【大学受験2024】難関私立大合格者が語る、夏休み明けから秋の過ごし方

 大学受験生にとって、いよいよ入試本番に向けてスパートをかける秋がやってくる。夏の終わりから秋にかけての大事な時期、難関私立大に合格した人たちはどのように過ごしたのか。駿台予備学校で学び、早稲田大、慶應義塾大、東京理科大に合格した1年生3人に話を聞いた。

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左から、山口さん、湯浅さん、中西さん
左から、山口さん、湯浅さん、中西さん 全 9 枚 拡大写真

 大学受験生にとって、いよいよ入試本番に向けてスパートをかける秋がやってくる。夏の終わりから秋にかけての大事な時期に、受験生たちはどう気持ちを整えて、どのように学習を進めていけば良いのだろうか。今回は駿台予備学校(以下、駿台)で学び、今年の春に難関私立大の早稲田大(商学部)、慶應義塾大(医学部)、東京理科大(創域理工学部)に合格した1年生3人に話を聞いた。

【話を聞いた人】
湯浅啓樹さん:早稲田大学商学部1年(私立桐蔭学園高校出身・1浪)
中西りかさん:慶應義塾大学医学部1年(私立広尾学園高校出身・現役)
山口華奈さん:東京理科大学創域理工学部1年(私立東京電機大学高校出身・現役)


【目次】
目標を立ててクリアすることに努めた夏休み
秋からは過去問を分析して2次試験対策へ
パフォーマンスを最大限にするため睡眠は削らない
過去問で出題傾向を分析し自分に足りないものを補強する
親にしてもらって嬉しかったこと・やめてほしかったこと
不安は勉強でしか消えない。高1・高2は高校生活を楽しみつつ夢探しを


目標を立ててクリアすることに努めた夏休み

--皆さんは今春、見事に難関私立大に合格されていますが、受験生だった1年前の夏休みはどのように過ごしましたか。成果と反省点の両面から振り返っていただけますか。

山口さん:夏休みは苦手の克服に努めようと、模試の成績が振るわなかった数学をメインに勉強していました。学校のある1学期は、苦手な単元や手薄になっているところを補強する時間が取れなかったのですが、夏休みはまとまった時間が使え、力が付いたと思います。でも、苦手な数学に偏ってしまい、他の科目に割ける時間が減ってしまったので、もう少し上手な時間配分ができれば良かったというのが反省点です。

湯浅さん:僕も夏は苦手科目だった数学を中心に取り組んでいました。加えて、英語の文法や単語などは受験直前になると時間が取れないと思い、夏までに仕上げようと意識しました。毎日駿台に通い、勉強せざるを得ない環境に身を置いていたのも良かったと思います。とにかく夏は苦手科目を中心に一生懸命でした。

中西さん:私は秋からスムーズに過去問演習に入れるように、夏休みの間に理系科目の基礎固めをしました。特に現役生はどうしても理科が遅れがちで、物理は夏の時点で授業が終わっていなかったのですが、そこは自分で先取りをしつつ、夏休みの前までに習ったことは漏れなく習得し、基礎的な問題は取りこぼさないよう心がけました。夏明けの模試で理系科目の伸びが感じられたので、その成果はあったと思います。

左から、山口さん、湯浅さん、中西さん

 反省点としては、8月中旬まで吹奏楽部の活動に参加し、夏にはコンクールもあったので、練習疲れで寝てしまうなど、体力的に厳しいときがありました。自己管理がもう少しできればよかったなと思います。

秋からは過去問を分析して2次試験対策へ

--それぞれに目標を立てて、それをクリアする夏を過ごされたんですね。では、夏休み明けの秋から年内いっぱいはどのようなスケジュールで過ごされましたか。スケジュールの管理方法についても教えてください。

