少子化にも関わらず、依然として狭き門の早慶や明青立法中(明治・青山・立教・法政・中央)、関関同立(関西学院・関西・同志社・立命館)といった私立の名門大学。各大学の人気度や注目度は、志願者数や志願倍率などから測られがちだが、そうした数字には表れにくい人気の傾向を示すデータがある。
そのデータとは、東進ハイスクールが独自作成している「ダブル合格者進学先分析」だ。これは、たとえば早慶を併願して、両方受かった場合に実際に進学するのはどちらかといった最終的な進学先を分析したもので、昨年の記事は公開直後から大きな反響をよんだ。
今年も最新のデータから、東進ハイスクール運営元であるナガセの広報部長・市村秀二氏にインタビュー。大好評を博した第1回「【2024年最新版】早稲田と慶應「ダブル合格者」はどちらを選ぶ?」 第2回「【2024年最新版】明治・青学・立教・法政・中央「ダブル合格者」はどこを選ぶ?」に続き、第3回の本記事では、関西の難関私大「関関同立」にスポットをあてる。
【目次】
・関西トップ4私大、最新の出願傾向と受験生の特徴
・各大学の2025年入試の特徴や変更点
・関関同立のダブル合格者が選ぶのはどの大学か
・キャンパスの立地で、大学選びに逆転現象が起こる
・学内併願のダブル合格も分析、人気の学部は?
・関関同立、各大学の強みと今後の展望
関西トップ4私大、最新の出願傾向と受験生の特徴
--関関同立とよばれる関西学院・関西・同志社・立命館の4大学は関西のトップ私立大学ですが、最新の出願傾向はどうなっているのでしょうか。
関西学院大学
2010年・11年に5万人の志願者を集めていましたが、それ以降徐々に志願者を減らし、2020年は3万3千人台となりました。しかし、その年から2024年まで志願者数は改善し、本年は5万2,624名とこの20年でいちばんの志願者数となり、同志社を抜きました。2021年から神戸三田キャンパスの理工学部を理学部・工学部・生命環境学部・建築学部の理系4学部に改組し、総合政策学部とあわせて5学部体制とした大学改革の成果が表れていると考えられます。
2024年6月に実施した「全国統一高校生テスト」での学部系統別志願動向(以下、学部系統別志願動向は、同様のデータを使用)を分析すると、大学全体では昨年よりわずかに下回っているものの、理学系、文・人文・人間系統の指標が高くなっています。
関西大学
2007年には志願者数が10万人を超えるなど、関東の有名大学よりも多く志願者を集めていましたが(当時、工学部を理工系3学部体制に再編)、ここ数年は7万人台で推移しており、2024年は過去20年で最少の7万2,664名となりました。
学部系統別志願動向では、全体では昨年よりやや低い傾向です。文・人文・人間系や、外国語系が昨年を上回る一方で、理学や工学系統が低い指標です。
目下最大の注目点ともいえるのは、2025年4月にビジネスデータ学部が新設され、新たに「吹田みらいキャンパス」が誕生することです。ここ数年の志願者数減少傾向に歯止めがかかり、新たな志願者層が増えることが期待されます。
同志社大学
近年では2018年がもっとも多い志願者で5万8千人を集めていましたが、概ね5万人前後で志願者を集めています。2021年は4万4千人ほどと落ち込んだものの、3年連続で志願者が増え、2024年は5万974名でした。
学部系統別志願動向では、全体では昨年とほぼ同数です。理学や環境・情報・国際系統で昨年を上回る見込みですが、外国語や社会・社会福祉系統が低い指標です。
立命館大学
2014年以降、関関同立の中で最大の志願者数となっています。2020年は2004年ぶりに10万人を超える志願者となり、それ以降は反動から減らしたものの、ここ3年は連続で志願者が増え、2024年は9万5,779名でした。
学部系統別志願動向では、全体では昨年より低い傾向です。文・人文・人間系や、薬学、環境・情報・国際系統が昨年を上回る一方で、社会・社会福祉、法・政治系統が低い指標です。
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--最近は大学入学者の中で総合型・学校推薦型が占める割合が増えていますが、関関同立で一般選抜の割合が高い大学はどこですか。
関関同立で一般選抜の入学者の割合がいちばん高いのは立命館で6割ほどです。同志社・関西学院・関西と続きますが、大きな差はなく、5割強が一般選抜となっています。
--関関同立の受験生の特徴を教えてください。
関東の難関私大である明青立法中(明治・青山・立教・法政・中央)と比較すると、関関同立のほうが国公立との併願の割合が高いのが特徴です。関西圏では私大の最上位グループになるため、関関同立の上位となると京都大、大阪大、神戸大をはじめとする難関国立大や、2022年に誕生した大阪公立大との併願が多くなっています。一方、明青立法中では50%を超えているのは明治だけで、ほかは私大専願者のほうが多いのが実態です。
