挑戦が育む未来—立命館が大阪・関西万博で実現する成長の舞台

 学校法人「立命館」は大阪・関西万博において、学生・生徒・教職員約5万5千人が一体となり、大阪・関西万博において、シグネチャーパビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」へ協賛している。多彩なワークショップやイベントを展開。万博という国際的な舞台で、学生・生徒たちが主体的に学び、成長する機会を創出し、次世代を担う若者の育成と未来への希望を育む。

教育イベント 小学生
PR
立命館大学総務部 OIC地域連携課課長 一ノ瀬 和憲 氏
立命館大学総務部 OIC地域連携課課長 一ノ瀬 和憲 氏 全 5 枚 拡大写真

 学校法人「立命館」は大阪・関西万博において、学生・生徒・教職員約5万5千人が一体となり、大阪・関西万博において、シグネチャーパビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」へ協賛している。多彩なワークショップやイベントを展開。万博という国際的な舞台で、学生・生徒たちが主体的に学び、成長する機会を創出し、次世代を担う若者の育成と未来への希望を育む。

立命館大学総務部 OIC地域連携課課長 一ノ瀬 和憲 氏

インタビュイー: 立命館大学総務部 OIC地域連携課課長 一ノ瀬 和憲 氏

学生たちによる万博でのさまざまな挑戦

--立命館大学では約2年前から万博のための学生団体が立ちあがり、活動されてきましたね。

 はい。大学生の活動としては、2023年に万博学生委員会「おおきに」を発足。これには大阪だけではなく、滋賀や京都のキャンパスのすべての学部から応募があり、環境問題(大気汚染、海の課題)や多様性・異文化理解、ジェンダー、日本文化など、さまざまなテーマを自ら設定し、班ごとに活動しながらワークショップの出展を目指してきました。現在は約250名の学生が参加し、活動を進めています。

 たとえば、食品ロスをテーマにした班では、カードゲームなどを通じて、参加者同士が楽しみながら話し合い、理解を深めてもらう。環境問題をテーマにした班では、世界の大気汚染や海洋ゴミの問題など、課題を自分ゴトとして捉え、少しでも意識をもってもらえるよう、学生たちは日々知恵を出し合って頑張っています。

--今回の万博では「TEAM EXPO2025」というプログラムにも共創パートナーとして参加されていますが、これはどのような取組みですか。

 「TEAM EXPO2025」プログラムは、大阪・関西万博のSDGs共創プロジェクトです。本学は共創パートナーに登録し、共創チャレンジとして「カーボンマイナスプロジェクト」をはじめ、いくつもの取組みを推進しています。カーボンマイナスとは大気中に存在する二酸化炭素を減少させていくことで、立命館大学ではこの実現に向けて、学部を横断してさまざまな研究・支援を行ってきました。このプロジェクトは、2025年日本国際博覧会協会からベストプラクティスに選出され、TEAMEXPOパビリオンで研究成果の常設展示、7月13日・19日には約5,000人を収容できる多目的イベントスペース「サステナドーム」での出展も企画されています。万博では学生が中心となり、こうした取組みも加速させていきたいと考えています。

なぜ“オール立命館”で万博へ参加するのか

--貴学が大阪・関西万博のテーマ館のひとつ「いのちの遊び場 クラゲ館」に協賛する背景と目的についてお聞かせください。

 立命館学園(以下、本学)では、2030年までの10年間の中期計画として、「学園ビジョンR2030」を2020年に策定しました。これは、2030年に向けた将来像とその実現に向けた基本方針を示すもので、希望に満ちた未来につながる社会をつくるため、異なる価値観を認め合いながら、ひとりひとりが自由な挑戦を続けていくことを目指しています。

「学園ビジョンR2030」を活かし、教育を通じて世界とつながる

 私たちがこのビジョンで目指す学園像および人間像*と、大阪・関西万博の「SDGsの達成に貢献するために、企業、教育・学術・研究機関、国・政府関係機関、国際機関、自治体、NGO、NPO、個人など、さまざまな参加者が主体となって、理想としたい未来社会を共に創りあげていく」という事業指針は大きく重なっており、2025年はちょうどその中間地点に当たります。

