Z会、添削の質さらに向上…「書くこと」こそ学びの極み

 通信教育業界で長年の実績と信頼を誇るZ会は、顧客満足度「イード・アワード2024通信教育」において、昨年に引き続き全学齢において最優秀賞を受賞。教材の特徴やこだわり、今後の展望などを同社中学生事業部・事業部長の祝部憲孝氏と幼児・小学生事業部・事業部長の鈴木貴子氏に話を聞いた。

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Z会、顧客満足度調査「イード・アワード2024通信教育」において、幼児・小学生・中学生・高校生/大学受験生の全学齢で最優秀賞を受賞。
Z会、顧客満足度調査「イード・アワード2024通信教育」において、幼児・小学生・中学生・高校生/大学受験生の全学齢で最優秀賞を受賞。 全 12 枚 拡大写真

 通信教育業界で長年の実績と信頼を誇るZ会は、お子さまをおもちの保護者を対象とした顧客満足度調査「イード・アワード2024通信教育」において、幼児・小学生・中学生・高校生/大学受験生の全学齢で最優秀賞を受賞した。

 幼児から大学生・社会人までの学習をサポートするZ会の通信教育。「イード・アワード2024通信教育」では、全学齢での最優秀賞の他、「教材が良い」「ブランド信頼度が高い」など、数々の部門賞もあわせて受賞している。今回取材に応じてくれたのは、通信教育事業本部 中学生事業部・事業部長の祝部憲孝氏と通信教育事業本部 幼児・小学生事業部・事業部長の鈴木貴子氏。「不易流行」を掲げ、新しい考え方や技術を積極的に取り入れながら、指導の軸を大切に守り続けるZ会の教材制作のこだわりや特徴、今後の展望などを聞いた。

1問解くだけでたくさんの収穫、「教科書プラスα」の学び

--顧客満足度調査「イードアワード2024通信教育」で全学齢で最優秀賞および数々の部門賞を獲得されました。ご受賞は2年連続となります。ご感想を教えてください。

鈴木氏:弊社としては、すべての学齢で最優秀賞を獲得できたことを非常に嬉しく思っています。昨年に引き続いての連続受賞となったこと、弊社としてこだわりをもつ「添削の質」や「教材の良さ」でも、すべての学齢でご満足いただき、評価されたことに感謝しております。

受賞の喜びを語るZ会 通信教育事業本部 幼児・小学生事業部・事業部長の鈴木貴子氏

--「教材が良い通信教育」として評価されるZ会。教材づくりのこだわりを教えてください。

鈴木氏:教材づくりでは「教科書プラスα」の学びを提供することに重点を置き、細部まで「質」にこだわって制作しています。教科書レベルの内容に加え、少し考えて取り組む問題を取り入れることで、学習指導要領でも重視されている「考える力」を育成することを目指しています。

 「考える力」というのは小学校高学年や中学生以上で重視される印象ですが、小学校低学年のうちから自分の言葉で考えて、自分の言葉で表現するというプロセスを経験することがとても大事です。

祝部氏:単に知識を問うだけであれば、教科書の内容や単純なドリル問題でも対応できますが、学習にはアウトプットが不可欠です。自分の学習や思考の過程はアウトプットしてこそ第三者に伝えることができます。そのためZ会では、紙の教材だけでなくデジタル教材であっても、アウトプットすること=書くことを多く取り入れ、試行錯誤を促し、表現するというプロセスを大切にしています。

 もう1つのこだわりは、ゴールを見据えた教材づくりです。弊社は大学受験教材からスタートしたこともあり、今でも入試分析を緻密に行ったうえで、合格できる力を身に付けることのできる教材づくりをしています。その成果は毎年の合格実績にも表れており、手ごたえを感じています。

デジタルデバイスを最大限活用

--ここ数年で紙教材の通常コースよりも、タブレットコースでの受賞が目立つようになりました。学校現場でも「NEXT GIGA」としてデジタルデバイスのさらなる活用を模索する動きが高まっていますね。学校および子供たちのデジタルデバイス活用状況をどのように見ていますか。

鈴木氏:公立の小・中学校では、自治体から1人1台端末が提供されていますが、活用状況は学校によって差があるのが実情だと思います。GIGAスクール構想やコロナ禍を経て、幼いうちからデジタル機器を触らせること自体への漠然とした抵抗感は薄れたように感じますが、活用が進むにつれ、インターネットのセキュリティなど、具体的なことに危機感を抱く保護者の方が増えてきたように思います。

