緑豊かな自然環境と最新施設が調和する関西学院大学神戸三田キャンパス(KSC)。このキャンパスには、理学部・工学部・生命環境学部・建築学部・総合政策学部の5学部に加え、大学院の研究科も設置。「Be a Borderless Innovator(境界を越える革新者たれ)」というコンセプトの下、先端科学とグローバルな視点を融合させた、実践的かつ多様な学問に取り組める環境だ。
さらに、2025年4月には、約1.8haの広大な敷地に複合施設KSC Co-Creation Village【C-ビレッジ】を開設。学生・教職員・地域住民、そして世界で活躍する多様な人材が集い共創の拠点となることを目指し、300人収容可能な学生寮であるGenesis Dorm 創新寮【G-ドーム】、起業を志す若者の挑戦を産学官民連携で支援するインキュベーション施設Spark Base【S-ベース】、学生や地域住民も24時間365日利用できるフィットネスジム「FIT365」など、多様な機能を備えている。
本記事では、創新寮で生活する学生やSpark Baseを活用する学生・スタッフの声を通じて、C-ビレッジが育む新しい学びと挑戦の姿を紹介する。
「創新寮」ってどんなところ?
山崎さん生命環境学部生命医科学科3年生
盛さん 生命環境学部生命医科学科1年生
河野さん総合政策学部1年生

--創新寮への入寮を決めた理由を教えてください。
盛さん:私は熊本出身ですが、1人暮らしを始めるにあたって自己管理ができるかが不安でした。そんな時、ちょうど新しく学生寮ができると知り、キャンパスからも近くて便利なのですぐに入寮を決めました。

山崎さん:私は2年生までは自宅から片道2時間半かけて通学していました。大阪梅田駅から直通のバスがあり便利なのですが、さすがに往復5時間もかかると帰宅後は課題に集中する気力が残っていない日もあり、通学時間を短縮したいと思って入寮することにしました。
河野さん:私は東京出身で、ワンルームマンションでの一人暮らしよりは寮生活のほうが充実した人間関係が築けるのではないかと思い、入寮を決めました。寮は個室で、設備や備え付けの家具が充実していて、スーツケース1つで新生活を始めることができました。
生活そのものが「学び。」自分で選び、動く力が育つ
--実際に暮らしてみて、寮だからこそ成長を感じられたことはありますか。
盛さん:希望者は、寮の食堂にてリーズナブルな価格で朝食と夕食を食べることができます。私は毎朝8時に朝食をとり、8時半に友達と登校することがルーティンとなり、9時から始まる1限に余裕をもって間に合う生活リズムが整いました。朝の支度から課題まで計画的に取り組めるようになり、勉強へのモチベーションがあがっているのを実感します。また、寮での暮らしを通して人との関わり方も学ぶことができました。毎日顔を合わせるからこそ、相談しあったり、ちょっとしたすれ違いを解決したりすることで、人間関係を築く力を鍛えられていると感じます。
山崎さん:私は長い通学時間が不要になった分、夜まで図書館で勉強しても帰宅後に自分の時間が取れ、勉強の密度が格段に高まりました。寮のアプリで予約した食事の栄養成分を確認したり、夜0時までには課題を終えて就寝準備をしたり、併設のジムで軽く運動して快眠を促したり、生活リズムを整える工夫もできるようになりました。寮には共有スペースが多いこともあり、学部や学年の垣根を越えていろいろな人と関わることができています。他学部の友人に「どんな実験をやっているの?」など、自分の専門外の知識に触れる会話をする機会も増えました。自分の学びの幅が日々広がっていっています。

河野さん:私も自己管理能力が高まり、主体性が身に付いたと思います。家族が近くにいない分、寮の友達と一緒に過ごすことで気持ちのバランスを保ちながら、困ったことがあれば管理人さんにも気軽に相談できるので、想像以上に過ごしやすい環境です。先輩方との距離も近いので、履修登録の方法や課題の進め方、サークルやアルバイトについても相談にのってもらいました。