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各大学の2025年入試の特徴や変更点
--各大学の入試の特徴や変更点があれば教えてください。
関西学院大学
大きな変更点はありませんが、人間福祉学部では、一般選抜学部個別日程にて、傾斜配点型を新設します。
関西大学
2025年よりビジネスデータサイエンス学部が新設され、キャンパスも新しく吹田市に「吹田みらいキャンパス」が誕生します。文系も理系も活躍できる学び、データサイエンスとイノベーションを結びつける新しい価値を創出する人材育成を目指します。
同志社大学
大きな変更点はありませんが、新課程に対応した入試科目の変更が行われます。
立命館大学
共通テスト利用入試では「情報Ⅰ」が積極的に活用される予定です。多くの学部・学科で高得点採用科目(複数の指定科目の中からもっとも得点が高い科目が採用される方式)として追加されるほか、新たに「情報活用型」の共通テスト併用方式が導入されます。
各大学の細かな入試変更点は、必ずホームページや入試要項で確認をしてください。
関関同立のダブル合格者が選ぶのはどの大学か
--複数校に合格した場合、どこを選ぶケースが多いのでしょうか。また、おもにどういった基準で選んでいるのでしょうか。
関関同立でのダブル合格進学先のデータを見ると、同志社が圧倒的な強さを誇ります。全年度、全大学との比較において95%以上と2位以下に大差をつけての圧勝。前述した国公立との併願でもトップということからも、関西圏では人気・実力ともに最上位に君臨していることがわかります。
昨年、関関同立で異変が起きたと指摘した、関西学院と立命館のダブル合格では、本年もほぼ同じ結果となり、立命館が上位に立ちました。関西学院は今年も志願者数を大きく伸ばし、3年前の1.5倍、直近20年間で最多と、関関同立の中でももっとも大きな伸びとなり、その躍進ぶりに注目が集まっていますが、一方でダブル合格の結果だけに着目すれば昨年より3番手となり、グループの最下位となっている関西との差も年々縮まっていることがうかがえます。
ちなみに、関西大とその次のグループ産近甲龍内(京都産業・近畿・甲南・龍谷)でトップの近畿大とを比較すると、96.5%が関西大を選択しています。昨年よりはその差が縮まったものの大差であることには違いなく、関関同立と産近甲龍という2つのグループ間にはまだまだ大きな壁があるといえます。
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--大学全体で比較したダブル合格進学率では同志社が断トツ、そして立命館が健闘しているようですが、同じ学部系統で見た場合はどのような状況なのでしょうか。
結論から申し上げれば、どの系統においても同志社は圧倒的です。特に文系学部3系統においては、すべて同志社が100%とパーフェクトでした。
まずは法学部同士の比較では、同志社、立命館、関西学院、関西の順となっています。ここで注目したいのが、2番手争いの関西学院VS立命館です。立命館大が71.4%と関西学院を上回り、昨年までから逆転しました。両者を比較すると、立命館大のほうが司法試験合格を目指す学生が多いという特徴があります。ちなみに、関関同立の司法試験合格者(法科大学院別)をみると、2024年は同志社が41名(昨年29名)でトップ(全大学院中9位)。続いて立命館が29名(昨年20名)、関西15名(昨年7名)、関西学院10名(昨年5名)となっており、関関同立すべてが昨年の実績を上回りました。
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経済学部は、同志社、関西学院、関西、立命館という順で、経済学部が看板である関西学院が強さをみせました。
立命館の経済学部は滋賀県のびわこ・くさつキャンパスにあります。立命館が関西を下回り、関西学院にも大差をつけられているのは、やはりこのキャンパス立地の問題が大きいと推察されます。
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商・経営では、同志社、立命館、関西学院、関西となっています。
立命館の経営学部が同志社を除き圧倒的なのは、大人気の大阪いばらきキャンパスによるところが大きいでしょう。
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理工系学部では、同志社、立命館、関西、関西学院の順となっています。関西学院は2021年に理工学部を4学部にする改革を行ってから大きく志願者を伸ばしていますが、関西大にも敗れた結果となったのは、やはり神戸三田キャンパスという立地の問題が大きいと考えられます。