祝部氏:高校では2022年から新学習指導要領になり、新しい教科として「情報」が再編され、「情報I」が必修科目となったこともあり、授業での活用はもちろん、高校生自身の学習でのデジタルデバイスの活用は進んでいます。これにより、プリント作成や印刷などの授業準備の負担が減ったと聞いております。かつて授業準備に費やしていた時間を、生徒へ個別最適な学びを提供するために使うことができるので、全体的な学力の底上げにもつながり、先生方の働き方改革も実現できているようです。

インタビューに応じてくれたZ会 通信教育事業本部 中学生事業部・事業部長の祝部憲孝氏

--Z会タブレットコースでは、どのようなセキュリティ対策を行っているのでしょうか。

祝部氏:セキュリティレベルは学年によって変える必要がありますし、ご家庭によっても方針が異なります。そのため、Z会では汎用性のあるAndroid端末を受講者に対して提供しており、各家庭でセキュリティソフトをインストールし、設定していただくようにしています。小学校向けにはインターネットとの付き合い方に関する冊子も同封し、ご家族でネットリテラシーを学んだうえで学習に使うよう、促しています。

自分の考えをアウトプットして、社会とつながる学び

--デジタルデバイスの活用と並んで、教育業界で注目のキーワードになっているのが、大学受験における「総合型選抜」です。来たる大学受験に向けて幼・小・中ではどのような学びを取り入れるべきでしょうか。

祝部氏:まず、現在の学習指導要領について整理しましょう。2020年度から2022年度にかけて小・中・高の学習指導要領が改訂され、学びに向かう力、人間性の育成、知識技能を習得する力が求められるようになり、3つの柱としての「思考力」「判断力」「表現力」が大きく重視されるようになりました。

 改訂にともなって、小・中学校では「総合的な学習の時間」、高校では「総合的な探究の時間」が導入され、「社会とのつながり」を考慮したカリキュラムが組まれるようになりました。小・中学校では社会課題が与えられて、その解決策を考える学習、高校になると与えられた課題ではなく、自ら課題を発見して、解決策を考える学習になります。この学びの中でカギになるのは、社会や自然科学など、さまざまな分野に興味関心をもつこと。同じ課題であっても、さまざまな分野からのアプローチによって、複数の解決策を見出すことができるのです。

鈴木氏:Z会では低学年のうちから興味関心を広げることができるように、実体験を通して学ぶ教材を多く取り揃えています。たとえば季節の植物や生物に関する学習分野では、写真だけでは伝わらない植物の生育環境や実際の大きさなどがわかるように、実際に外へ出てフィールドワークを通して学ぶように促しています。中学受験でも頻出の分野なので、図鑑や問題集の写真で見ることはあっても、実際に身体で感じることで知識の裏付けができ、学びも深まります。

実体験をともなうことで学びを深める幼児コースの教材

 また、中学年以上では、知識を活用することで思考力を養えるような問題も出題します。たとえば、算数では立方体の展開図を学習しますが、サイコロの目は展開図にしたときにどう見えるのか、など、身近な題材で覚えた知識を活用して「考える力」を養います。作文型の問題もふんだんに用意し、自分の言葉でアウトプットする力を伸ばします。このように小学生の段階では、子供たちの「引き出しを増やす」ということをポリシーに教材を制作しています。低学年までであれば具体的な実体験を、上の学年になるにつれ、知的な刺激を与えるとともに、しっかりと考えさせる抽象的な問題の比重を少しずつ増やしています。

興味関心を広げながら教科書+αの学びを提供する小学生コースの教材

祝部氏:学習指導要領で示されている小学生、中学生、そして高校生の学びは、身近で具体的なものから抽象的なものへと、自分を中心にして同心円状に広がっていくイメージです。弊社の教材では、このような学びの広がりと社会とのつながりを重視しています。たとえば、次の問いはいずれも「世界の産業」をテーマにしたものですが、質問の仕方やアプローチ、答えの選択肢を調整することで難易度が変わり、さまざまな学年の教材になり得ます。

1)インドの主力産業は何でしょう?
2)アメリカの企業がコールセンターを24時間受付可能とするために、インドに拠点を置くことにしました。なぜでしょう?
3)インドでICT産業が発達したのはなぜでしょうか?