 ですから、本学が大阪・関西万博へ参画することでこの変革を加速させ、次の5年間の飛躍に繋げたいと考えました。さらに、2025年は本学創立125周年、大阪いばらきキャンパスを開設して10年となる節目の年でもあります。それに合わせて催されるさまざまな記念行事を万博と連動させることで、さらに学園全体を盛りあげたいという強い思いもありました。

 そこで本学内では、2022年に万博連携推進本部会議を設置し、立命館大学、立命館アジア太平洋大学(以下APU)、附属校(立命館小中高、立命館宇治中高、立命館守山中高、立命館慶祥中高)を含めた、児童・生徒・学生、教職員の総勢約55 ,000人に及ぶ”オール立命館”の体制を構築しました。

 テーマ事業プロデューサーの1人である中島さち子氏の「いのちの遊び場クラゲ館」への協賛を決めたのは、万博会場の中心に位置する8つのシグネチャーパビリオンの中で、唯一「学び(教育)」をテーマとしており、「教育・研究活動の実践フィールドの場」「児童・生徒・学生の学びと成長の場」「社会貢献の場」として、活動を進めていきたいと考えたからです。

--「いのちの遊び場クラゲ館」では、貴学の児童・生徒・学生さんたちは具体的にどのような形で参加されるのでしょうか。

いのちの遊び場クラゲ館 (c) KURAGE Project & steAm, Inc.

 夏休み中の8月7日には、クラゲ館主催で行われる「テーマウィークスタジオ」で、本学の大学生と高校生を含む約30ヵ国・地域の学生や生徒が集まってチームをつくり、それぞれのテーマに沿ったプレゼンテーションを実施します。

 関西にある附属校は行政からの無料招待授業で訪れる予定ですが、北海道にある立命館慶祥からも、万博というせっかくの機会ですので、中学2年生が行う京都研修を1泊延長して見学に行きます。また、北海道の食文化などを紹介するワークショップの開催も企画しています。立命館宇治では、2030年にSDGsが達成できなかった場合にどのような世の中になるのかを想定し、そうならないように自分たちができることは何なのかをテーマとして展示したり、ワークショップを開催したりする準備しているところです。

児童・生徒・学生が主体的に取り組む舞台

--クラゲ館以外のパビリオンへの出展もあるのでしょうか。

 はい。6月21日・22日には、「電力館 可能性のタマゴたち」で、先ほどご紹介した万博学生委員会「おおきに」の学生と附属校の高校生によるワークショップを開催します。

 「ウーマンズパビリオン」では、6月1日にAPU(立命館アジア太平洋大学)の教員と学生による「女性とインクルーシブ」をテーマしたパネルディスカッション、8月6日には「世界に通用する12歳」と題し、立命館慶祥小の田中賢介理事長と立命館小の堀江未来前校長(現立命館大学グローバル教養学部教授)が登壇するトークセッションを開催します。

 田中賢介氏は元北海道日本ハムファイターズの選手で、メジャーリーグを含め日米プロ野球で通算19年間プレーし、ゴールデングラブ賞5回、ベストナイン6回を受賞したスタープレイヤーです。そんな輝かしい業績をもつ田中氏が、なぜ引退後に教育の道を選んだのか、立命館の教育のどこに価値を感じ、どのように一緒に学校づくりを行なってきたのかといった話も存分に語っていただく予定です。

 また、8月8日・9日の2日間は、約3,000人を収容する大阪・関西万博の催事会場 EXPOメッセ「WASSE」にて開催される、シグネチャーイベント「世界遊び・学びサミット」にて、APUの学生による世界各国の文化を紹介するためのファッションショーなども行われます。

 その他にも、立命館大学が研究に力を入れている「宇宙」をテーマにしたワークショップや展示もあります。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発し、昨年月面着陸に成功した無人月面探査機の観測用カメラは、立命館大学の研究者がリーダーとなって開発したものです。
 さらに、10月5日には本学創立125周年を祝して、「大阪ヘルスケアパビリオン」で大学生と高校生による吹奏楽部、チアリーダー部、交響楽団などのステージパフォーマンスも予定しています。

