保護者の9割、高校入学前の給付金を希望…就学時の負担増加傾向

 子供支援専門の国際NGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは2023年10月24日、「子ども給付金~新入学サポート2023~」の利用者アンケート調査結果報告書を発表した。入学時の制服・運動着代の全国平均額が中学1年で8万9,809円、高校1年で10万435円と、2022年度調査と比べそれぞれ1万円以上高くなっていることがわかった。

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「子ども給付金~新入学サポート2023~」の利用者アンケート調査結果
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 子供支援専門の国際NGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは2023年10月24日、「子ども給付金~新入学サポート2023~」の利用者アンケート調査結果報告書を発表した。入学時の制服・運動着代の全国平均額が中学1年で8万9,809円、高校1年で10万435円と、2022年度調査と比べそれぞれ1万円以上高くなっていることがわかった。

 調査は、経済的困窮に加えて特定の生活上の困難がある子育て世帯の生活状況や就学にかかる費用、また既存の支援制度の利用や保護者の経済的負担感などを把握することを目的に実施。あわせて給付対象の中高生に、生活の状況や学びとお金に関すること、また求める支援などについて尋ねた。有効回答数は5月12日から31日までに回答のあった全国の給付金利用世帯の保護者586人、中高生276人。

 制服・運動着代について、新入学の中学1年、高校1年の全国平均額の合計はそれぞれ8万9,809円、10万435円であり、2022年度の調査と比較し、それぞれ1万以上高くなっている。制服の妥当な金額については「1万円~3万円未満」との回答が36.5%ともっと多かった。高校入学時のパソコン・タブレットの購入については国公立で46.7%、私立で64.2%が必要だったと回答した。購入平均額は国公立で5万円以上、私立で8万円以上であった。購入にあたって自治体や学校からの補助があったのは国公立で37.0%、私立で8.0%だった。

 高校1年生の保護者の48.5%が、子供の就学について「経済的な理由により高校就学を続けられない可能性がある」と回答した。また91.7%が高校入学の際に、就学援助制度のような入学前支給制度を利用したいと回答した。

 保護者と中高生ともに、それぞれ7割以上が、経済的不安なく学ぶためには「学校に必要なものは学校で用意する」必要があると回答した。ついで、「給食費・通学時の昼食費を無料にする」も7割前後であった。通学交通費については、高校1年の保護者の70.5%が進学する高校を選択する際、「非常に重視した」「やや重視した」と回答した。

 これらの結果を受けセーブ・ザ・チルドレンは、こども家庭庁が取りまとめを進める「こども大綱」において、文部科学省との連携を強化し、明確に子供の貧困対策の拡充、特に学ぶ権利の保障に向けた方針を示すことを強く訴えるという。また、特に「中学校・高校での私費負担軽減、助成の拡大、高校入学前の準備金の創設」「給食・昼食費の無償化、高校進学にあたって通学費の補助」について対策を速やかに講じるよう、国や関係省庁、地方自治体に対し提言するとしている。

《中川和佳》

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