学年も学部も超えてつながる居場所がある
--寮の施設でお気に入りの場所や過ごし方を教えてください。
山崎さん:お気に入りは各フロアにある共有リビングです。併設するキッチンで一緒に料理をしたり、課題を進めたりと、友達と過ごす憩いの場となっています。
河野さん:私も共有のキッチンがお気に入りです。週に1回お弁当のおかずを作りおきしていて、友達や先輩に味見してもらうこともあります。週末にはみんなで鍋パーティーをすることもあってとても楽しいです。寮の中に共有スペースが多くあるので、生活していると自然と友人ができ、交流の輪が広がります。
盛さん:私はシアタールームです。金曜の夜は食堂から直行して友達と映画を観たり、音楽をかけながらおしゃべりをしたりしています。10名ほどで映画をみていることもあります。防音なので音量を気にしなくても良いですし、360度スピーカーで音響環境も抜群です。



--1人になりたいときはどうしていますか?
盛さん:私は自室で静かに過ごす時間と、神戸三宮や大阪梅田へで出かけることで1人時間を確保します。部屋では、普段手をつけない場所の片付けや課題の取り組み、たまに家族と電話で話すこともあります。街へ出る日は、美容室へ行き気分をあげたりして自分のためだけの時間を大切にしています。
山崎さん:基本的には部屋で過ごすことが多く、課題を進めたり、溜まった洗い物を片付るなど、整理整頓に時間を使っています。1人で過ごす日は仕事がはかどるため、いつもより長く眠れるというメリットも感じています。
河野さん:みんなそれぞれ、1人になりたい時があるものだと理解していて、そんな時は素直に気持ちを伝えて、自分のスペースでしっかり休むようにしています。創新寮の魅力は、シアタールームやシェアキッチンなど、友達や先輩と交流できるスペースがあることです。しかし自室にはトイレや冷蔵庫、シャワーも完備されていて、そこでも生活が完結できるのでプライベートがしっかり守られます。
私も住む前は、「1人になりたくてもなれないんじゃないか」と少し心配していましたが、1人の時間が欲しくなることは互いに理解しているので「ちょっと疲れたから部屋で休むね」と正直に伝えることができています。
創新寮は、寮でありながらも自分のプライベートを確保できて、自分らしいスタイルで人と関わりながら、充実した生活が送れる場所だと思います。
フロアリーダーとして、安心できる場をつくる
--山崎さんはフロアリーダーとして、下級生のサポートやコミュニティづくりで大切にしていることはありますか。

山崎さん:フロアリーダーとして心がけていることの1つは、清潔な共有空間づくりです。僕が管理しているフロアのメンバーが集まるグループチャットでこまめに掃除をするように声がけをし、共用リビングに設置されている掃除機のゴミや炊飯器のパーツなどを週に1回は自分で分解して洗っています。こうして、みんなが過ごしやすい共有空間になるように工夫しています。
もう1つは小さな声も拾って対応することです。1回生は上級生に話しかけづらいのではないかと思い、匿名で質問できる投稿フォームを作りました。「Wi-Fiのつなぎ方がわかりません」など、自分が新入生だったときに、先輩に助けてもらった経験があるからこそ、今はその恩を後輩たちへ返していきたいと思っています。
創新寮で育んだ「自分らしい未来」
--寮生活を通して見えたご自身の将来像や目標を教えてください。
山崎さん:創薬系の研究職に就くことが目標です。今はそのための基礎を固める時期として、勉強にも生活にも全力で向きあっています。寮に入ったおかげで、時間の使い方や集中力がぐっと上がった実感があります。
盛さん:将来は大学院に進学して化粧品の研究開発に携わりたいと思っています。そのためにも、寮で身に付けた自分の生活を自分で管理する力にはすごく意味があると思っています。
河野さん:私は発展途上国の教育支援をテーマに、国際関係や政治、経済などを幅広く学びながら、自分の興味を深めています。寮生活の中で志の高い仲間と出会えたことで、自分の夢に向かう気持ちがより一層明確になりました。これからも目標に向かって努力を続けていきたいです。

