【大学受験】学費平均額、私大57分野で初年度納入金増…旺文社

 旺文社教育情報センターは2025年8月22日、「2025年度 大学の学費平均額」をWebサイトに掲載した。私立大学は授業料・初年度納入金ともに多くの学問分野で上昇しており、69の学問分野の8割以上にあたる57分野で初年度納入金が増額。平均額では国公立大学のほぼ2倍となっている。

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2025年度大学の学費 (c) 2025 旺文社 教育情報センター
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 旺文社教育情報センターは2025年8月22日、「2025年度 大学の学費平均額」をWebサイトに掲載した。私立大学は授業料・初年度納入金ともに多くの学問分野で上昇しており、69の学問分野の8割以上にあたる57分野で初年度納入金が増額。平均額では国公立大学のほぼ2倍となっている。

 旺文社の「螢雪時代」では、全国の大学を対象に調査を実施しており、2025年度の学費については「螢雪時代8月臨時増刊 全国大学内容案内号」で大学別に掲載。今回、この調査の回答をもとに、設置者別の学費平均額、学問分野別の学費平均額をまとめた。なお、初年度納入金とは、入学金や授業料、施設設備費、諸会費など、1年次に支払う学費を指す。

 国立大学の入学金と授業料は、文部科学省が定める標準額(入学金28万2,000円、授業料53万5,800円)の20%増を上限に各大学が決定できる。現在、標準額と異なる学費設定をしているのは、入学金では東京藝術大学の33万8,400円のみ。授業料は、千葉大学・東京科学大学(旧 東京工業大学・旧 東京医科歯科大学)・東京藝術大学・東京農工大学・一橋大学に加え、2025年度より東京大学も学費改定を行い、授業料を64万2,960円としている。

 文科省から国立大学に交付される運営費交付金は近年は横ばいだが、制度が始まった2004年度と比較すると約1,600億円減少。財源の多様化は進んでいるものの、埼玉大学が2026年入学者から授業料を現行の標準額の20%増とすることを検討するなど、今後、標準額を上回る大学が新たに現れる可能性も大いに考えられるという。

 公立大学は、入学者や保護者の住所が地域内か地域外かで入学金が異なることが多い。入学金の中央値は、地域内23万500円、地域外35万9,800円。授業料は、地域内外問わず国立大学の標準額と同程度のことが多い。

 私立大学では、入学金は国公立大学とあまり差はないが、授業料の平均額は100万円近くなり、それにともない初年度納入金は高額になっている。授業料の平均額は98万8,497円であるが、中央値は89万2,500円と平均値より低い結果に。中央値は突出した数値に影響されないため、医学部系統や歯学部系統の高額な授業料の影響を受けない額として参考になりそうだ。

 私立大学は入学金、授業料ともに学部間の差が大きく、医学部や歯学部が高額であることが目を引く。さらに細かく学問分野別にみると、同じ学問系統でも分野ごとに授業料に差があるケースがみられ、農・獣医畜産・水産学部系統では獣医学分野が、芸術学部系統では音楽分野が高額となる傾向にある。また、69の学問分野のうち、授業料は49分野、初年度納入金は57分野で値上がりしており、文系・理系を問わず、多くの学問分野で学費が上昇していることがわかる。

 文科省は6月、2026年入試に向けて、私立大学に対し入学金の負担軽減の検討、対応依頼を通知。入学しなかった場合、入試方式など一定の条件のもと入学金を返還する大学も出てきており、桃山学院大学は約8割、美作大学は全額返還すると公表。今後もこのような対応を示す大学が続くことも考えられるとしている。

《畑山望》

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