東京都「少子化対策」論点整理…教育支援や住宅確保策など

 東京都は2023年7月28日、「少子化対策の推進に向けた論点整理」を公表した。子育て世帯の教育支援や住宅確保策の推進など、多角的な観点でライフステージを切れ目なく支援し、社会全体で取組みを推進する。

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合計特殊出生率と出生数の推移(全国、都)
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 東京都は2023年7月28日、「少子化対策の推進に向けた論点整理」を公表した。子育て世帯の教育支援や住宅確保策の推進など、多角的な観点でライフステージを切れ目なく支援し、社会全体で取組みを推進する。

 「少子化対策の推進に向けた論点整理」は、各種データの整理や有識者ヒアリング、都民アンケートなどを踏まえ、都の少子化の現状や要因を分析し、次年度予算に向け政策検討における課題を整理したもの。

 全国的に少子化が進む中、東京都の出生率は2022年度1.04(全国1.26)と一定数を維持。核家族化が進み、共働き世帯は年々増加。未婚率が進行するとともに、子供の数は0人または1人の世帯が増加傾向にある。

 東京都は「出会い・結婚」「妊娠・出産」「子育て期の支援」「教育・住宅」「就労環境・職場環境」「社会気運・環境整備」の分野ごとの現状分析調査を実施した。調査結果は、東京都のほか、国立社会保障・人口問題研究所、厚生労働省の各種調査をもとに作成している。

 未婚者(18歳~29歳)の調査によると、「いずれ結婚するつもり」との回答は71.3%にのぼり、結婚に前向きな層は依然として多いことがわかった。妊娠・出産にあたっては、さまざまな不安が存在し、不妊を心配する夫婦の割合は4割近くにのぼった。

 保育の待機児童問題の解消は目前。0~2歳までは家庭で育つ児童も多いことがわかった。学童クラブでは整備が進み、登録児童数は増加しているが待機児童も発生している。

 夫婦が理想の子供数をもたない理由は、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」と52.6%が回答。このうち、妻の年齢が35歳未満の夫婦では、77.8%が教育費と住居費の負担を理由にあげている。

 大卒男性正社員の2021年実質年収(2017年~2021年の4年間)は、「1963~67年生まれ」と「1973~77年生まれ」で150万円の開きがあり、収入・雇用形態は結婚や出産に影響を与えていることがわかった。女性の年齢階級別正規雇用比率は、「25~34歳」63.8%、「35~44歳」44.1%、「45~54歳」33.6%と、20代後半をピークにその後は右肩下がりで低下していく「L字カーブ」がみられた。

 子供・子育てにやさしい社会を作るうえで、有効だと思う取組みは、「子供・子育てに関する社会の理解促進」52.2%、「公共・民間施設での育児サービスの充実(おむつ替えスペースなど)」51.1%、「移動しやすい環境整備(公共交通機関での優先スペースなど)」43.9%が上位にあがった。

 東京都では調査結果を踏まえ、複合的な要因や都の特性などに対応して、多角的な観点から対策を実践。望む人が結婚から妊娠・出産、子育てをしやすいように、ライフステージを切れ目なく支援し、社会全体で取組みを推進するとしている。

《川端珠紀》

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