60周年を迎える市進が語る、受験における「めんどうみ」の真髄とは

 保護者満足度調査「イード・アワード2024 塾」において、市進学院が小学生の部で全国「優秀賞」、関東エリアにおいては「最優秀賞」を受賞した。2025年に60周年を迎える市進。代表取締役社長を務める三木健二氏に、同社が掲げる「めんどうみ合格主義」の真髄や、今後の展望について聞いた。

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60周年を迎える市進が語る、受験における「めんどうみ」の真髄とは
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 保護者満足度調査「イード・アワード2024 塾」において、市進学院が小学生の部で全国「優秀賞」、関東エリアにおいては「最優秀賞」を受賞した。2025年に60周年を迎える市進学院の、これまで積み上げてきた実績の賜物と言えよう。

 長きに渡って教壇に立ち続け、現在では市進 代表取締役社長を務める三木健二氏に、市進学院が掲げる「めんどうみ合格主義」の真髄や、今後の展望について伺った。

60周年を迎える市進学院がもっとも大切にするもの

--「イード・アワード2024塾」での、全国 優秀賞および関東エリア 最優秀賞のご受賞、おめでとうございます。まずは率直な感想をお聞かせください。

 ありがとうございます。「イード・アワード」は、もともとメディア掲載実績のある企業に限らず、イードのリサーチ部門が至公至平に調査を行い、幅広い塾の中から保護者の皆さまに評価していただくものだと伺っています。そのようなフラットな条件下で評価いただけたことを、本当にありがたく、嬉しく思っています。

取材に応じてくれた市進 代表取締役社長の三木健二氏

--市進学院は、2025年で創業60周年を迎えるとのことですが、創業からこれまで変わらず大切にされていることをお聞かせください。

 60周年というと、人間でいえば還暦にあたり、結婚生活にたとえるのであれば「ダイヤモンド婚」とも呼ばれる、本当に大きな節目です。

 実はちょうど先ほど、教室長会議(各教室の責任者が集まる週次会議)があったばかりなのですが、彼らに対しても「60年というのは大きな節目であり、あなたたちはこの受け継がれてきた理念をさらに次の世代に伝えていく立場だ」という話をしたところです。

 我々がもっとも大切にしている理念の土台は「子供たちが進学先、あるいはその先の社会で活躍できる力を身に付けてもらいたい」ということです。弊社の職員はベテランも若手講師も皆「受験はゴールではなくスタート」という共通認識のもと、子供たちに向き合っています。創業当初から大切にしている理念が、現場レベルにまで浸透している証です。

子供たちの本質的な力を高める、市進の共演授業

--60年間という長きにわたって創業時からの理念が継承され続けているというのは、素晴らしいことですね。その理念が具現化されたものとも言える貴塾のカリキュラムについて詳しく教えてください。

 市進学院では「共演授業」を大切にしています。これは一方的な講義形式の授業や、単に指名して答えを言わせるだけの授業とも大きく異なります。授業中に指名することで生徒の集中力を高めるためでも、緊張感をもたせるためのものでもありません。

 私たちの「共演授業」は、講師の発問によって、子供たちが自ら「なぜだろう」「どうすればこの問題を解けるんだろう」と常に問い、頭を働かせ続ける授業を指しています。子供たちに考えさせる「共演授業」こそが、他の塾にはない、市進学院ならではの大きな特長であると誇りをもって言えますね。

--単なる発問と答えの往復ではなく、その中で子供たちが自ら考えるプロセスこそが大切なのですね。

 共演授業では「既知から未知へ」「具体から抽象へ」という考え方を徹底しています。

 たとえば台形の面積を学ぶとします。いちばん手っ取り早いのは、最初から公式を教えてしまうことです。多くの学校や塾では、講師が主導して「2つの台形があるとして、そのうちの1つを引っくり返して…」と、仕組みをそのまま見せて教えているかもしれません。