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キャンパスの立地で、大学選びに逆転現象が起こる
--学部選びにおいて「教育内容」が重要であることはもちろんですが、実際にはキャンパス立地の問題は無視できない要因のようですね。
関西学院は、大学改革によって志願者の大幅増を実現しており、関関同立の中でまさに「勝ち組」の地位を獲得したといえます。ところが、ダブル合格進学の状況で見ると、立命館に第2位の地位を引き渡し、関西大に対してもその差が縮まっているのが実情です。これには先述したとおり、キャンパスの立地も大きな要因のひとつだと考えられます。
関西学院のメインである西宮上ケ原キャンパスは、赤い瓦屋根とクリーム色の外壁で、その美しさは日本有数といわれています。1995年に開設された神戸三田キャンパスも同様の美しさに加え、最新設備と自然の融合を満喫することができます。ところが、関西主要都市から遠く交通の便があまりよくないという難点があります。専用のスクールバスを走らせていますが、それでも下表のとおり、神戸の中心地の三ノ宮から各々約40分、約60分かかります。進学した学生に実際に話を聞くと、その多くが教育内容やキャンパスそのものには満足しているが、アクセスが不便であることを訴えています。
一方で、まだ先の話ではありますが、関西学院は2029年に王子公園新キャンパスを開設します。新神戸駅から近く非常に良い立地ですので、これはきわめて明るい話題です。
神戸三田キャンパスと同様の状況は、立命館の1994年に開設されたびわこ・くさつキャンパスにもあてはまります。都心から離れた滋賀県草津市に立地しているというのみならず、最寄り駅である南草津駅からもバスで20分ほどかかります。そんな中、立命館は2015年に大阪いばらきキャンパスを開設し大人気を博しています。今年から映像学部と情報理工学部が移転し、現在6学部体制となっています。同キャンパスは大阪から20分、京都からも30分程度と、きわめて交通の便が良いのが特徴です。
同志社のメインキャンパスは今出川。京都市内の中心部で京都御所の至近という好立地に8学部を擁すキャンパスは、最近でもドラマの舞台になったほどクラシカルで美しく、多くの学生の憧れであり、大きなアドバンテージです。一方、理工学部など6学部を擁す京田辺のキャンパスは緑あふれる広大な敷地に赤レンガの美しい校舎が魅力ですが、アクセスの不便さは否めません。
関西大のメインキャンパスである千里山キャンパスは、大阪駅から20分強と抜群のアクセス。また、2025年4月にビジネスデータサイエンス学部が新設され、新たに「吹田みらいキャンパス」を吹田市にオープンし、期待が膨らみます。
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--ダブル合格した場合の進学先選びも、キャンパスの立地が影響しているのでしょうか。
そうですね。ダブル合格進学率について、キャンパス同士の対決を見てみましょう。
昨年、関西学院が立命館にダブル合格進学率で逆転されました。複合的な要因が考えられますが、やはりその中でも「キャンパスの立地」が与える影響は大きいと思われます。それを検証するために、両校をキャンパスの立地によって2つにグループ分けして、各々の進学率を見てみました。
まずは、表の2行目、関西学院の西宮上ケ原キャンパス VS 立命館の衣笠+びわこ・くさつキャンパスですが、関西学院が51.4%と立命館をわずかですが上回っています。次に、関西学院の神戸三田キャンパスと、立命館の大阪いばらきキャンパスを比較すると、80%が立命館という結果となりました。さらに神戸三田VS衣笠、びわこ・くさつはというと、立命館が61.9%で上回り、最後に、西宮上ケ原と、大阪いばらきを比較すると、こちらも立命館が92.0%と圧倒的な強さを見せました。
立命館の大阪いばらきキャンパスの人気は、このダブル合格進学率の結果を見ても明らかであり、立地の差が如実に現れたと考えられます。
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次に関西学院の2つのキャンパスと、関西大全体と比べてみました。大学全体としては、関西学院が61.7%と上回っていますが、神戸三田キャンパスは35.5%と関西大に軍配があがりました。一方、西宮上ケ原は76.6%と関西大を圧倒しています。
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本来、勉強は「どこで学ぶか」より「何を学ぶか」が大事であり、キャンパスの場所よりも学ぶ内容や将来のことを考えて大学選びをしてほしいところです。大学側としては、立地の不利を凌駕するような魅力をどうやって打ち出せるかが勝負となってくるでしょう。
学内併願のダブル合格も分析、人気の学部は?