--寮生活に興味がある受験生や保護者の方へメッセージをお願いします。
山崎さん:寮生活の魅力は、食堂や共有スペース、大浴場などで他の学部や学年の人たちと交流が多いこと、そして通学時間が不要な分、集中して勉強に取り組めることです。寮での交流から視野を広げながら、しっかり学び、充実した大学生活を送りたい人には最高の環境です。
盛さん:私は何より、友達と助け合えるこの環境が心地良く、寮を選んで本当によかったと思っています。寮はセキュリティが抜群で、朝夕の食事も栄養のバランスが良いので、保護者の方も安心だと思います。
河野さん:食堂では「いっぱい食べてね」と声をかけてもらったり、管理人さんも親切で、体調を崩した時は地域の病院を紹介していただいたりと、寮ではとても温かい人たちに支えてもらっています。大学が近いとチャレンジしたいことに思いきり取り組めるので、ぜひ創新寮への入寮を検討してみてください。
学生の「やりたい」を形にする挑戦基地、Spark Baseとは?

荒井さんコミュニティマネージャー
内田さん総合政策学部3年生(学生アルバイト)

--Spark Baseは、起業を志す学生たちの挑戦を産学官民連携で支援するインキュベーション施設です。お2人はここでどんなお仕事をされているのですか。
荒井さん:私のおもな仕事は「ひとりひとりの願いに寄り添い、人と人を結び付けていく」ことです。「こんなことをやりたい」とか「こんなことで困っている」といった相談を受けた時に、その願いの実現や困りごとの解決につながりそうな人や団体、さまざまな関係者同士をつなげています。企業をはじめ、外部と連携しながら、学生の可能性が広がるような場づくりを心がけています。
内田さん:私は学生アルバイトとして、利用者のチェックイン対応や学生目線での企画を担当しています。さらに、雑談をしながら来館者同士を自然につなぐのも大事な役目で、学部や学年、趣味もバラバラな人たちが初対面ながら盛りあがるのを見ると、「やっぱり面白い場所だな」と感じます。
「自分にもできるかも」と思える環境
--学生たちの利用のようすを見守る中で、Spark Baseならではの魅力を感じる瞬間はありますか?

荒井さん:多様なバックグラウンドをもつ学生たちが、ここに来て偶然出会い、その場で新しいアイデアが生まれていく、そんな光景をよく目にします。毎日通う学生もいて、「こんな企画をやってみよう!」と話が進むと、すぐにアクションにつながる。そんなスピード感とパッションを感じさせてくれる、熱量の高い場所であることが最大の魅力です。
内田さん:本当にそうですね。オープンなスペースだからこそ、初対面の学生同士が自然に声を掛け合い、お互いの取組みにアドバイスをし合う。「やってみたい」と思ったことを実際にどんどん形にしていく学生が多くて、自分も何かにチャレンジしてみたくなる。そんな前向きな空気にあふれているところがとても魅力的だと感じます。
--例えば、どんな学生とのエピソードがありますか?
荒井さん:宇宙について研究している学生さんがいて、「自分の研究分野が、将来の仕事とどう結びつくのかイメージが湧かない」と相談してくれたことがあったんです。話を聞く中で、宇宙をテーマに子ども向けのワークショップをしている企業の方とお話しする機会をセットしたんですよ。すると彼女は、「あ、自分の知識ってこんなふうにいかせるんだ」と気付いて。今ではその会社でインターンとして活動しています。
--「起業」というと少しハードルが高い印象もありますが、Spark Baseではもっと身近な感覚があるようですね。
荒井さん:そうなんです。「起業」と聞くと「難しそう」「自分には関係なさそう」と感じる方が多いと思いますが、私は「やりたいことを叶える方法の1つ」だと考えています。最初はみなさん本当に小さな「なんとなくやってみたい」というアイデアや悩みの相談から始まります。たとえば、「地元が好きだからもっと盛り上げたい」とか、「何か新しいことを始めてみたいけど、どうしたら良いか分からない」とか。
そんな相談から「どうしてそれをやりたいと思ったの?」「どんな状態になったら理想?」を一緒に考えて、似たような取組みをしている人をつないだり、ワークショップに誘ったりしているうちに、学生たちは「これって自分のやりたいことかもしれない」と気付きます。そして実際に自分たちでイベントを開いたり、事業として動かし始めていたりする。だから、起業するための場所というより一歩目を踏み出す場所という感覚に近いかもしれません。
やりたいことがある人も、まだ見つかっていない人も
--お2人のおすすめのスペースはありますか。
荒井さん:私のおすすめは1階のOpen Working Spaceです。会員登録(無料)すれば、大学生はもちろん、高校生(保護者の同意を得た場合)や地域の方など、どなたでも利用が可能です。特に昼から夕方にかけての来館者が多く、1人でじっくり取り組む人もいれば、グループでプロジェクトの相談をしている人もいて、利用の仕方は本当にさまざまです。利用者同士での交流や意見交換をする場面もあり、Spark Baseでもっともエネルギーを感じられる空間になっています。
内田さん:私のおすすめは、本気で起業を目指す人が落ち着いた環境で集中して作業に取り組める、2階の有料会員専用Coworking Spaceです。会員専用のデスクや椅子、電源、Wi-Fiなど、快適な作業空間が整っています。併設されているCommunity Kitchenはカウンターをぐるりと囲んで椅子や休憩スペースがあり、情報交換や新しいアイディアを交わせるクリエイティブな空間です。