鈴木氏:この問題は1)は知っていれば答えられる知識問題、2)は時差に関する知識が求められる問題、3)は時差だけでなくインドの歴史を理解しているかが問われる問題ですが、学齢によってもちうる背景知識が異なります。出題の方法を工夫し、その学齢のお子さまがもつ知識をベースに思考しながら、自分の言葉でアウトプットする機会をつくります。一問一答的に解答できる問題、理由を考えさせる問題、今もっている知識を使って解決策を導く問題など、同じテーマであってもレベルを調整しながら、知識の習得だけにとどまらない教材づくりを目指しています。

--大学受験に直結する高校生コースではどのような動きがありますか。

祝部氏:高校生コースでは、2025年度から、先にも話題になった総合型選抜や学校推薦型選抜の対策ができる教材を提供します。「書くこと」を重視し、思考力を伸ばす教育を展開しながら、質の高い添削で実績を積んできたZ会だからこそ、志望理由書や自己推薦書を作成する際のサポートをできると考えたからです。適切なタイミングでの情報提供に加えて、志望理由書・小論文の対策が実戦的にできる教材となっています。

紙×デジタル「書くこと」へのこだわり

--2026年に創業95年を迎えるZ会。今後どのような価値を提供していかれるのでしょうか。

祝部氏:どんな時代になっても自分で考える力を重視することは変わりません。自分で考えたことをアウトプットするためのもっとも有効な方法である「書くこと」へのこだわりも、継続してまいります。受験をゴールにしつつも、その先につながる学びを提供し、そのときどきに適した題材、難易度で刺激を与えられる仕掛けづくりと、デジタルならではの良さを掛け合わせた教材づくりを進めていきます。

全学齢を通して「書くこと」へのこだわりを貫いた教材づくりを展開

鈴木氏:教材づくりにおいては、難しいことをいかに咀嚼して、子供たちの発達段階に合わせた教材を提供をしていくべきかを見極めつつ、そこで気づきが生まれるのか、興味関心をもってもらえるものかなど、教材作成チームで議論を重ねています。

 また、今回高い評価をいただいた「添削の質」についても、さらに向上を図る予定です。子供にはそれぞれ得意とするものがあり、たとえば幼児期でも絵が得意な子や文字が得意な子など、さまざまなタイプの子がいます。それぞれのお子さまの「得意」を評価することで学習意欲が高められるよう、幼児コースでは添削問題のバリエーションを一層充実させています。

 加えて、小学校中学年以上ですでに進めている新しい答案添削のシステムを、2025年4月からは幼児・小学校低学年にも拡大します。紙の教材で受講されているご家庭であっても、専用のアプリで答案を撮影し、アプリから送信することで、答案の郵送提出の負担を軽減するとともに、添削から返却までの期間を短縮するサービスです。

 さらに同じく小学生タブレットコース(3~6年生)においては、担任指導者制での添削を導入します。同じ指導者が毎月の答案をチェックすることで、お子さまの学力の伸びや成長を、より正確に評価することができるような仕組みです。

--デジタルを活用しながら、受講者に寄り添うサービスをさらに展開していくのですね。

祝部氏:引き続きデジタルの良さを最大限活用していきたいですね。とりわけ2024年4月に中学生コースの理科・社会で先行リリースした新機能「学び検索チエノワ」は会員の皆さまから非常に好評です。2025年夏には英語・数学・国語にも実装する予定です。

 「学び検索チエノワ」は、タブレットコースの端末で利用できるサービスです。調べたい用語を入力して検索すると、検索した用語の解説のほか、それに関連する用語がマインドマップのように表示され、視覚的に知識、体系を整理できます。1つの教科にとどまらず、その用語に関して学べる教材を全教科から検索し、まとめてリストアップされる仕組みもあります。自分の興味関心を中心として、教科横断で学びを広げられるツールです。

「学び検索チエノワ」の使用画面。関心のあるワードを検索すると関連する用語などが表示される

--これからの展開も楽しみです。本日はありがとうございました。


時代によって変わるもの、変わらぬもの

 デジタルでの学びが浸透した今、その良さを最大限生かしながら、さらに充実した学びのツールを提供するZ会。これまで積み上げてきた実績を後ろ盾に、そして新たなツールを味方に、これからも「不易流行」をキーワードにますます成長していくことだろう。今後も期待したい。

Z会の通信教育

《川端珠紀》

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