--経済学部・経営学部・商学部は学問領域が近く、同じ大学内での併願が多いことは、全国どの大学でもほぼ共通しています。経済 VS 商・経営という構図になった場合、第2回の明青立法中では、圧倒的に商・経営系を選ぶ傾向が高いということがわかりましたが、関関同立ではどうでしょうか。
今回調査を行った結果、【表8】のとおり、見事に明青立法中と同じ傾向となりました。
関西学院では、経済学部も商学部も同じ西宮上ケ原キャンパスですので、立地による差異はありません。また、経済は関学の看板学部であることから、経済学部を選ぶのが一般的だと思いがちですが、実際は63.3%が商学部を選んでいます。
関西大も経済学部・商学部ともに大阪・千里山キャンパスですが、89.5%と、実に9割近くが商学部を選びました。ちなみに東進の大学偏差値(Cライン)ではいずれも65でまったく同じです。
同志社も同じ今出川のキャンパスですが、同様の結果となりました。
立命館は経済学部のびわこ・くさつキャンパスに対して、経営学部が大阪いばらきキャンパスであり、立地から経営学部を選んだ人も少なからずいたと思われます。
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--保護者世代の感覚だと、経済>経営>商という暗黙のヒエラルキーがあり、経済と商または経営の両方に合格したら迷わず経済に行った学生が多かったと思いますが、この傾向は時代の流れなのでしょうか。
昨今は、大学を卒業したら即戦力として採用されたい、手に職をつけて労働市場における自分の価値を高めたいといった、資格志向、実学志向が強まり、難解な理論を学ぶ経済学部よりも、企業経営やビジネス実務を学ぶ経営・商学部を選ぶ傾向が強まってきたものと考えられます。
そして、もうひとつ言えそうなのは、以下のとおり、経済学部に比べて商・経営学部のほうが女子の比率が圧倒的に高いこと。これらはあくまで結果ではあるものの、その結果が商・経営学部の人気をさらに高める要因にもなっているのではないかと考えています。
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関関同立、各大学の強みと今後の展望
--関関同立いずれも改革を進め、魅力を高めていますが、それぞれの強みはどういったところにありますか。
関西学院大学
ここ数年大きな改革が行われているのが関西学院です。理工学部の再編により、神戸三田キャンパスの志願者は、24年度は総合政策学部を含めた5学部で1万7,328人となり、20年度の理工学部と総合政策学部をあわせた8,744人からほぼ倍増しました。2014年から、所属学部に加えて他学部の授業を履修できるマルチプル・ディグリー制度を日本で初めて導入するなど、大学改革に積極的です。
また、学内には「国連・外交統括センター」が設けられています。学部副専攻「国連・外交プログラム」は、将来、国連・国際機関や外交官として世界の公共の場で活躍するリーダーを養成することを目的とした学部レベルの複数分野専攻制(MS)特別プログラムです。基礎的な国連・外交の知識習得、国連セミナーや国際ボランティアによる実践的な学びなどを通じ、地球規模の諸課題を解決するための力を養います。単なる留学ではなく、将来、グローバルリーダーとして活躍できる人材を育てるための専門的なプログラムとなっており、国連・国際機関などと長年関係を築いてきた関西学院ならでは取組みです。
関西学院には卒業後も強い結びつきがあり、ビジネスなどのネットワークで支援や交流が盛んとなっています。また、大学通信による「2024年有名企業400社実就職率ランキング」では、関西学院は全国32位(私大12位)となっています。ダブル合格進学率では立命館大学に逆転されてしまいましたが、本ランキングにおいては関関同立内で同志社大学に続き、2番手のポジションをキープしています。
関西大学
メインの千里山キャンパスは大阪駅からのアクセスがきわめて便利です。繰り返しますが理工系学部のダブル合格比較では、関西学院(神戸三田キャンパス)よりも選ばれていることからも、その立地の優位性は大きな強みでもあります。