山口さん:私は学習アプリを使って管理していました。2学期からは午前中に学校が終わるので、午後は駿台に行くようにしました。秋から冬にかけての過ごし方は次のような感じです。
9月>
・夏休み中には不十分だった数Ⅲと物理、化学を中心に、夏にやりきれなかったものを取り返す
・駿台の夏期講習は夏休み中に一度復習を終えたものの、確実な定着を目指してもう一度復習する。
<10~11月>
2次試験対策として、志望校の過去問を解く。そこで傾向を見て、「自分はこの分野が弱いな」とか、「こういう形式が出るんだ」といった手応えを確認。
弱点を補強しつつ、頻出の分野は応用問題にも手を伸ばしてみる。
・同様に模試でも抜けや穴をチェックし、それを埋めていく
<12月>
共通テスト対策に集中する。

山口さんの昨年9月と12月スケジュールの一部。9月の学習時間は9時間~12時間だったが、12月は14~15時間に増加

湯浅さん:僕はTo Doリストはあえて作らずに、月割でやることをざっくりと決めていました。大きな流れとしては山口さんと同様で、
<9月>
・直前期になるとあまり時間がかけられない、共通テストでしか使わない科目を進める
<10~11月>
2次試験対策を中心に、特に世界史をしっかり固める時間にあてる。
<12月>
・共通テスト対策に集中する。

という感じでした。

丁寧にまとめられている、湯浅さんの「世界史」テキストとノート

中西さん:私は、スケジュール管理を学習アプリを使い、2週間スパンで計画を立てました。9月から12月にかけては模試と学校の定期試験が2週間ごとに巡ってくるので、そこをペースメーカーにし、それぞれの模試や定期試験で各科目何%得点したいか目標を決めた上で、具体的な学習計画を立てるようにしました。

 この時期の私には、次の2つの大きな節目がありました。

<10月>
上旬に行われる文化祭休みを利用して、10校ほどの過去問をひととおり解き、各大学の入試の傾向を分析。さらに、合格最低点にはどの科目で何%取れば良いのかを計算し、そこから逆算したスケジュールを組む。同時に、問題に癖があって対策が間に合わない、あるいは相性が合わない大学は受けないと決断

目標がしっかりと書き込まれた中西さんの昨年9月、10月のスケジュール

<11月>
月末に東京医科歯科大学の推薦入試を受験。合格しなかったものの、私立大含めて医学部受験には必須の面接と小論文対策を早めに終える

<12月>
国公立の医学部入試は共通テストの点数が生命線なので、山口さんと湯浅さんと同様、共通テスト対策に集中しました。

中西さんの昨年11月、12月のスケジュール。自らを鼓舞する言葉が書かれている
駿台模試ラインアップ(高3・高卒生対象)

パフォーマンスを最大限にするため睡眠は削らない

--12月からは共通テストの準備に取り掛かれるよう、10月から11月にかけて過去問に取り組む。皆さん、逆算して段取り良く計画を立てられていたのですね。そのようなタイトなスケジュールを進めていくにあたり、日々の勉強で気をつけていたのはどんなことですか。

山口さん:実は、秋から本番までの4か月間って、メンタルが弱ってモチベーションが下がりやすい時期なんじゃないかと思います。夏休みまでは、模試の判定がどれだけ悪くても、「もうちょっと頑張ったらいけるんじゃないか」と今後の可能性を信じて頑張ることができるんですけど、秋以降は入試本番がグッと間近に近づいてくる感覚で、時間がない焦りから自信をなくしがちです。

 私も、夏休み明けすぐの模試の結果がひどく、かなり落ち込んでしまいました。でもその時、駿台の進路アドバイザーに相談したら、「頑張っているのに報われなくて悔しいと思うけど、まだ結果が出てないだけだから、ここは踏ん張り時だよ」と励まされ、頑張ろうって思えたんです。言われた通り、その後は模試の結果に成果が現れるようになったので、辛い時は決して抱え込まず、周りに相談することはとても大事だと思います。

