新しい時代の学びを支えるには「老朽化対策とトイレ改善」上位に

 新しい時代の学びを支える安全・安心な教育環境の実現のために必要なことの上位に「老朽化対策」とあわせて「トイレの改善」があげられたことが、学校のトイレ研究会が公表した自治体アンケート調査の結果から明らかになった。バリアフリートイレやトイレの洋式化・乾式化を求める声が上位にあがっている。

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新しい時代の学びを支える安全・安心な教育環境の実現のために「今後改善が必要」と思われること
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 新しい時代の学びを支える安全・安心な教育環境の実現のために必要なことの上位に「老朽化対策」とあわせて「トイレの改善」があげられたことが、学校のトイレ研究会が公表した自治体アンケート調査の結果から明らかになった。バリアフリートイレやトイレの洋式化・乾式化を求める声が上位にあがっている。

 TOTOなどトイレ関連6社による研究活動組織「学校のトイレ研究会」は、自治体へのアンケート調査および研究誌の発行を毎年1回実施している。今回、2024年7月12日に「学校のトイレ研究誌27号」を発行。あわせて、「2023年度全国自治体アンケート調査」の結果を公表した。

 自治体アンケート調査は、2023年9月~11月にかけて全国1,787自治体の教育委員会を対象に実施。99自治体から回答を得た(回答率5.5%)。

 新しい時代の学びを支える安全・安心な教育環境の実現のために「今後改善が必要」と思われることについて、もっとも多かった回答は「老朽化対策」85%。ついで、「バリアフリートイレの整備」58%、「トイレの洋式化・乾式化」57%となり、「老朽化対策」とあわせて「トイレの改善」が上位にあげられた。また、「スロープ・エレベーターの整備」「避難所としての防災機能強化」もそれぞれ56%、53%が回答し、インクルーシブ教育や災害対策に配慮したバリアフリー対策が重要視されている傾向がうかがえる。

 児童生徒用トイレの洋式化の方針については、「すべて洋式化」「おおむね洋式化」という回答の合計が91%に。2023年9月に文部科学省が公表した調査結果では、全国の公立小中学校施設のトイレにおける洋便器の割合は68.3%となり、前回調査(2020年実施)から11.3ポイント向上。学校のトイレの洋式化整備は着々と進んでいるようだ。

 バリアフリートイレの設置場所については、「校舎の1フロアのみ」が45%、「体育館に設置」が26%、「校舎の各階に設置」が18%。「ほとんど設置していない」との回答も10%あり、複数個所への設置はいまだ少ないという結果となった。

 また、性的マイノリティや異性の支援が必要な児童への対応として、男女共用トイレは必要かとの問いでは、「必要」34%、「どちらかというと必要」29%と、63%が必要性を感じていることがわかった。反対に「不要」との意見は5%にとどまる。

 アンケート結果の詳細は「学校のトイレ研究誌27号」と研究会のWebサイトに掲載している。研究誌27号では、街づくりの新たなスタンダードとして展開が期待される、学校と行政施設が併設された大阪府豊中市の事例や、屋外からのアクセスと防犯対策を両立する「みんなのトイレ」を設置した神奈川県藤沢市の小学校の事例を紹介。

 特集では「災害対策と防災機能強化」「インクルーシブな環境の整備」「公共施設との複合化・集約化」の3つの視点から考える「新しい時代の学びを支える学校トイレのあり方」の論考とともに、「令和6年能登半島地震」の1.5次避難所のトイレの視察レポートなども掲載している。

 「学校のトイレ研究誌27号」は、学校のトイレ研究会のWebサイトから、無料で閲覧・取り寄せができる。

《畑山望》

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