現在13学部を擁し、多彩な学びが行える環境の下、近年力を入れているのが「AI・データサイエンス教育プログラム」です。デジタル社会に求められる基礎知識を学ぶ科目は、文理・学部を問わず、全学生を対象に展開しています。学生の学びの環境を整えるために、大学におけるDXの推進など、新たな試みも積極的です。
また、起業支援のプログラムも用意されていて、卒業生による講義や課題解決を試みるプロジェクト型授業などでさまざまな考え方に触れることができます。経済誌『Forbes』による「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2024」において、関西大出身の学生起業家が選出されるなど、起業に向けた環境も整っています。
余談になりますが、関西大はゆりやんレトリィバァ、3時のヒロイン・福田麻貴、南海キャンディーズ・山里亮太など、多くのお笑い芸人の出身大学でもあり、お笑い芸人出身ランキングでは2年連続1位となっています。大学全体がもつ自由闊達で明るい雰囲気がその要因のひとつと考えられ、その明るいイメージは受験生から人気です。
同志社大学
ダブル合格データからも明らかなように、関西圏の私大では圧倒的な存在です。難関国立との併願率も高く、優秀な学生が集まってきます。
グローバル教育に熱心に取り組んでおり、「英語で学ぶ国際教養を」をモットーに、人文科学から社会科学、さらに自然・人間科学まで全学共通教養教育(リベラルアーツ)科目において、講義はもちろん、討論も、レポートも試験もすべて英語で行う教育プログラムを2016年より提供しています。全学共通教養教育科目に含まれる「クリエイティブ・ジャパン科目」では、京都の伝統・文化について学ぶ「京都科目」や、日本の映画やファッション、音楽などをテーマにした「クールジャパン科目」など、日本の文化の魅力について学ぶ科目を展開しています。まさに京都という地ならではの学びができ、さらにグローバルに発信・活躍する力を身に付けられます。
また、同窓会組織である同志社校友会は、関西地域での同窓ネットワークに強みがあり、ビジネスやメディア、行政などの分野で活躍する卒業生が多いことも特徴です。
大学通信による「2024年有名企業400社実就職率ランキング」において、同志社は全国15位(私大7位)であり、関関同立ではトップです。
立命館大学
関関同立でもっとも志願者を集める立命館は、学部数が16学部と国内2位タイの多さで、多様な学びを選択できる環境です。加えて、繰り返しになりますが、大阪いばらきキャンパスの存在はきわめて大きな強みとなっています。
さらに、アメリカン大学と立命館とで「国際関係学」を学び、卒業時に両大学の共同学位を取得できるジョイント・ディグリー・プログラムをはじめ、海外の大学と立命館の両方で学べる学部・学科やプログラム、また、すべてのカリキュラムを英語で学ぶ専攻コースなど、新たなグローバル教育を積極的に展開しています。
また、立命館は伝統的に公認会計士試験にも強く、2023年は38名(全体の9位)でベスト10の常連です。近年では6年連続で同志社を上回ることもあるなど際立っています。ちなみに立命館には商学部がないため、公認会計士試験では、経営学部はもちろん、法学部・文学部、中にはスポーツ健康科学部や理工学部からも合格者を出しています。
イギリスの大学評価機関タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)が発表した「THE世界大学インパクトランキング」の2024年版によると、立命館は総合評価で世界「201~300位」にランクインし、国内の私立大学で1位タイの最高位の評価を受けています。「THE世界大学インパクトランキング」とは、SDGs達成への貢献を指標とし、THEが世界各国の大学の社会貢献を調査したものです。立命館は、人類共通の社会課題の解決に取組み、未来社会へ貢献する「次世代研究大学」を目指し、専門領域の異なる研究者らによる先進研究が盛んに行われています。
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--関関同立の今後の展望をお聞かせください。
関西学院大学