湯浅さん:僕は、日中のパフォーマンスを最大限にするために、夜更かしはせずしっかり休むようにしていました。そして、もうひとつは、スマホを遠ざけること。受験モードにすんなり移れるよう、オンとオフの切り替えを意識することはとても大事だったと思います。

 勉強は、基本的に駿台で自習室の閉まる21時まで残り、その間は手を緩めないようにしました。「駿台に来たら勉強する」というスイッチを入れる代わり、家ではリラックスし、勉強は軽く英単語を見るくらいにとどめました。

 メンタル面では、入試本番が迫ってくると、周りの人たちが自分よりずっとできるように見えることもあるんですが、「所詮みんな自分と同じ年ごろなんだから」と気負わないようにしていましたね。

「夜更かしせずしっかり休み、スマホは遠ざけた」と振り返る湯浅さん

中西さん:私も湯浅さんと同じで、質の良い勉強を長時間するために、睡眠時間を削らないことと、オンとオフの切り替えを大切にしていました。週3日、駿台の授業がある日は駿台で、駿台がない日は学校近くの図書館で閉館時間まで勉強しました。家は体を休める場所にし、それが良い切り替えになっていました。

 とはいえ、時間が足りないくらいやるべきことが多いので、共通テストでしか受けない科目は学校の定期試験を対策にあてたり、週に3回の駿台の授業は予習復習をしなくても済むよう授業にしっかり集中するなど、効率良く時間を使うことを心がけました。

過去問で出題傾向を分析し自分に足りないものを補強する

--受験校はいつ決めたのか、過去問はどのように取り組んだのか、具体的に教えてください。

山口さん:私は国立1校と私立4校を受けましたが、最終的に受験校を決めたのは12月です。私立は「ここもあそこも受けたい」となったものの、駿台の進路アドバイザーに相談し、試験日が連続にならないように絞り込みました。

 過去問は間違えたところや苦手な問題をコピーして、ルーズリーフに貼って解答や解説を書き込み、自分専用の弱点をまとめたオリジナル問題集を作って定期的に見返しました。共通テストの過去問は、なるべく本番の時間割通りにやるようにしました。

 特に12月は冬期講習もあって忙しく、まとまった時間が取りにくいですが、毎日全科目触れるようにしたこと、過去問を解くスケジュールには、復習がおざなりにならないよう、「予備日」を設けたことも良かったと思います。

湯浅さん:僕が第一志望を決めたのは4月でした。国立では一橋大、私立は早稲田大商学部に決め、英語・国語・世界史で受験することにしました。過去問は一橋大を中心に進めましたが、国語に関しては私立もその勉強で十分でした。

 一方で英語は、問題の量が多くてスピード勝負なので、しっかり過去問に取り組み、制限時間の厳守を心がけました。世界史は、主要大学の過去問を分野検索できる、駿台独自の「過去問・分野別演習システム」を活用しました。時代や地域、テーマごとにまとめて勉強するのが効率的で、資料集を傍らに置きつつ、自分が補強したい分野を集中的に解きました。

 過去問の自己採点で厄介なのは、記述問題の添削です。英作文、現代文や社会の記述は、先生に添削してもらうことで伸びていきます。ところが共通テストが終わってしまうと、学校でも予備校でも先生に会える機会が減ってしまうので、記述問題の添削はなるべく早めにやっておくことをおすすめします。

中西さん:私は国立に関しては高1、私立は最終的に高3の10月に過去問を解いてから決めました。家から通える医学部という軸で、学費との兼ね合いと、過去問の相性が良いかどうかで絞りました。

「過去問と同じ問題が再び入試に出ることはないが、大学の傾向を知り、実力を測り、何が足りないのか知ることができる」と語る中西さん

 過去問は、英語だけは高3の4月から毎週2校ずつ解き、学校の先生に添削してもらいました。英語以外の教科は秋以降でしたが、英語が早めに仕上がったのは大きなアドバンテージになりました。過去問と同じ問題が再び入試に出ることはありませんが、各大学の傾向を知るとともに、自分の実力を測り、何が足りないのか知ることができる恰好の材料として活用すると良いのではないでしょうか。