--お2人にとって、Spark Baseはどんな存在ですか。
内田さん:いろんな学部の学生と接する中で、自分が未知の分野を知れることがすごく面白くて、日々視野が広がっていく実感が得られる場所です。入学したばかりの1年生でも、私の想像をはるかに超えるスピード感と行動力を発揮するので、「負けていられないな」という気持ちになり、おのずとモチベーションもあがります。
荒井さん:私も学生の成長スピードには本当に驚かされます。先週悩んでいたことが、今週には解決に向けて動き出し、翌週にはもう形になっている。前向きな学生たちの姿から学ぶことはとても多く、私自身ももっとアップデートしていかなければと発奮させてくれる存在ですね。
--Spark Baseは、どんな人におすすめしたいですか。

内田さん:私は、Spark Baseで学生たちが「やってみたい」と思うことを全力でバックアップしています。私自身も現在、大学の「Kwansei Gakuin STARTUP ACADEMY」(受講生が複数回事業を立ち上げながら、実践を通じて事業開発・起業に必要な経営スキルを学ぶことができる講座)でソーシャルビジネスを学びながら、バングラデシュのスラムにいる子供たちを支援する活動に取り組んでいます。講座やSpark Baseで仲間と出会え、専門知識のある人々とつながることで、多くの気づきと学びを得ています。こうして、自分の興味や関心を実践につなげていきたい人には、ぜひSpark Baseを活用してほしいですね。
荒井さん:私は「何がしたいのかわからない」という人こそ、Spark Baseをおすすめしたいです。我々スタッフや、ここで偶然出会う人たちと対話をしていく中で、自分の興味・関心や本当にやりたいことに気付くことがあるからです。実際に、「何から始めれば良いかわからない」と相談に来る学生も多く、一緒にこれまでの経験や活動を振り返りながら、自己理解を深めるサポートをしています。受験生の皆さんには、「ここに来れば何かが始まるかも」とワクワクしながら、C-ビレッジでの大学生活を目指して頑張ってもらえると嬉しいです。
--ありがとうございました。
Spark Baseは、「何かを始めてみたい」という思いをカタチにできる挑戦の起点。創新寮という安心できる暮らしの場と、Spark Baseという刺激に満ちた実践の場、その両方があるからこそ、学生たちは自分の可能性を信じて一歩を踏み出せる。
C-ビレッジで交わされる日々の対話や出会いが、やがて大きな夢につながっていく…そんな未来への広がりを感じさせてくれるこの場所から、これからどんな物語が生まれていくのか、期待は尽きない。
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