって、花まる学習会の先生はまさに「信頼する大人」なのですね。

 そうありたいと思っています。子供にとって、いちばん信頼している大人は親でしょう。ただ、私が小学校で「パズルが得意」だと思い込むことができたように、先生の影響も小さくありません。ですから、花まる学習会では先生の質にとてもこだわっています。子供に「この先生は本物だ」と思ってもらうためには、まず子供を全力で受け入れる。そしてブレることなく、指導方針を貫く。ふとした瞬間に「〇〇くんよりできたから、良かったね」なんて言おうものなら、他の声掛けも水の泡になってしまいます。花まる学習会の先生たちは、入社後3か月間はみっちり集中して研修します。教科の指導だけでなく、子供の発達であったり、親の心理であったり、そういったことを徹底的に学んでもらいます。

花まる学習会の教室長は子育ての伴走者

--いちばん信頼できる大人として、親の関わり方は非常に重要なのですね。

 もちろんです。家庭が子供のベースとなりますから、いちばんは両親との関係です。特に、お母さんがキーポイントです。お父さんも、もちろん大切ですが、子供にとってお母さんの存在は想像以上に大きいんです。僕は週に10本ほど講演していますが、すべて世の中のお母さんにメッセージを届けたいがためにお話ししています。母親になると、子供の発達・成長について、不安になることが多く、うっかり「あれはやったの」「これをやりなさい」というネガティブな声掛けをしてしまう。そうやって親の感情を押し付けて育てると、子供は「自分の好きなことがわからない」「何をしたいのかわからない」という大人に育ってしまいます。それを未然に防ぐために、ご両親、特にお母さんの不安を取り除けるように、花まる学習会は全力でサポートする体制を整えています。

--講演会以外には、どのようなことをされているのでしょう。

 花まる学習会には、クラスごとに教室長と呼ばれる担任がいます。この教室長は、子供たちの学習の指揮をするという役割の他に、その子供たちの親の子育て伴走者という大きな役割を担ってもらっています。だから、入塾したときに、教室長は保護者に「なんでも相談してください」と声を掛け、連絡帳を用意しています。

 本来、子供は「群れ」で育てるのが望ましいと思うのです。しかし、現代はインターネット等によって情報はあふれているのに、相談する人がいない「孤育て」の家庭が増えています。周囲の目で、子育ての不安をキャッチし、保護者、特にお母さんが笑顔になれるような環境を整えたい。そんな思いで、教室長はフォローに徹しています。悩みがあるように感じたら、こちらからご連絡することもあります。専門的な知識が要るような悩みにも、花まる学習会に所属する専門家の先生や、外部の先生と連携して、しっかり寄り添うようにしています。

--お母さんが笑顔でいることが大事、ですか。

 そうですよ! お母さんが笑顔で、楽しくイキイキとしていると、それだけで子供は安心しますから。お母さんの心が満たされていれば、余計な口出しをせずに、子供のやることを見守ることができるようになると思います。

大人になって伸びるための学習の基礎、いつまでに固まる?

--花まる学習会の授業では、具体的にどのようなことをされているのでしょうか。

 花まる学習会の授業は子供の発達に合わせて授業内容を変えています。年中コース、年長コース、それから小学1~3年生までの低学年コースと小学4~6年生の高学年コースです。

 例えば低学年のクラスでは、あと伸びするための学びの土台作りをしています。将来、自分のやりたいことが見つかったときに、それを目指すためにどんな力が必要になるのか、わかりません。そのために全方位に応用できる力を底上げしておくイメージです。

 僕は基本的に子育ては自由に、その子がやりたいことをやった方が良いと考えていますが、いくつか「これだけは、好き嫌いに関係なく、絶対にやらせた方が良い」というポイントがあります。学習面でいえば、計算と漢字です。これはあらゆる学習の基盤となる能力です。それから、低学年の間にこそ伸びる思考力。花まる学習会の授業では、空間認識や平面図形の問題など、オリジナルの問題を使って10個のプログラムをテンポよく90分でやりきります。「できること」「楽しいこと」にしか集中できない年齢ですから、ひたすら楽しく、飽きる前に次のコンテンツに進むのがポイントです。