親にしてもらって嬉しかったこと・やめてほしかったこと

--長い受験生活で親に感謝していることや、これはやめてほしかったということはありますか。

山口さん:夜遅くまで図書館で勉強していると迎えに来てくれたり、栄養バランスを考えたご飯を用意してくれたり、両親とも協力的でした。一番感謝しているのは、落ち込んでいる時に、友達にも話せない弱音を母が聞いてくれたことです。

 一方でやめてほしかったのは、模試の成績だけを見て喜んだり、ガッカリしたりすること。結果ではなく、頑張っている過程をねぎらってほしかったですね。

湯浅さん:僕は親に干渉してほしくないタイプなので、自由にさせてくれたのはありがたかったなと思います。ただ1点だけ意見が食い違ったのは、親が「模試は可能な限りすべて受けておけ」という考えだったこと。駿台で必須受験の模試をしっかり復習することが大事だと思っていたので、そこは尊重してほしかったなと思います。また、山口さんと同じく、僕も親には模試の判定について何も言われたなくなかったですね。

中西さん:先ほどもお話ししたように、私は家では勉強しないタイプなので、家でリラックスできる雰囲気を家族が作ってくれたのはとてもありがたかったです。わが家の場合、模試の成績表が返ってきても親から結果を聞かれることはなく、「行きたい学校に行ければ良いね」という感じで、非常に気が楽でした。家族といるときはいったん勉強から離れて寛げたおかげで、ひとりになると勉強に集中でき、スイッチの切り替えがうまくいったと思います。

不安は勉強でしか消えない。高1・高2は高校生活を楽しみつつ夢探しを

--最後に、来春に受験を控えている人たち、そして高1・高2生に向けてもメッセージをお願いします。

山口さん:勉強の不安は勉強でしか消えません。自分の可能性を信じて、最後まで諦めないでほしい。そして高1・高2の間は、勉強のモチベーションとなる夢や自分のやりたいことを探す時間にあててほしいと思います。

「勉強の不安は勉強でしか消えない。自分の可能性を信じて、最後まで諦めないでほしい」と受験生にエールを送る山口さん

湯浅さん:模試の判定はまったく関係ありません。合否は受験当日に配られた問題にどれくらい答えられるかでしか決まらないので、模試の判定に一喜一憂する時間があったらちゃんと復習をし、1問でも多く得点できる力を付けることが最優先です。高1・高2生は、学校の勉強を侮らないでほしい。学校の定期テストを節目にしつつ、着実に基礎を積み上げていけば、受験で大いに役立ちます。

中西さん:受験期は点数だけで測られますが、周りと比べずに「自分は自分」と言い聞かせることが大事です。受験はあくまでも手段であり、大学に入ったら何をしたいかを思い描きながら、「こんな自分になるんだ」という自分なりの軸をもつことが重要だと思います。自信は努力から。努力すれば必ず自信が付いていきます。

 高1・高2生には、やりたいことを後悔なく満喫したほうが受験勉強に集中できると思うので、思い切り高校生活を楽しんでほしいです。

--ありがとうございました。


周りの大人をうまく頼りながら効率よく学習する

 3人とも忙しい高校生活や浪人生活を送りながらも、志望校の出題傾向を分析して、自身の弱点や足りない部分を把握し、効率良く改善・学習していくというスマートな受験勉強を進めていたようすが伺えた。秋から受験本番にかけての時期はいよいよ時間がなく、焦ることからメンタルも不調に陥りがち。しかし、3人の先輩方が示してくれたとおり、模試の判定はさほど気にせず、駿台の先生やクラス担任・進路アドバイザーさんなど周りの大人の助けを得ながら、自分の力を信じて勉強に取り組んでほしい。

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《羽田美里》

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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