 でも私たちは「既知から未知」、つまり、子供たちが「どうしたら求められるんだろう」と、今まで習ったことや、すでに知っている知識を使って考える過程を大事にします。

 もちろん最終的には講師がまとめたり、効率良く解を導ける公式を示したりします。でもそればかりでは子供たちの「考える力」は育ちません。実際に頭をひねった経験があってこそ、初見の問題にも挑戦しよう、解法を考えてみようという姿勢が身に付くと思うのです。この力を育むために、市進学院が生み出し、実践しているのが「共演授業」なのです。

「めんどうみ合格主義」の真髄とは

--市進学院といえば「めんどうみ合格主義」というキャッチフレーズが印象的です。この言葉に込められた意味は、どのようなものなのでしょうか。

 学習塾として、生徒を志望校に合格させることはもちろん重要なミッションです。しかし、先ほどもお伝えした通り、人生において「受験はゴールではなくスタート」。付け焼き刃的に無理やり点数を取らせることは、本質ではないと考えています。

 私たちは、子供たちにはとにかく「自分で考える力」を身に付けてほしいと考えています。「めんどうみ」と聞くと、とにかく優しく手取り足取りサポートをするイメージを抱かれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、我々の目指す「めんどうみ」は、それとは異なり、「自分で考える力」を身に付けるために必要なフォローです。

--具体的にはどのようなことでしょうか。

 たとえば、子供が「この問題がわかりません」と相談してきたとしましょう。先生がすぐに隣に座って「この問題はこう解くんだよ」と教えれば、本人もそのときは「わかった!」と満足しますよね。しかし、それでは自力で解決するプロセスが省かれてしまいます。

 解説を読んだか、該当回の映像授業を見直したか、授業でやった問題を復習したか、類題の演習はしたか。本人が解決のためにどこまで行動できたかを確認したうえで、必要なヒントを与え、しっかりと自分の頭で考えさせる。このようなフォローのあり方こそが「めんどうみ合格主義」の本質だと私は考えています。

塾での長時間指導と「めんどうみ」との乖離

--本来「面倒見の良さ」というのは、指導の時間の長さや課題の量では測れないものですね。

 おっしゃる通りです。「授業の時間が長ければ安心」「たくさんの課題をこなしていれば安心」という声も確かにありますが、子供の性格や学習の進度によっては無駄が生まれる可能性も大きいのです。

 一方、弊社では「漢字をとにかく10回書く」のような「量」をベースにした指導は行っていません。漢字の書き取りの本来の目的は漢字を覚えることですから、1回書いて覚えられる子もいれば、覚えるまでに20回必要な子もいます。そのような生徒ひとりひとりの状況に応じて、担当の判断で授業の内容や宿題(ホームタスク)の分量をその都度調整します。

 私たちは60年間の指導によって「塾でやるべきこと」と「家庭でやるべきこと」を見極めてきました。それらが明確になっているからこそ、塾に長時間拘束することもありませんし、不必要な課題を無理やりやらせることもありません。他塾に比べ、塾での拘束時間が短いため、お通いのご家庭からも「中学受験生でも、自宅でちゃんと夕飯が食べられる」「家族との時間が十分にもてるので、精神的な安定にもつながっているように思う」という声をいただきます。当塾の子供たちは、学校行事や課外活動、レジャーや旅行などの家族行事と両立しながら、しっかり勉強して合格していく子供たちが多いのです。

長年教壇に立っていた三木氏。取材中、メモを見せてくれたり、図で示してくれたりと、当時の姿が想起される場面も

--効率良く勉強できるカリキュラムが整っているということですね。

 その通りです。おもに塾で取り組むべきことは、新しいことを習うみんなで考えるの2つです。反復練習は自宅で宿題として行い、学習にメリハリをつけています。ただ、自宅では宿題が進まない、取り組むうちにわからなくなってしまったというケースも当然ありますから、授業前後には「フォロータイム」として担任による質問対応の時間も確保しています。

 市進学院ではこうした塾と家庭での「両輪指導」を大切にしています。この両者のバランスを取ることで、子供たちがしっかり知識を定着させながら、自ら考え、学習を進めるプロセスを形成していけると考えています。