--高学年の授業はいかがでしょうか。

 小学4年生以降は、論理的思考力学習の仕方を身に付ける鍛錬の時期です。テンポの良さよりも、じっくり問題に取り組むことを重視していきます。だんだん親の言うことを聞かなくなる時期でもありますから、この時期は保護者の方からよりも、教室長から声を掛ける方が有効な場合もあります。10歳以降、受験などでも「やるべきことをやる」ことができる子が勝ち抜いていきます。

--10歳前後で寄り添い方が変化するのですね。

 そうですね、だいたい10歳前後で大きく変わります。たとえるなら蝶々。幼虫時代には、葉っぱの食べ方を教えることは必要ですが、蝶々になった後に身に付けておくべきは蜜の吸い方です。それくらい、対応を変える必要があります。そしていずれにしても、低学年の時期までにどれだけ「自分ならできる」という自信のつく成功体験を積めるかが勝負になります。

花まる学習会に野外体験がある理由

--夏と冬に実施される野外体験も、花まる学習会の特徴ですね。

 野外体験も花まる学習会において、重要なカリキュラムです。教室とは別で設定されているので、任意参加ですが、多くの子が参加してくれています。

花まる学習会では教室で土台をつくり、野外体験で考える力、人間力を培う

 教室で培うのは学問の土台となるものです。土台ですから、とても大切なものですが、ある意味、作業のように「とにかくやる」ということが重要になります。一方で「魅力的な大人」はその土台の上に感性や人間力、そして考える力が積み重なっています。これらは自由な外遊びで大きく伸びる力です。しかし、最近の公園は「ボール遊び禁止」「木登り禁止」と禁止事項ばかりで自由に遊べる場所が限られています。ですから、花まる学習会では、長期休暇に野外体験のプログラムを実施しています。

--「考える力」とは具体的にどのような力でしょうか。

 「見えないものが見える力」とも言えます。僕はこれを「補助線を引ける力」と表現することが多いのですが、これは圧倒的に外遊びで育まれます。たとえば、算数の問題でも、単に公式を当てはめて解くということをやっていると、応用力はつきません。でも難しい図形問題などで、補助線を引くなどして、自分が計算できるところまで問題を切り分けることで、次第に解けるようになります。補助線を引ける力とは、つまり自分の目指すものを達成するための力でもあります。

 外遊びでは、補助線を引く場面がふんだんにあります。たとえば「ここに基地をつくろう」と考えたときに、誰と、何をするか。丸太を持っていこうと思うけれど、予想外に重い場合、誰と協力して、どうやって運ぶのか。こういう体験を通して、自分で考え、達成する力を身に付けていくんです。異学年との交流を通じ、人間力を養うこともできるでしょう。「メシが食える大人」になるためには、教室での授業だけでなく、野外体験もすべて必要なのです。

--ありがとうございます。最後に一言お願いします。

 「幸せになる」ということは、決して年収が高いとか、他人から羨ましがられる職業に就くとか、そういうことではないはずです。そのような数値化できたり、人の価値観で測るようなものではなくて、イキイキと楽しく魅力的に生きてこそ、幸せだと思うのです。

 不幸の元凶は「人目、比較、コンプレックス、やらされ感」だと、僕は思っています。だからこそ、これらをできるだけなくして子供を育てたい。大人になったわが子に、やりたいことをやって自立していてほしい、幸せに充実した人生を生きてほしいと願うなら、ぜひ花まる学習会に来てみてください。


 「受験指導のための塾は多いけれど、それ以前の受験指導の前の土台を作るための塾は、あまりない」と高濱氏は言う。花まる学習会は、先行きが不透明で、将来の予測が困難な時代にこそ必要な、自分で自分を幸せにする力をはぐくみ、生きぬくための基盤を作ることができる稀有な学習塾だと感じた。

 高濱氏が「子供の成長には、母親の笑顔がマスト」と言い切る通り、子供だけでなく親も含めた手厚いフォローの姿勢に、救われる親子は少なくないだろう。「わが子には、自分の頭で考えられる子に育ってほしい」と考える方はもちろん、子育てに不安がある方も、一度体験してみてはいかがだろうか。

《田中真穂》

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