学年上がるほど「近視」が進行…児童生徒の近視実態調査

 文部科学省は2024年7月31日、児童生徒の近視実態調査事業の2023年度(令和5年度)結果報告書を公表した。長いほど近視の度合いが強いとされる目の角膜から網膜までの「眼軸長」の測定の結果、学年が上がるにつれ「近視」の割合が増えることがわかった。

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裸眼視力1.0未満の者の割合の推移
裸眼視力1.0未満の者の割合の推移 全 7 枚 拡大写真

 文部科学省は2024年7月31日、児童生徒の近視実態調査事業の2023年度(令和5年度)結果報告書を公表した。長いほど近視の度合いが強いとされる目の角膜から網膜までの「眼軸長」の測定の結果、学年が上がるにつれ「近視」の割合が増えることがわかった。

 児童生徒の近視実態調査は、一般に近視が進行する年齢段階である義務教育段階の児童生徒を対象に、機器を用いて眼の状態や屈折の状況を測定し、同時に簡単なアンケート調査も行うことにより、近視の正確な実態や生活習慣との関係、近視の予防方法を明らかにすることを目的に実施している文部科学省の委託事業。2023年度の調査期間は2023年4月~7月、解析対象者数は、眼科検査未受検者488人を含む8,905人(男子4,629人・女子4,258人・記載なし18人)。

 裸眼視力1.0未満の子供のうち、近視の割合は約8~9割。

 2023年度の調査によると、370方式視力測定法による裸眼視力判定で視力0.9以下とされ、近視の定義に該当する割合は、「B:視力0.9~0.7」右眼60.0%・左眼58.2%、「C:視力0.6~0.3」右眼84.8%、左眼83.4%、「D:視力0.2以下」(右眼94.5%、左眼94.7%)で、裸眼視力1.0未満の多くが近視であることが示唆された。

 長いほど近視の度合いが強いとされる目の角膜から網膜までの「眼軸長」を測定において、裸眼視力1.0未満の割合は学年が上がるほど増える傾向にあることがわかった。2022年度には小学生で24.95%、中学生で61.23%、高校生で71.56%が裸眼視力1.0と測定されており、約40年前のおよそ1.3倍~1.7倍程度に増えている。なお、近視の定義には、「眼軸長/平均角膜曲率半径(AL/CR)比2.95以上かつ等価球面度数-0.5D以下」を用いている。

 また、長いほど近視の度合いが強いとされる目の角膜から網膜までの「眼軸長」の測定においては、2021年度の調査から増加傾向にあることも明らかとなった。なお、調査における近視の定義には、「眼軸長/平均角膜曲率半径(AL/CR)比2.95以上かつ等価球面度数-0.5D以下」を用いている。

 近視のほとんどは軸性近視であり、軸性近視とは正視と近視「眼球の形が前後方向に長くなって、目の中に入った光線のピントが合う位置が網膜より前になっている状態」で、近年、子供の近視は世界中で増加しており、特にアジアの先進諸国では多い傾向にある。

 近視実態調査では、学校の授業や休み時間以外で屋外にいる時間が「90分以上120分未満」の場合、「30分未満」の場合と比べ、視力低下との関連が小さいことなどが明らかとなり、屋外で過ごす時間を増やすことが視力低下や近視の予防に繋がることが示唆された。また、スマートフォンやゲームなど電子機器の利用時間が長いほど、視力低下につながる傾向にあることから、文部科学省はできる限り近くを見る作業を短くするよう呼び掛けている。

《川端珠紀》

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