大きなトピックとして創立140周年を迎える2029年に、関西学院の創立の地である神戸市灘区の王子公園周辺に王子キャンパスの開設が計画されています。新神戸駅から近く非常に良い立地です。ダブル合格進学では立命館に逆転を許してしまっていますが、今後に控える新キャンパス設置や志願者の増加の状況をみても、これからの関西学院には注目していきたいところです。
志願者の増加について補足すると、2021年から一般選抜の入学者枠を広げたことにより、関西学院をチャレンジ校とする受験者層が増えたと考えられます。2025年の入試では大学入学共通テスト利用入試で「8科目型」を導入しています。これにより、国公立大学と併願する受験生の併願が増える可能性があります。継続的に行っている入試改革が、関西における関西学院のプレゼンスを高めていくのではないでしょうか。
関西大学
強みのところでも述べましたが、2021年より、全学部生対象に「AI・データサイエンス教育プログラム」を開講し、社会が求める高度かつ実践的なスキルを身に付けるカリキュラムが用意されています。そして、2025年4月には、難関私大では初めてとなる、データサイエンスを名前に冠したビジネスデータサイエンス学部が吹田みらいキャンパスに開設されます。国際学生寮、グラウンドなども配置予定で、企業・自治体との連携だけでなく、留学生との交流、体育会クラブの活動など、多様な人が集い学びあう活気に溢れる環境を創出の拠点となります。関西私大の受験動向にも影響を与えるとみられ、こちらも注目です。
同志社大学
来年2025年には創立150周年を迎えます。「同志社大学VISION2025」のもと、「学びのかたちの新展開」「キャンパスライフの質的向上」「創造と共同による研究力の向上」「『志』ある人物の受入れ」「『国際主義』のさらなる深化」「ブランド戦略の展開」に取り組んできました。
その中でも、「創造と共同による研究力の向上」「『国際主義』のさらなる深化」の中心となっているのがEUキャンパスです。1477年に設立され、長い伝統を誇るドイツのテュービンゲン大学と1990年から交流があり、現在現地でEUキャンパスを運営しています。海外の協定大学との教員交換やワークショップの実施を推進することで、海外でのプレゼンス向上を目指しています。
立命館大学
学部数が多いのが特徴のひとつですが、さらに2026年にはデザイン・アート学部の新設が予定されています。歴史・文化都市「京都」に位置する衣笠キャンパスにおいて、未来志向の新たなデザイン学の追求とアートの技術・感性を基盤に自然科学と人文・社会科学領域を横断した教育・研究の展開を構想しています。
また、2030年代に向けた「R2030」(学園ビジョン)を公開しています。「挑戦をもっと自由に」をテーマに、「新たな価値創造の実現」「グローバル社会への主体的貢献」「テクノロジーを生かした教育・研究の進化」「未来社会を描くキャンパス創造」「シームレスな学園展開」「多様性を生かす学園創造」を掲げています。また、世界大学ランキングなどで高い評価を得ることを目指すと宣言していることから、これらのビジョンの実現にむけて、時代にあわせた改革を積極的に行っていくでしょう。
--最後に、「関関同立」を目指す受験生にアドバイスをお願いします。
ダブル合格進学率データはあくまで参考値として、「大学で何を学びたいのか」という本質的な視点に立ったうえで受験校選びをしてほしいと思います。関関同立は国公立との併願も多く、ハイレベルな受験となります。しっかりと対策を行い、合格できるだけの力を身に付けましょう。
また、高2生、高1生ならば、実際に大学に足を運び、キャンパスの雰囲気や設備・環境などについても自分の目で確かめることをお勧めします。
--貴重なお話をありがとうございました。
第1回の早慶編、第2回の明青立法中に続き、今回のデータも保護者が大学生だったころからは大きく変化し、アップデートが必要なところが多かったのではないだろうか。市村氏の話にあったように、いずれの大学も現状に甘んじることなく、真摯に弛まぬ改革を続けている。次々と新しく生まれ変わるキャンパスも、4年間の実りある学びと成長が期待できる素晴らしい環境ばかりだ。この記事を参考に、自身にフィットした最高の進学先を見つけてほしい。
日本一の現役合格実績を誇る東進ハイスクールその理由とは・・・?!