学びの中で成功体験を…自己肯定感を高めるプログラム

--「子供たちの本質的な力を育てたい」という思いは、低学年向けプログラムにも表れているように思います。2021年に開講した「パンセフロンティエル」についても、お話を伺えますでしょうか。

 低学年向けプログラムの「パンセフロンティエル」は、いわゆる「中学受験の先取りコース」ではなく、より広い意味での学びの場と位置づけています。私たちは、小学1年生から3年生の間に成功体験を積むことが非常に重要だと考えています。問題を解いて「正解、すごいね」という表面的なものではなく、考えるプロセスそのものを褒めてあげるイメージです。それが子供たちの自信につながると思うのです。

 私自身が教室長をしていたとき、非常に大人しくて、引っ込み思案な、当時小学校低学年の女の子がいました。学校の授業で挙手することなんてもってのほか。入塾の際、お母さまはとても心配されていました。

 まず夏休みの夏期講習に参加してもらったところ、日を重ねるに連れ、授業での挙手や発言も増えてきたのです。秋以降の学習方針についてお母さまと相談するタイミングで、お母さまにも授業のようすを見ていただいたら「うちの子が、手を挙げている…!」と、大変感激していらっしゃいました。

 これは私たちが「まずは考えることが大事」「間違えることは悪くない」と授業の中で繰り返し伝えてきた成果だと思っています。このように、1つの成功体験がきっかけで、物事に対して前向きになれる子供は多いのです。

--その成功体験のチャンスの場となるのが「パンセフロンティエル」というわけですね。

 サッカーやスイミングなど、すでに打ち込めるものをもっている子もいますが、小学校低学年ではまだそういうものが見つかっていないという子も多いでしょう。そういう子供たちに、学びの中で自信をつける経験をしてほしい、そういう場をどんどん作ってあげたい、それが「パンセフロンティエル」の最大の目的です。

学びの中で自己肯定感を養う場「パンセフロンティエル」授業のようす

“普通の生活”と両立できる受験スタイルをスタンダードに

--では最後に、これから塾に入ろうと検討中の保護者に向けて、メッセージをお願いいたします。

 昔と違って今は選択肢が非常に多く、お子さまに合った塾を探すことにご苦労されていることと思います。「なるべく早く先取りできるカリキュラムが良いのか」「長時間みっちりやらせる塾が良いのか」と思われる方もいるでしょう。しかし、私たちは「低学年からの先取り学習は本質的ではない」と考えています。

 もちろん中学受験の場合、小6の2月という期限は決まっているわけですし、そこでの合格を見据えて行動することは重要です。だからといって、小4から小6までの3年間をがむしゃらに勉強漬けにしてしまっては、本来この時期に身に付けるべき力を伸ばすチャンスを失ってしまうと思うのです。

 小学生としての「普通の生活」を大切にしながらでも、受験対策は十分に間に合います。これは私たちの長年の指導実績からも、自信をもってお伝えできることです。「受験はゴールではなくスタートである」という理念のもと、我々は引き続き、子供たちが自分で考え、力を伸ばせる指導を行っていきます。市進学院の考え方に少しでも共感してくださる方がいらっしゃれば、まずはぜひ市進の共演授業を見にいらしてください。


 市進では国私立中学受験コースとともに、難関高校受験を目指す小学生や公立中高一貫校を目指す小学生を対象としたコース、中学生・高校生向けのコースも充実している。進学先が多様化している昨今、さまざまなニーズに対応するサービスが揃っている。

 取材では言及されなかったが、一昔前から「英語の市進」と呼ばれるほど英語教育のレベルが高いのも、市進の大きな特長だ。英検プラチナパートナー塾に認定されているだけでなく、江東区青海にある体験型英語学習施設「TOKYO GROBAL GATEWAY」(TGG)の運営にも携わっている。

 「めんどうみ合格主義」のキャッチコピーを掲げ、「共演授業」を通して考える力を培う市進学院の教育システム。AIの発展により世の中が大きく変化しつつある現代だからこそ、人だけがもつ本質的な力の育成を重んじる姿勢に、今後も注目したい。

変わる入試、変わらぬ思い
60周年を迎える「市進」について詳しくみる

《田中歌耶子》

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