中高生の運動部への加入率、低下傾向…笹川スポーツ財団

 中高生の運動部活動への加入率は引き続き減少傾向にあることが2024年4月4日、笹川スポーツ財団が発表した「子ども・青少年のスポーツライフ・データ2023」の最新の調査結果から明らかとなった。運動部の地域移行には、中高生の健康・活動ニーズを踏まえた取組みが重要といえる。

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生徒のニーズから考える部活動の地域移行
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 中高生の運動部活動への加入率は引き続き減少傾向にあることが2024年4月4日、笹川スポーツ財団が発表した「子ども・青少年のスポーツライフ・データ2023」の最新の調査結果から明らかとなった。運動部の地域移行には、中高生の健康・活動ニーズを踏まえた取組みが重要といえる。

 「子ども・青少年のスポーツライフ・データ」は、4~21歳の幼児から大学生・勤労者年代を対象としたスポーツに関する調査データをまとめたもの。笹川スポーツ財団が2年ごとにスポーツの実施頻度・実施時間・運動強度などの現状を明らかにしている。最新の調査結果は、4~11歳(標本数2,400人)と12~21歳(標本数3,000人)を対象に、2023年6月24日~7月21日、訪問留置法による質問紙調査(4~11歳では個別聴取法も併用)で実施した。

 4~11歳の運動・スポーツ実施状況は、全体では大きな変化はみられなかったものの、運動・スポーツ実施頻度群の年次推移をみると、高頻度群は微減 、低頻度群が微増の傾向にあった。過去1年間によく行った運動・スポーツ種目は、1位「おにごっこ(57.2%)」、2位「ドッジボール(32.0%)」、3位「水泳(31.4%)」。水泳は2021年から4.1ポイント増加した一方、「なわとび」など実施率が減少した種目も確認された。

 12~21歳では2019年以降、週5回以上1日120分以上とする「レベル4」の割合は減少傾向にあり、「レベル2(週1回以上5回未満・年間52~259回)」や「レベル3(週5回以上・年間260回以上)」の割合が微増した。

 健康の自己評価を尋ねた設問では、4~11歳は「健康状態はよい」が85.6%で、「よくない」と回答した者はいなかった。12~21歳は、「健康である」が76.8%で、「あまり健康ではない」が19.8%、「健康ではない」が3.4%であった。

 身体活動・スクリーンタイム・睡眠の関連については、2016年にカナダが発表した5~17歳の子供における24時間行動ガイドライン(Tremblay et al., 2016)をもとに達成状況を調査。中学校期・高校期いずれも「身体活動」の達成率が高い一方で、「スクリーンタイム」の達成率は低かった。身体活動・スクリーンタイム・睡眠の一定水準をいずれか1つ達成することはメンタルヘルスの向上につながるとされるが、「すべて未達成」とする割合は、中学校期26.4%、高校期38.6%であった。

 運動部活動への加入率は、2017年以降、中学校期・高校期ともに減少傾向。中学校期男子の加入率は、2015年から2021年にかけて70%台で推移してきたが、2023年は2021年から9.9ポイント減少し64.1%。女子の加入率は2015年に58.4%であったが、2021年と2023年は49.8%半数を切った。

 学校運動部活動の活動日数や時間は、生徒本人の希望より多い。また、実状と希望の差をみると「0日」は希望が7.2ポイント高く、「2日」は希望が7.9ポイント低いことから、土日の活動は今よりも日数を減らしたいと考える中学生が一定数いると推察できる。

 最新の調査結果「子ども・青少年のスポーツライフ・データ2023」は、2024年3月29日に刊行。Amazonブックストアなどで発売中。

◆子ども・青少年のスポーツライフ・データ2023
発売日:2024年3月29日
仕様:A4判(29.7x21.0)/220ページ 
価格:4,180円(税込)
調査結果:
1:運動・スポーツ実施状況
2:スポーツ施設
3:スポーツクラブ・運動部
4:運動・スポーツへの意識
5:スポーツ観戦
6:好きなスポーツ選手
7:習いごと
8:スポーツボランティア
9:体格指数・健康認識
10:身体活動・生活習慣
11:家族と運動・スポーツ

《川端珠紀》

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