ルクセンブルク小学校合唱

--それは盛りだくさんですね。今回の万博では、貴学の児童・生徒・学生さんたちが主体的に取り組まれていますが、教員である先生方は、具体的にどのような形でサポートされているのでしょうか。

 大学生が実施するワークショップなどは、テーマの設定からワークショップの実施に向けた準備、当日の運営などは学生が主体となって準備を進めていますが、教員はワークショップの精度を高めるため、定期的にメンタリングなどのサポートを行っています。

 一方で、高校生以下の児童・生徒の活動では、教員がこれまでの学校での教育活動を取り入れたワークショップの内容を検討するなど、児童・生徒と教員が一体となって準備を進めています。ただしワークショップなどの本場当日は、児童・生徒が主体となって運営します。

世界を巻き込み、未来の創り手に

--世界各地から158か国・地域、7国際機関も参加予定の世界的規模の大きなイベントですが、あくまでも児童・生徒・学生が主体となってさまざまな取組みをまとめあげていく。これは皆さんにとって大きな成長のステップであり、今後の自信につながりますね。

 万博は世界中から人が集まるイベントなので、言語や文化の壁も乗り越えなくてはいけません。こうして、児童・生徒・学生が、パビリオンへの出展などを通して学校や大学での学びや活動の枠を超え、挑戦や失敗を繰り返しながら、自分の好きや得意、あるいは苦手や不足に気付いたり、周囲から認められることで自信を感じたりと、ひとりひとりの成長につながるのではないかと期待しています。また、企業や自治体、世界各国から集まったたくさんの方々と交流する中で、視点の変化やコミュニケーションスキルの向上など、普段の学校生活だけでは得難い力も身に付いていくのではないでしょうか。

--この万博での経験を今後の貴学での教育にどう活かしていきたいとお考えですか。

世界とつながり、希望ある未来を感じてほしい

 今お話ししてきたように、万博で得た経験をもとに、児童・生徒・学生の「学びと成長の場」として、本学における研究・教育・学生活動の取組みを高め、中期計画「学園ビジョンR2030」を一層推進できるよう活かしていきたいですね。

--今回の万博を通じて、未来を生きる子供たち・若者たちにどんなメッセージを伝えたいですか。

 日本の子供たち・若者たちは、この国の、そして世界のかけがえのない財産です。立命館が”Try Field”=社会共創を推進するのは、学校の枠組みの中だけではなく外に飛び出し、周りの人々の知恵を借りながら社会の課題を解決していくことで、自らが未来の創り手となってほしいという願いからです。今回の万博は、世界中の多くの人々を巻き込める大きなチャンスです。ぜひ皆さんも、このような貴重なチャンスを生かし、世界とつながって、希望あふれる未来への手応えを感じていただけたら嬉しいですね。

-- ありがとうございました。


 万博をまさに”Try Field”の場とし、児童・生徒・学生たちひとりひとりが世界とつながる、世界を巻き込む体験ができるよう、オール立命館で力を尽くしているようすが伺えたインタビューだった。間違いなく、この万博での特別な体験は、彼らの人生にとってかけがえのないものとなるだろう。

なお、ワークショップなどは今後も増える可能性があり、確定したものから順次公開していくという。万博の開催期間中は同学園の特設ページで随時情報が更新されているので、参加や見学の際にはぜひそちらを参照していただきたい。

Rの挑戦が加速する。
立命館×2025年大阪・関西万博


学校法人立命館 出展等予定一覧



《加藤紀子》

加藤紀子

京都市出まれ。東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は中学受験、海外大学進学、経済産業省『未来の教室』など、教育分野を中心に様々なメディアで取材・執筆。初の自著『子育てベスト100』(ダイヤモンド社)は17万部のベストセラーに。現在はリセマムで編集長を務める。

+ 続きを読む

【注目の記事】

この記事の写真

/

特集