JTBは、2025年7月15日から8月31日までの夏休みに1泊以上の旅行に出かける人の旅行動向見通しをまとめた。総旅行者数は7,464万人で、前年より0.8%増加した。国内旅行者数は7,220万人で、平均旅行費用は4万6,000円と前年より4.5%増加した。海外旅行者数は244万人で、コロナ禍前の9割まで回復した。
国内旅行は、日並びの良さやボーナスの上昇が旅行意欲を後押しし、自然が多く静かな場所でリラックスしたいというニーズが高まっている。SNS映えする場所を巡りたい一方で、スマートフォンやパソコンから離れ、心身ともにリラックスしたい意向が特に20代から30代で顕著だという。
国内旅行の旅行者数は、物価高などの懸念はあるものの、日並びの良さやボーナスの上昇などから旅行意欲は底堅く、昨年より微増している。平均旅行予定費用は、物価高で価格自体が上昇していることや、北海道、沖縄などの遠方の人気もあり、昨年より上昇の見込みである。
海外旅行は、航空座席供給数の回復や昨年に比べやや円安傾向が落ち着いたこと、堅調な旅行意欲などを後押しに、前年を大きく上回る見込みである。平均旅行予定費用は続く物価高や円安基調、遠方への旅行の増加傾向などから上昇している。欧米やオセアニアなどは増加傾向で、アジアなど近隣への短期旅行も引き続き人気である。
2025年夏休みの旅行意向については、「行く(“行く”と“たぶん行く”の合計)」と回答した人は調査時点で34.2%と前年から0.1ポイント増加した。意向はコロナ禍前の2019年(38.0%)には及ばないが、コロナ禍前に戻りつつあると言える。また、夏休み前後の旅行機会が分散化しているとともに、複数回の旅行をする人も少なくないという。
性年代別でみると、男女とも若い年代ほど旅行意向は高い傾向が見られた。「行く(“行く”と“たぶん行く”の合計)」は、男性29歳以下がもっとも高い47.3%、女性29歳以下が43.1%となったが、いずれも前年より減少した。一方、シニア層の旅行意欲には回復傾向が見られ、男性60代は33.2%(対前年比2.1ポイント増)、女性60代は25.4%(同1.3ポイント増)、男性70代は27.2%(同2.2ポイント増)、女性70代は23.2%(同1.2ポイント増)とそれぞれ増加した。
旅行に行かない理由としては、「夏休み期間は混雑するから(30.9%)」がもっとも多く、ついで「家計に余裕がないので(27.8%)」「家でのんびりしたいので(26.6%)」が続いた。
国内旅行の旅行目的としては、「家族と過ごす(32.7%)」がもっとも多く、ついで「リラックスする、のんびりする(28.5%)」「自然や風景を楽しむ(26.5%)」「食事、地域の味覚を味わう(26.5%)」が続いた。
旅行日数は「1泊2日(36.5%)」がもっとも多いが、前年から1.1ポイント減少している。一方、「2泊3日(32.8%)」は0.5ポイントの増加、「3泊4日(17.4%)」は0.5ポイントの増加となり、1泊や4泊が減少し、2泊または3泊が増加している。
海外旅行の行先は「韓国(16.8%)」と「ヨーロッパ(16.8%)」が同率でトップとなり、「台湾(13.9%)」、「東南アジア(13.9%)」が続いた。旅行日数や予定費用の傾向からも、今年は引き続き、遠距離と近距離の二極化傾向が見られる。
JTBの国内旅行における人気方面は、大阪・関西万博の開催や7月25日開業予定のテーマパーク「JUNGLIA OKINAWA」の開業効果により、京阪神エリアおよび沖縄本島への旅行予約が好調に推移している。また瀬戸内国際芸術祭2025の開催やテレビドラマの影響などもあり、中国・四国地方への旅行も例年より増加傾向にあるという。